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zoom RSS 今ここにいるぼくらは 川端裕人 集英社

<<   作成日時 : 2005/08/26 20:48   >>

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博士という一人の少年の成長を、7つの短編を通して描いた作品。小学校1年から6年という、子どもがグンと成長する時期の一こまを丹念に書いてあります。年上のお兄ちゃんについて遠くまで無理にいってしまった初めての冒険。転校生として見知らぬ土地にきてしまった不安な日々。両親以外の大人に出会うことで違う人生を知る日。初恋。少年らしいいたずら。思い返すと自分の幼い日々の中にも転がっているあれこれが思い返されるような作品になっています。

以下はネタばれになるので注意。

なかでもいいと私が思ったのは、「オオカミ山、死を食べる虫を見る」という一篇。かぶと虫ほしさにオオカミ山に入った博士と幼い妹の二人は、「オニバ」という老女と知り合いになります。彼女は長年山でかぶと虫を育てることを生業としている人。一人で毅然と生きている彼女と兄弟は仲良くなるのですが、老女のたった一人の友だちである犬が死んでしまったことから、不吉な予感を覚えます。そんな気持ちを抱いてオニバに会いに行った博士の見たものは、孤独に死んでいったオニバ。

「死」を目の当たりにするというのは、今あまりないことなのかもしれません。つい大人はそれを怖いこととして隠そうとする。その一方でメディアや情報はそれを興味本位な形で垂れ流しにしてしまう。その落差は「死」とか「命」というものに対する感性をおかしくしてしまうのかもしれない、と思います。

博士はここで恐ろしい体験をしてしまうのですが、真実を目の当たりにすることは、恐怖以上のものを彼に教えて
くれたと思うのです。命の大切さ、という紋切り型のことだけではなく、自分を含めたすべてのものはいつかは死んでしまう、という当たり前だけど、どうしても人が受け入れがたいこと。そのことに気づくことから人は人としての歩みを始めると思うのですが・・。

博士の横にいつも流れている川。それがすこしずつ大きくなっていくように、少年が成長していく。自然に造詣が深い作者ならではの細かい豊かな自然に抱かれるように大人になっていく博士の姿がたのもしい。さわやかな読後感の小説です。

おいしい本箱へ → http://www.oishiihonbako.jp/detail.php?book_no=000503
川端裕人さんの本 → http://www.oishiihonbako.jp/detail.php?book_no=000235

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今ここにいるぼくらは<川端裕人>−(本:2006年92冊目)−
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デコ親父はいつも減量中
2006/09/23 00:21
川端裕人 「今ここにいるぼくらは」
巻末の話と冒頭が繋がっているループしそうなストーリー。一見、怪しく見える人が実は、全うな人間だったなんてちょっとした、おちですね。 ...続きを見る
ゼロから
2009/06/10 01:19

コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
ERIさん、TBありがとうございました。
いろんな書評を読んだらなかなか好感触の本なので、図書館に即予約を入れました。
とても良い本なのでたくさんの人に読んで頂いて、ノスタルジーを感じて頂きたいわ〜。
私が好きだったエピは「オニバ」と「サンペイ君」と「山田さん」と・・・って全部ですね〜(苦笑)
ミチ
2005/09/30 22:12

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