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zoom RSS 容疑者Xの献身 東野圭吾 文藝春秋

<<   作成日時 : 2005/10/11 21:19   >>

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画像
探偵ガリレオの湯川&草薙コンビが出てきます。
純愛ミステリー、ということでどんな純愛なのかな、と
期待しつつ読みました。う〜ん、確かに純愛です。
気の毒なくらい純愛。

事件の発端としてはよくある話です。母と娘二人でひっそり
暮らすアパートに、別れた夫がやってくる。金にだらしなく、妻と娘を
食い物としか考えていない男。追い返そうとする母親の靖子を脅す男
に、娘がたまらず花瓶で殴りかかり、なりゆき上殺害してしまうのである。
茫然とする母娘。そこに隣に住む数学教師の石神が救いの手をさしのべる。
彼は靖子とその娘に憧れを抱いていたのである。優秀な数学者である
石神が考え抜いた完璧なアリバイ。それをどうやって湯川が崩していくのか、
というのがこの物語のポイント。

湯川と石神は大学の同窓生であり、在学当時からの知り合いだった。
非常に優秀でありながらも、家庭の事情と孤高を守る性格から、学問の一線から
身を引いた石神。その彼を尊敬している湯川は、彼の犯行を謎といていくことに苦しむ。

この石神の数学者としての性格、つまり世間的な実利ではなく数学という
抽象的な美に心をささげる生き方が、全く見返りを求めずに母と娘を助けようとする
献身につながる。この石神という人物の高潔さが、この物語のバックボーンなんだと思う。
普通ならありえない話。しかし、その石神の特異さが、この物語に真実味を与えている。

彼は数学に対する愛と同じような愛情を母と娘にささげようとする。
しかし、そんな生き方は普通の人間に理解されようはずはない。
そこが悲しい。ごくごく普通の女である靖子には、その気持ちはわからない。
ありがたいと思いながらも、なんだか気味悪く、監視されているようにも思い、
他の男に心引かれてみたりするのである。
恋は思案の外、というけれども・・。もう少しこの靖子という女性が魅力的に
書かれていれば、石神がこれほどの愛を尽くすということが納得できるんだけれども・・。
俗物なんだよねえ。しかしその俗物としての彼女も、湯川が解いた石神のトリックを
聞かされて、石神が払ったあまりに大きな代償に気づく、という仕掛けになっている
のだから、これは必要な設定なのかも。

前半はコロンボのように伏線が多くてまどろっこしい面もありますが、後半
そのトリックが明らかになっていくところは読み応えがあります。

自分が進むべき道を絶たれて生きる意味を失いかけていた男。
その彼のいきがいになっていた親子を助けようとし、必死に隠した真実。
しかし、真実は明らかにされなければならない・・。
ラストはなかなか壮絶。うまく終わらせないところが東野圭吾ですね。
「秘密」のラストを思い出しました。ここのところ私としては彼の作品はイマイチだった
のですが、久しぶりにいいものを読ませてもらいました。余韻の残る一冊。

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トラックバック(15件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
容疑者Xの献身*東野圭吾
☆☆☆☆・ ...続きを見る
+++ こんな一冊 +++
2005/10/12 07:13
容疑者Xの献身 東野圭吾
容疑者Xの献身東野 圭吾 文藝春秋 2005-08-25by G-Tools ネタバレあり!でもラストだけは言わない! ...続きを見る
IN MY BOOK by ゆうき
2005/12/03 13:47
【読んだ本】容疑者Xの献身/東野圭吾
「さすが!」というほかない本格ミステリー。 トリックも相当練り込まれていて、 最後の最後まで真相が解りません。 しかも「純愛ミステリー」と呼ぶに相応しく、 主人公の数学者・石神がみせる愛のかたちに涙します。 “読ませる”本格ものを読みたい人には、ぜひ! のオススメ。 ...続きを見る
こばけんdays
2005/12/08 10:07
【祝!このミス1位】容疑者Xの献身/東野圭吾
「容疑者Xの献身 東野圭吾 文藝春秋」について やっぱり獲りましたね! 知るのがワンテンポ遅かったかも知れないんですが、 昨夜、会社の近くの書店にふらりと立ち寄ったら 今年版の「このミス」が発売されていて、 容疑者Xのオビもしっかり「このミス1位!」に掛け替わっていました。 ...続きを見る
こばけんdays
2005/12/09 11:42
「容疑者xの献身」東野圭吾
{/book/}「容疑者xの献身」東野圭吾 ★★★★☆ ...続きを見る
ミチの雑記帳
2006/01/04 23:37
「容疑者Xの献身」 東野圭吾
 小説ミニレビュー。 ...続きを見る
さむらいさくせっさーず
2006/01/08 18:22
◆本 「容疑者Xの献身」東野圭吾
騙された〜 見事に罠にはまりました(^^;) 考えてみれば王道とも言うべきトリックなのに、あの仕掛けに騙された。 私も数学には向いてない。わかりきってることだけど(笑) ...続きを見る
いつもの空にいつも澄月
2006/01/20 22:09
東野圭吾【容疑者Xの献身】
遅ればせながら読みました。直木賞受賞作。 ...続きを見る
ぱんどら日記
2006/01/23 14:57
東野圭吾の「容疑者Xの献身」を読んだ!
著者の東野圭吾は、略歴によると、1958年大阪生まれ、大阪府立大学電気工学科卒業。「放課後」で江戸川乱歩賞、「秘密」で日本推理作家協会賞を受賞、とあります。作家には珍しく、工学系の出身なんですね。そう、ミステリ作家、東野圭吾の代表作?と言われている「秘密」 ...続きを見る
とんとん・にっき
2006/07/29 13:58
容疑者Xの献身<東野圭吾>−(本:2006年108冊目)−
文藝春秋 (2005/8/25) ASIN: 4163238603 ...続きを見る
デコ親父はいつも減量中
2006/11/08 00:41
「容疑者Xの献身」
第134回・直木賞受賞作 東野圭吾「容疑者Xの献身」 ...続きを見る
mind's eye
2007/02/22 01:24
「容疑者Xの献身」東野圭吾著、読んでみました。
&nbsp;&nbsp;&nbsp;「容疑者Xの献身」東野圭吾著、読んでみました。「東野圭吾」著、10作目。図書館で随分前に予約したのがようやく順番になりました。「直木賞受賞作」だったんですね。本の帯は的外れで売る為に煽情的なのが多いんだけど「運命の数式。命がけの純愛が生んだ犯罪。」はこの作品を端的に表現していると思う。高校教師であり天才数学者の「石神」は、普通の弁当やで働く少し魅力的な子持ちの「靖子」に惹かれている。その靖子親娘がやくざな前夫「富樫」の理不尽さに耐え切れず富樫を殺してしまう。そ... ...続きを見る
男を磨く旅
2007/02/22 21:03
「容疑者Xの献身」東野 圭吾
探偵ガリレオシリーズの長編です。 やっぱり東野圭吾さん。最高!! ...続きを見る
デリシャスな本棚
2008/05/15 20:39
『容疑者xの献身』 東野圭吾
結局「探偵ガリレオ」シリーズの内、文庫で出ている作品は全部読んでしまいました。 前2作とは違って、こちらはシリーズ初の長編作品だとか。 湯川と草薙のコンビが難事件に挑むというスタイルは変りませんけれども、これまでの作品とは随分と趣が違います。オカルトじみた不可思議犯罪ではなく、容疑者に完璧なアリバイがあるという本格的なサスペンス物で、あの湯川が「天才」と認めた大学時代の友人・石神というライバルキャラクターが、二人の前に立ちはだかります。 ...続きを見る
【徒然なるままに・・・】
2008/09/27 22:59
本 「容疑者Xの献身」
やはり東野圭吾さんは長編の方が合っているような気がします。 さらさらと読みやすい ...続きを見る
はらやんの映画徒然草
2009/01/03 20:38

コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
隣の部屋に石神のような人がいて
もしも自分に思いを寄せているとしたら
やはり普通はちょっと怖いですよね。
偏執狂的、と言ってしまっては石神に気の毒かもしれないけれど。

湯川のキャラが 今まで思っていたよりも一般人っぽかったのも印象的でした。
ふらっと
2005/10/12 07:11
そうですね、確かにこわいかも。愛情って、難しいですね。
幸せな形の愛情って、貴重なものなんですね、きっと。
好きだから相手にもそれが伝わるわけじゃなし・・。
石神のキャラに湯川は今回負けちゃってましたね。
ERI
2005/10/12 22:06
ERIさん、こんにちは♪
私の今年一冊目はこれでした!
図書館の予約がすごいことになっていたので購入して読みました。
ERIさんがミステリーもお読みになるとはちょっと意外だったかも(笑)
石神の愛が辛すぎて、最後の絶叫が耳に聞こえるようでした。
ミチ
2006/01/04 23:40
>ミチさん
ミステリー、大好きですよ。やはり読書の醍醐味の一つですもん。
ミステリーは一度読み出すと途中でやめられないことです。
なんにも他にできない・・。
ERI
2006/01/05 17:16
こんばんは。TBさせていただきました。
ERIさんも靖子には魅力を感じませんでしたか。やっぱりそうですよね。でもそれを別としても面白かったので、いいんですが(^^;)
kigi
2006/01/20 23:42
あのどうってことない女性に純愛をささげるところが、また悲しいのかも、とも思いますが・・。確かにそれを別にしても、この作品は良かった!それはいえますね。
ERI
2006/01/21 17:44

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