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<<   作成日時 : 2005/11/24 22:51   >>

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読みましたよ、上下巻。ふい〜!それだけで、もう「やったね」
という気になる分量でございます。もっとも、彼女の文章は
読みやすいので、行くぞ!と読み出せば読めてしまうんですが。
いつもながら設定はとてつもなく面白い。この方の発想力には
感嘆します。

V.ファーという国の異世界、アナザー・ヒルが舞台です。
もっとも作品世界そのものが現在とはちょっと違う設定になっているので、
異世界の中のこれまた特殊な世界、というところでしょうか。
そこは生者と死者が出会えるところ。ヒガンという時期にそこへ
いくと、「お客さま」と呼ぶ、もはや死んでしまった人たちに出会える、という場所なのです。
日本とイギリスの文化が融合しているようなそこは、大きな鳥居やお稲荷さまがある、
黄昏の国。そこに初めていくことになった東京の学生・ジュン。
彼は「お客さま」に出会いやすい体質らしく、着いた早々いろんな死者たちと
出会う。しかし、どうやらこのアナザー・ヒルに異変が起こっているらしい。
矢継ぎ早に起こる血まみれの殺人。異変に対処するために現れた先住民族の
ラインマン。五人もの夫を死なせたといううわさの黒衣の未亡人。そして
血塗れジャックの連続殺人に関係していそうな双子の兄弟。
様々な謎がからみあい、過去と現在、そしてアナザーヒルのみに流れる
時間が交錯し、謎が謎を呼ぶ・・。


以下ネタばれあり。

このアナザー・ヒルという世界は、とても魅力的。日本の民俗学的な要素がうまく
からめてあって、この世界が特殊なところなんですよ、ということを演出する
効果抜群。船にのって向かうところもそれらしい。懐かしいような不思議な感覚
を呼び覚まされます。こういう舞台設定を、ふと浮かぶ光景から考え付くらしい
のですが、そこが数多い恩田陸ファンを獲得している所以でしょう。
自分も一緒にこの異世界に旅する感覚。これがこの小説の魅力。

しかし、この魅力にちょっと負いすぎた感がありますねえ。
事件が矢継ぎ早に起こってきて、「この結末を一体どうつけるんだか・・」
と心配になっていたんですが、やはりうまく決着をつけられなかったなあ・・。
最後、ジュンと博士、ラインマンが悲壮な覚悟で向かう冒険の結末があまりにも
お粗末で、ここまで魅力的だったラインマンが間抜けに思えてしまう。
いきなり現れて「事件は解決しました」と宣言するラインマンの姉が、一体
どんな役割をアナザーヒルで果たすのかがきちんと描かれていないので、
わたしゃ読み飛ばしたかとあせりました。テリーとジミーの兄弟がなぜあんな
犯罪を起こしたのか、もよくわからないまんまだし。
ジュンが最後に見た天啓も、説明不足でよくわかんないし。(私の教養が足りんせい
かもしれないけれども)
これは、どうせ書くならもっともっと長編にして、心ゆくまでそれぞれの事件を
とことん書き込んでしまったほうが良くなかったか。脇の人物たちがなかなか
楽しかったのに、そこも未消化な感じで、もったいない・・。
銀河英雄伝説ばりの大長編で大河ドラマのようにしてくれたら、もっともっと
この魅力的な世界で心ゆくまで遊べたんじゃないか、とちょこっと残念です。
売れっ子で、多分次々と書く作品が控えてるんだろうなあ、とは思うんですが。

もう一つ気になったのは、「死者」との邂逅というものがあまりにあっけらかん、と
書かれているところ。V.ファーという国の人間性として書かれている、この
生死に対するオープンさと、このアナザー・ヒルという場所の気配がなんだか
不釣合いな気がいたしました。死を娯楽、ととらえる国民性の上に、こういう
幻想や文化は育まれるもんなんだろうか・・。
そのあたり、ミステリーとしての視点と、架空のファンタジーとしての視点が
混在してしまったことで、せっかくのこの素晴らしい舞台設定の効果が
半減してしまったきらいがあるような気がします。

とまあ、なんだか文句ばかり並べてしまいましたが、上下2冊を読んでいる
間に味わえた異世界への旅は、なかなか楽しいものでした。
そこを味わうだけでも、読む価値はあります。なんだかんだ言いつつも
新作が出るとやはりワクワクさせてくれる作家ですよね。

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??dλ????
2006/05/09 09:05

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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
はじめまして。毎日ほんとに沢山本を読んでるんですね
買って読んでるんですよね?家の中は本でいっぱいですか?私はたまにまとめて何冊か買って読みますが、それでも家の中は本でおさまりがつきません。。。
でも、ほんとに、本を選ぶ上で参考になります。
とっても詳しく書いてあるので。
この本ちょっと読んでみたいって思いました。
探して読んでみます☆
k♪
2005/11/25 11:01
k♪さん、ようこそお越しくださいました。本は基本図書館です。年間多分400冊以上になるんで、買うのは無理ですねえ。でも気に入ったらやっぱり買うし、マンガはほとんど買います。家の中は本とマンガでぐちゃぐちゃ。ラビリンスです。しかもウチは家族それぞれが本を買うので、そのうち床が抜けるかも・・。(笑い事じゃないか)

>でも、ほんとに、本を選ぶ上で参考になります。
とっても詳しく書いてあるので。
この本ちょっと読んでみたいって思いました。
探して読んでみます☆

涙がでるほどうれしいお言葉!ありがとうございます。
ブログを書く励みになります。
これからもどうぞよろしくお願いしますね。
ERI
2005/11/25 23:00
そーですよね、毎日1冊以上のペースだと
恐ろしくお金かかりますよね・・・。
私も図書館利用しよっかなぁ。。。
仕事辞めて1ヶ月ほどフラフラしてた時は図書館
行ってたんですけどね。
なぜか仕事辞めると図書館通いが始まる私。
更新楽しみにしてますね☆
k♪
2005/11/26 18:24
自分が働いているから言うわけじゃないですが、図書館、いいですよ(笑)図書館はMY本棚です。うちの図書館はとても利用が多くて、「本離れ」なんてどこの世界のことか、と思ってしまいます。
利用しないのは損ですよ〜!
楽しみにしていただいてありがとうございます。頑張ります♪
ERI
2005/11/26 22:50
こんにちはERI様。
先日ゴメスでリンクを張らせていただいたリツキと申します。
『ネクロポリス』と『エンド・ゲーム』にもリンクを張らせて頂きました。
『ネクロポリス』は、おっししゃるとおり、途中までは面白いのに収束がなんとも言えないものでしたね(笑)。結末の感想は同感です。
でも、毎回文句を言いつつ、恩田陸には止められない面白さがあるのも確かです。
それではまた遊びに来ます〜。失礼いたします!
リツキ
2006/04/27 01:05
>リツキさん
こんにちは!!
またまた来ていただいて、うれしいです。そちらにお邪魔して読ませていただきました。ほんと、この素敵な設定が台無しになる、この結末。
でも、恩田さんはやめられないんですよね♪
トップとこちらの本文にリンク貼らせていただきました。
またきてくださいね!!
ERI
2006/04/27 21:26
こんにちは♪
え〜〜?
結構長いお付き合い(笑)なのに、ERIさんが図書館にお勤めだとは知らなかった〜〜〜!
私の憧れの職業じゃないですか!
図書館にお勤めの方は皆さん本好きなのかしら?っていつも思っておりました。
この「ネクロポリス」はやっと順番が回ってきたのですが、とてもキレイな本で、もしかしたら寄贈のものだったかもと思いました。
ヒガンというのがあったら急逝した父と会いたいな〜なんて考えながら読みました。
ミチ
2006/05/09 09:10
>ミチさん
いやいや、勤めてるって言っても、正職員ではないですよ。
でも、図書館は自分の本棚だと勝手に思っております。けっこう私のような人間には便利な職場。
「ネクロポリス」は人気があるんで、多分図書館で買い足されたのかもしれませんね。うちでも恩田さんは、すごい人気です。

>ヒガンというのがあったら急逝した父と会いたいな〜なんて考えながら
読みました。
私も同じこと、考えました。私の父も言葉をかわすこともできずに逝ってしまったんですよ。聞きたかったことがたくさんあったと・・。
こんな風にゆっくり話をすることができたら、うれしいですよね。
でも霊感のない私は会えないかも、ですわ。
ERI
2006/05/09 22:41

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