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zoom RSS 海の底 有川浩 メディアワークス

<<   作成日時 : 2005/12/04 14:31   >>

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画像なんとなく借りた本なんですが、これが思いがけず面白かった!
この巨大ザリガニが横須賀を襲撃する、という荒唐無稽な話を
ここまでリアルに書ける、ということがすごいですわ。
エビを食べるのが怖くなりそう。

横須賀に停泊している海上自衛艦、「きりしお」。
折しもさくら祭りが開催されている中、のんびりした光景が突然
一変する。急に巨大なザリガニが大挙して海辺に押しかけ、人間を
次々に喰らい出したのである。そのパニックの中で、「きりしお」
には、助けを求めて逃げ込んだ少年少女13人と、夏木と冬原という
下っ端の自衛官二人。館長は子供たちを助けるために、わが身を
犠牲にしてしまったのだ。まわりすべてを巨大ザリガニ(レガリスという)
に囲まれ脱出不可能になってしまった状況での、艦内での人間ドラマ
が展開する。果たして子どもたちは助かるのか・・?


現代の十五少年漂流記、という惹句をどこかで見たのだけれども、
この少年少女たちが、まあ全く役にたたないんだなあ。
小さい子はともかく、中学生の男の子たちがもう情けないほど役立たず。
圭介というお山の大将の顔色ばかり伺って、文句ばっかし言ってるんだわ。
そこが今らしくて、非常にリアルです。紅一点の高校生望ちゃんは
健気で、凄く頑張ってるんですが、いかんせん実務にはイマイチ。
その中で二人の自衛官がひたすらかっこいいわけです。
クールでリアリストの冬原。ぶっきらぼうで優しい夏木。
二人ともわがままな子供たちに振り回されながらも一生懸命
面倒を見、ケンカを仲裁し、もう獅子奮迅の働きです。
情けない子ども達も、ちょっとずつこれまでの人間関係から
抜け出し、自分が何をするべきか、をわかるようになっていく。
母親の威光をかさにきて威張り散らす圭介も、そんな自分が
これまで何をしてきたのか、を考えるようになる。
望は両親をなくしているのだが、その引け目のせいかすべてに自身を
なくしていた。それが、夏木の率直な優しさで固い心を溶かしていく。
この望ちゃん、かわいいです。彼女が密かに抱く夏木への恋心
が最後にさわやかな感動をもたらしてくれる。
そうきたか、という感じですよ。

最初に子どもたちをかばって死んでしまうんですが、この艦長の
自己犠牲と責任感がこの物語の芯になっているような気がします。
この艦長の死があるから、夏木も冬原も全力を尽くして
子どもたちを守ろうとする。
そして、初めはそのことがわからなかった子どもたちも、
誰が自分達を助けてくれたのか、ということを考えるようになる。
その命に対して自分達はなにをするべきなのか?
その自覚が芽生えてくる。命は受け継がれる。
決して無駄ではなかったのだ、ということがこの物語を深くする。

それにしても、この巨大ザリガニのえぐさといったら・・。
確かにあれが巨大になったらさぞかし怖かろうなあ。
そう考えると、蜘蛛、とかかまきり、とかだって怖いよなあ。
あと怖いものって・・。なんて想像しだすととまらなくなって
ムンクの「叫び」になってしまいそう。
このザリガニと機動隊、自衛隊の壮絶な戦いも見ものです。
映画化したらさぞかしインパクトのある映像ができそう。
臨場感ありますよ。


おいしい本箱 → http://www.oishiihonbako.jp/detail.php?book_no=000674

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タイトル (本文) ブログ名/日時
有川浩『海の底』
有川浩『海の底』 メディアワークス 2005年6月30日発行 ...続きを見る
多趣味が趣味♪
2007/01/11 19:36
海の底
********************************************************************** 横須賀に巨大甲殻類来襲。食われる市民を救助するため 機動隊が横須賀を駆ける。孤立した潜水艦「きりしお」に 逃げ込んだ少年少女の運命は? 海の底からきた「奴ら」から 横須賀を守れるか-!? **.. ...続きを見る
気楽に♪気ままに♪のんびりと♪
2007/02/19 14:36
『海の底』/有川浩 ◎
横須賀基地祭にわく、春もうららな休日。突然、『海の底』から巨大エビ(レガリス)が来襲!人を襲い、捕食を始める。 避難からはぐれて、自衛隊潜水艦に逃げ込んでしまった子供たちと、子供たちを救うためにレガリスに襲われ殉職した艦長、艦内でたった2人の大人になってしまった新人潜水艦乗組員。 ...続きを見る
蒼のほとりで書に溺れ。
2007/02/20 20:49
海の底 有川浩著。
私はこういうの大好き、だと思ってたんですよね~。いや、好きですよ、【アナコンダ】とか【グエムル】とかゾンビに追いかけられたり・・・そういう話大好きなので、ものすご~~~~く楽しみにしてました!。。。でも読んでて分かったのは、私が好きなのは映像で見るのが好きってこ.. ...続きを見る
じゃじゃままブックレビュー
2008/01/06 16:15
『海の底』 有川浩
『塩の街』、『空の中』と共に<自衛隊三部作>と呼ばれているらしい最終作。 といってもお話は繋がってないし、世界観も別物。 今のところ『空の中』しか読んでないけれど、これがジュブナイルSF、ファースト・コンタクト物、それにラブ・コメディ(?)としてかなりツボだったこともあって期待していたけれど、うん、面白いじゃん。 ...続きを見る
【徒然なるままに・・・】
2010/02/08 21:02

コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは!少々ご無沙汰でございました。
『海の底』面白かったです!
『図書館戦争』には辛口評価で、なぜこっちはいいんだかわかりませんが(どっちも青春ストーリーですよね?)無駄なことは考えず一気に読みました。
圭介には腹が立ちましたが、淡い恋心を母親につぶされたってことで大目に見てやろうと思いましたよ(笑)
tomekiti
2007/01/11 19:44
>tomekitiさん
いやいや、それ、ちょっとわかります。こっちのほうが勢いという点では、勝りますよ。あれよあれよという間に巨大ザリガニの世界に〜(爆)
圭介ねえ・・確かに最低でしたが。有川さんのお話って、割と白黒はっきりしてはるんですよね。それもまた爽快感に繋がるんでしょうかね
ERI
2007/01/13 01:05
「レインツリーの国」が良かったのでこれも借りたんですけど
これも面白かったです。いい意味ではじけてたように感じました。w
勢いがあって、一気読み。
青春あり、恋愛ありで満足の1冊になりました。
ゆき
2007/02/19 14:39
こんにちは。
有川浩ムーヴメントを求めて『海の底』の感想記事をUPしました、水無月・Rと申します。
おいしい本箱Diaryさんの素敵な記事に感激しまして、TBをつけさせていただきました。よろしくお願いいたします。
水無月・R
2007/02/20 20:55
なにげなく借りたんですか?大正解でしたね!
私はブログで知って、こういうパニックもの、特に変な怪物が出てくるの大好きなんですよ〜。でも・・・映像で見る方が気持ち悪くないかも。いろいろと頭の中でより具体的に想像してしまって気持ち悪かったです。
私の中ではなぜか蟹に変換されてしまって、蟹の顔って怖いじゃないですか〜、すごく怖かったです。(勝手に蟹を想像したのは私ですが)
自衛隊の方々がものすごく素敵に思えた作品でした。
じゃじゃまま
2008/01/06 16:19
>じゃじゃままさん
思い起こせば、これが有川さんの初読みでした。なんと無茶苦茶な発想なんだろうと思いましたが、今から思うと、まさに有川さんらしい(笑)アレは、非常に気持ち悪かったですね〜。蟹は巨大化したら、絶対なきます・・。
ERI
2008/01/08 22:11

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