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zoom RSS ぬまばあさんのうた こそあどの森の物語 岡田淳 理論社

<<   作成日時 : 2006/02/05 21:25   >>

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画像「こそあどの森の物語」シリーズ最新作です。
岡田さんのこのシリーズは、私にとって大切な物語たち。
ウニマルに住むスキッパー、小説家のトワイエさん、
物静かなギーコさんとスミレさんの兄弟、ほのぼの夫婦のトマト
さんとポットさん、いつもにぎやかなふたご。
この森に住む人々も風景も、ちゃんと心の中にあって、
岡田さんのご案内で透明人間になってそこにお邪魔できる、
という感覚です。シリーズ物のよさは、そこですね。
このシリーズを岡田さんは本当に大切にしていて、心血を
注いで書いていらっしゃる。この最新作もちょっと読むのがもったいない
くらいの気持ちで開きましたが、読み始めたら、もう止まらなかった。
この森の美しさと奥深さが心に染みわたりました。

主人公であるスキッパーが大好きなんです。
人見知りで、物静かで、内省的。いつも自分と自分をとりまく世界を
じっと見つめて、美しいものを心の中にしまっていく。
シリーズ当初は森の住人たちともうまく付き合えなかった彼ですが、
この森で自分の居場所をきちんと見つけておだやかに生きています。
そんなスキッパーのところに、またまたバーバさんから手紙が届きます。
それは「石読み」をする少年の話。
石の記憶を読み取ることができる、という能力がるということを
知ったスキッパーは、自分もその練習をしてみます。
これがこの物語の大きな伏線なんですよね・・。

このバーバさんはスキッパーとともに暮らす博物学者なんですが、
世界各地を放浪していて森にはほとんどいない。
でもこうやってあちこちからスキッパーに手紙をよこすんですが、
その手紙がいつも物語の大事な展開の一つになってるんです。
ひっそりとした森に届けられるこの手紙一つでバーバさんも
重要な登場人物なんですよ。このあたりも、うまい。

あまりにも美しい夕焼けが森に訪れた日、ふたごは湖の
向こう側に強い光を放つものを見つけます。
しかし、そこは昔ふたごが「沼ばあさん」に出会ったところ。
子どもがやってくるとおなべでぐつぐつ煮てたべちゃうぞ、と
歌に歌われている沼ばあさんに本当に出会ってしまった記憶
がふたごをひるませますが、「用心棒」としてスキッパーも連れて
その光をはなつもの、「夕日のかけら」をさがしに出かけます。

そこでであったのは、湖のほとりにひろがっている大きな館の廃墟.。
その中でふたごとスキッパーは、大きな深紅の石をみつけます。
それを持って廃墟から出ようとした彼らの船はなぜか入り江に
閉じ込められてしまう。そしてそこに現れたのは・・。
伝説の沼ばあさん。
ふたごから石を持たされてしまったスキッパーはどうするのか?

湖のほとりの廃墟。その光景はこの世のものではないように
美しい。かってそこに誰かが住んでいた名残と滅びの感覚。
そしてそこに置かれていた深紅の石は、その過去の幸せと
悲しみを記憶していた。その石と一緒に暮らしていた沼ばあさん、
この入り江の水の精は、その過去にかわした約束を果たさないと
生まれ変われない。それをわかってあげられる人は誰もいなかった。
そして物いわぬ物の声を聞き取ろうとしたスキッパーだけがそれを
聞くことができた。この世で大切なのは「聞く」こと。
言葉を持たぬのもの、いろんなものの声を聞くことが
この世界の美しい扉を開くことができる・・。

子どもたちに魚、という命をたべさせることで呪縛は解ける。
そして自分もあたらしい命となって生まれ変わる。
「イタダキマス、キノイノチ、クサノイノチ、サカナノイノチ」
滅ぶことと再生と。
命の循環と。
約束をはたして湖の底に身をくねらせて泳いでいった
水の精も、ただ一人では生きていけない。
「ユラの入り江」という言葉で呼ばれることでだけ
命を繋げる、ということ。
それらが見事に響きあう物語・・。
また一つ忘れられないこそあどの森の記憶を教えてもらいました。
岡田さんの素晴らしいところは、これらの深いメッセージを
ほんとうにわかりやすい言葉で書いておられるところ。
子どもにもきちんと伝わる、非常に選んで選んで選び抜いた
言葉で書かれている。
これは本当に難しいことだと思います。
わかりやすい言葉だからこそ、ごまかしはきかない。
誰もが読んで納得でき、しかも物語としての独自性を失わない。
岡田さんの物語を読むと、いつもそこに深くうたれます。
児童文学を書く、ということはこういうことなんだな、と感動させられます。


過去にただ一人沼ばあさんの声を聞いてあげたポットさんの
おじいちゃんの言葉も、ひとつひとつ深みがあって素敵です。
そのポットさんの側からのお話も堪能できるんですよね・・。
この本、絵も岡田さん自身で描かれていて、またこれがいいんですよ。
もう本人が書くんですから、これほど全てがマッチングしている
本も珍しい。子どもだけではなく、大人の人にもぜひ読んでほしい本です。

おいしい本箱 → http://www.oishiihonbako.jp/detail.php?book_no=000802
岡田淳さんの本 → http://www.oishiihonbako.jp/detail.php?book_no=000001
              http://www.oishiihonbako.jp/detail.php?book_no=000075





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