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zoom RSS おやすみ、こわい夢を見ないように 角田光代 新潮社

<<   作成日時 : 2006/03/11 23:46   >>

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画像「おやすみ、こわい夢を見ないように 」・・・って、充分こわい
夢をみそうな短編7話。
誰かを憎む、憎しみを突きつけられる。
日常の裏側に張り付いたそんな感情をあぶりだす、
角田さん独特の世界。じっとりした怖さに
いぶられるような気分になってしまいます(汗)

それも、この短編で書かれる憎しみは、誰かだけの
特殊なものではなくて、だれもがふっと陥りそうな
憎しみ。「このバスはどこへ」での、小学校の担任から
向けられる悪意。「スイート・チリソース」の、夫婦の間に
じっと横たわる憎しみ。「おやすみ、こわい夢を見ないように」
で語られる、ふった男からの憎しみ・・。
ふとしたことから憎しみの中にはまりこんでしまった人々の
気持ちの揺れ動きをじっと見つめる角田さんの視線が、
たまらなく小説家だ。「ね。こんなこと、あるでしょ?」
「こんな気持ち、知ってるでしょ?」と耳元でささやかれる。
囁きかけられた自分は、黙って額に汗をかきながら、うつむいて
たりして・・。

ここに書かれる「憎しみ」の怖さ、というのは、それをぶつけられる
方からすると、「なぜ」という理由がはっきりとしない、
もやもやしたエネルギーだからなのかも、と思う。
「うつくしい娘」に書かれる、高校生の娘が母親にぶつける、
思春期独特の動物的な憎しみ。ペットボトルに入れた尿を
庭に落とす、なんてものすごく神経にこたえる。
でもなあ、きっとこの女の子は、母親を憎むのと同じく、
いや、もっと強く自分を憎んでいるんだろうな、と思う。
その連鎖が、心に痛いなあ。
憎しみを抱くほうも、決してそれが理にかなったものでは
ないことを知っている。知っていながら、それに自分も振り回される。
肥大した自分をもてあます。憎しみ、というのはある意味途方もない
強いエネルギーだ。だから、向けられたほうはそれが正当なものか
どうか、自分がそれを受けるべきものなのか、と考えるよりも先に
ぷしゅんと萎縮してしまう。
なんだか今の中国と日本の関係みたいだな、と思ったりもした。

一番私が応えたのは、「晴れた日に犬を乗せて」の
「気持ちのいいさっぱりしたおばさん」が垂れ流す悪意。
無自覚に人を傷つける、こわさ。
いや、これだけはしたくない、と心から思う。
「憎しみというのはジャックナイフのようなものだ」とあるけれど、
無自覚にジャックナイフを抜くようなことは、したくない。
ふとしたことで人を傷つけることも、きっとしているんだろうけれども。
それこそ、とても怖いことだ・・。

この物語、はっきり言って後味はよくない。
「あかん、ちょっと気分かえないとね。」と、Mステで歌う
キラキラの剛くんの映像を見て、心を洗いました(爆)
でもなあ、たまにこういう怖い、恐ろしいものをじっくり見て
おくのは、自分にとっては必要なことだな、と思う。
負の感情は怖くて恐ろしいが、それと対峙しておかないと、
自分がどんどん鈍感な、無自覚な人間になってしまいそうな気が
するから・・。そして、この物語たちは、怖いけれども不愉快ではない。
誰もが持ってるこういう気持ちをリアルに、ありのままに書こうとする
真摯さが感じられるから。
・・・でも、落ち込んでるときにはやめとこうね(爆)


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おやすみ、こわい夢を見ないように
久しぶりに角田さんの本を読みました。面白かったです。そして怖かったです… ...続きを見る
陽の当たる坂道
2006/07/14 02:43
おやすみ、こわい夢を見ないように<角田光代>−(本:2007年98冊目)−
おやすみ、こわい夢を見ないように 出版社: 新潮社 (2006/1/20) ISBN-10: 4104346020 評価:80点 ...続きを見る
デコ親父はいつも減量中
2007/09/15 17:26

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