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<<   作成日時 : 2006/08/18 23:14   >>

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画像短編・・いや、掌編というべきかな。23個の女心。(女心は「個」で
いいのか?)自分の心を撫でてみた時に、ちょっとざらっと掌に
ひっかかる気持ちを、川上さんらしい、ユーモアと機微でちょこん
と掬ってならべてあります。全部楽しい。女同士の暗号がたくさん
ちりばめてある感じ。面白いと思ったところに付箋を貼ってたら
本が角だらけになってしまった・・。意味ないやん。

最近息子が故あって女心のあれこれを聞いてくるんですが。
(決して色っぽい理由ではない)大体女の子の一つともつきあった
ことがないくせに女心をわかろうとするのが、厚かましいねんて。
あ、やばい、息子が後ろから覗いてる(汗)
なにが悲しゅうて息子に女心を説明せなあかんのだか・・。
「あんた、女心わかりたかったら、川上弘美さん読むことやで」
と申し渡しておきました。しかし川上さんの女心は「女心」という言葉から連想される
どろどろした感じでは決してなく・・。心の動き方、なんですね。

「好き」の中にもふっと、違うものが混じるとき。
「鹿くさい」奈良で、こわい顔の大仏を恋人と見た夏。
これが何年かして思い出すと、恋人の顔は曖昧になって、その大仏の顔
だけ覚えてたりしてね。
恋人がいない時の秋の夕暮れの、しんとした寂しさ。物凄く寂しいのでは
なく、ふと人恋しい感じ。
好きな人に会えなくて、ちょっと泣く真似をしてみたら、ほんとに止まらなく
なっちゃったり。そういう、はいはい、こんなことあるよな〜・・。という
小さな情景がいっぱい。それがなんともおかしく読めてしまうのは、
主人公達が、そういう自分をちょっと離れたところから眺めているせいなんですね。

皆、いろいろおバカさんなことをやってみる。
「コーヒーメーカー」で、好きな人の似顔絵描いて、「今日はいいお天気だね」
とか吹き出しをつけてみるアン子に爆笑。そして、「―ときどき、きらいで」
で、なんと「はだかエプロン」を実行してみたりする友達同士の行動にも、爆笑。
バカなことやってるんですが、その中に一抹の本気が混じるところなんか、絶妙です。
そして、そういう自分をみんなじ〜っと、観察してる自分がいる。
今、抱いている気持ちも、いつか薄れてなくなってしまう。
この目の前にいる人との繋がりも、永遠ではない。
人生は刹那の積み重ねでできている・・。
あっちこっちにある刹那を、ピンセットでほいほい、っとつまんで並べたら、
この女心の標本の出来上がりです。
でも、この標本、簡単に掬ってあるようで、実は非常に芸が細かい。
つまみ方に、熟練の気配です。つまんでるよ、と感じさせないところが
名人芸ですね。だから、すっと胸のどこかにおさまってしまう。

この本、失恋したり、恋をして今胸がいたくて仕方がない人にいいんじゃ
ないかしら。そうそう、なんて笑っているうちに、ちょっと心が軽くなりますよ、きっと。
川上さんに、おいしいニッキの飴玉をたくさん貰った気分です。
一つ一つを、ころがしてなめてみてくださいね。

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コメント(8件)

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>あっちこっちにある刹那を、ピンセットでほいほい、っとつまんで並べたら、
>この女心の標本の出来上がりです。
>でも、この標本、簡単に掬ってあるようで、実は非常に芸が細かい。
>つまみ方に、熟練の気配です。つまんでるよ、と感じさせないところが
>名人芸ですね。だから、すっと胸のどこかにおさまってしまう。

なんて絶妙な捉え方なんでしょう。
これぞ川上さんの掬いのセンスですね。
ERIさんの捉えのセンスにも感動です。
ふらっと
2006/10/28 08:13
>ふらっとさん
お褒めいただいちゃって・・(汗)
非常に申し訳ないのですが、最近ヘンなTBを付けられておりまして・・。それを整理していたら、このふらっとさんからせっかく頂いたTBを消しちゃった気配なんです。本当に申し訳ありません(平身低頭)
うう・・ほんとに凹んでしまいました・・。
ERI
2006/10/28 22:27
さっき、TB再送してみたのだけれど、反映されていませんね。
もう一度送ってみますね。
どうぞ凹まないでくださいね。
ふらっと
2006/10/29 13:25
>ふらっとさん
優しい言葉をありがとうございます。お手間をかけてしまって・・。
申し訳ありません。そして、ありがとうございます。
反映なんでされてないんだろう・・。ちょっと調べてみます・・。
ERI
2006/10/29 23:58
はじめまして。
おむすびと申します。

川上弘美さんの「ざらざら」でたどり着きました。
本当に絶妙な捉え方ですね。
感心してしまいました。

私は付箋ではなく、ここいいなというところを書き出していたら
たくさんたくさんになっていました。

TBの仕方がよく分からないのでここに私のアドレスを載せてください。
http://blog.livedoor.jp/cb1475/

また遊びに来ますね。
よろしくお願いします。
おむすび
2006/11/07 22:49
>おむすびさん
はじめまして。川上さんは好きなんで、こっちも気持ちが入ってしまうのかもしれません。嬉しい言葉を、ありがとうございます。TBさせていただきましたよ♪
ERI
2006/11/08 23:42
はじめまして。
川上さんの「ざらざら」を検索してお邪魔しました。
>どろどろした感じでは決してなく・・。心の動き方、なんですね。
僕も同じような感想を持ちました。すうっと動く心の動き、この表現に感動をします。
「淋しいな」での恋人にふられての淋しさと、その恋人であった男をほんとに好きだったかとすぐに心が動くことへの淋しさ。この心の動きが絶妙に表現されていたと思います。

また他の作品の書評も読ませていただきます。
夕螺
2006/11/22 20:59
>夕螺さん
はじめまして。ほんとに一瞬で移り変わっていく心の動きを書かせたら一級品ですね、川上さんは。自分でも、ふっと見過ごしているような気持ちの動き。それを見事に描かれると、自分の心の輪郭をそっとなでられるような気持ちになれます。これからも、よろしくお願いいたします。
ERI
2006/11/23 00:25

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