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zoom RSS ポールと小鳥 朝倉勇 童話屋

<<   作成日時 : 2006/09/22 00:27   >>

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画像詩人であり、コピーライターである朝倉さんが、初めて書いた
童話。70という年齢を過ぎて、初めて書かれた童話です。
著名な方なので、出版にもたくさん知り合いがおられるはずなんですが
朝倉さんは、これを書き上げて、一面識もない童話屋の編集の方に
送られたらしい。童話屋のHPによると、その編集の方はすぐさま
出版を決めたそうで・・。初出版にして装丁が安野光雅氏というすばらしい
本に仕上がっています。内容もとても素敵でした。朝倉さんが子供たちに
伝えたいことが、美しい言葉とやさしい物語となって伝わってきます。

長らく続く戦いで父と兄を亡くした少年・ポール。
ポールの国と隣国は、川べりの豊かな土地をめぐって争いを続けて
いる仲なのだ。一家の働き手を失って、生活を支えるのが大変になってしまった
家族の手伝いに励む日々。しかし、ポールにはかけがえのない友達がいた。
それは小鳥のピルル。雛のときから育てたピルルは、ポールの肩にいつも
とまっている親友なのだ。ポールの笛に合わせて、ピルルはさわやかな風の
ふく林で、美しい歌を歌う。
ある日、出かけた町で小鳥の歌合戦にはからずも参加してしまったポールとピルルは
特別賞をもらう。二人の音楽は、聴く人を、幸せなやさしい気持ちにさせるのだ。
それが評判になって、いろんな所にいって演奏することになった二人。
ポールには不思議な才能があり、歌ってほしい人に会うと、その人が求めている
曲が頭にうかんでくるのだ。それにあわせて歌うピルル・・。
生きる気力を失いかけた病人も、彼らの歌を聞き、気力を取り戻す。
とうとう全国大会に出ることになったポール。家族のために出場して優勝した
ポールは、もうピルルに無理はさせたくないと思う。ところが、そんなポールに今度は
もっと大きな役目がまわってくる。戦争を繰り返している隣国の王様が、病んでいる
王女のためにポールにきてくれないか、というのだ・・。
悩むポール。父と兄を戦争で失っているのに、という思いがこみあげる・・・。
しかし、戦をなくしてほしいという母の願いを聞き入れて、隣国へと向かうことに。
ポールの願いが、かなうのか?


・・・長々と紹介してしまったんですが。
きっかけは、ほんとに小さな音楽という言葉。
それが、たくさんの人を救い、心をおだやかにしていく。その過程が、詩人らしい
美しい無駄のない言葉でつづられていくのが、非常に心地いいんです。
戦争というもので傷ついてしまった家族。しかし、このポールの家族は優しさと
人に対する思いやりを失わない。呼ばれていった隣国で、王女の母である王妃と
ポールの母は、女同士の理解で結び合う。わが子を亡くすこと、わが子が苦しむのを
見るのがどれだけ辛いことか。敵同士であったとしても、その気持ちがなんら変わること
はないのだから・・。
そして、わが娘が病み、命を失うかもしれない、という思いにとらわれた時、初めて
王様は一人の人間の気持ちを取り戻す。ほんとにね・・。顔の見えない、名前も知らない
相手なら胸はさして痛まない。でも、それがもし自分の家族なら・・。
先日拉致された横田めぐみさんの写真展のドキュメントをテレビで見て泣けてしかた
なかった・・。かわいらしいたくさんの写真が、めぐみさんが本当に普通にくらしていた
少女だったことを雄弁に語っていました。顔が見える、ということはこういうことなんだわ。
ほんとにね、辛かった・・。


脱線しましたが。
ポールの音楽には、失ったものを悼む悲しみも
含まれているに違いない。でも、その音楽は人を責めず、たくさんの人の心を
いやして、元気にしていく・・。美しい調べが心をつなぐ、そのことがとても素直に実感できます。ポールのおかげで、この物語の二つの国は仲良くなった。これは、朝倉さんの願い
そのものなのだと思う。物語の中で死の間際にいる村長さんの子どもたちに語りかける
遺言は、心をうちます。これが最後になるかも、という朝倉さんの童話。
ほんとうにこんな風に争いがなくなればいい。
そんなこと、無理だよ、と思わずにこの本を書いて出版社に送られた朝倉さんの
思いが、すばらしいと思う。たくさんの人に読んでもらいたい本です。

「こんな哀しい出来事がもう二度と起こらないように
探し歩かなきゃいけない a happy love word」 

      ENDLICHERI ☆ENDLICHERI 〜アルバム Cowerd 「a happy love word」より〜

朝倉さんの物語が、すばらしい a happy love word になりますように・・。

おいしい本箱 http://www.oishiihonbako.jp/detail.php?book_no=001116



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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。最近、時々ここをのぞかせてもらってます。
ほんとに沢山の本を読んではるんですね〜。
私はというと、最近は仕事関係の本以外は呼んでないな〜と気がつきました。
ここにくると素敵な本のお話があって、こんな私でもまた読もうかなって気になります。

このお話も素敵なお話ですね。
歌をきっかけに争いがなくなる・・・時に歌にはそんな力があるって、信じていたいですね。
ERIさんの紹介文を読ませていただいてる時に、剛さんのことを思い出しました。
そしたら最後に『a happy love word』の歌詞♪やはりそうきましたか(笑)
この童話、本屋で探してみようと思います。ありがとうございました♪
きよみ
2006/09/22 21:50
>きよみん
きよみんや〜ん♪ね、剛くんの音楽と重なるやろ?そういうとこがきよみんとリンクして、むっちゃうれしいわ・・。ぜひ息子さんにも読んであげて・・。
とっても綺麗な文章やねん。読むだけでも、気持ちいいよ。
歌や音楽には、特別な力があると思うわ。最近剛くんのライヴに行くと、特にそう思う。あのライヴを聴いたら、なんか不思議なパワーがみなぎるもんね。
愛・・ってものは目に見えないけど、それを感じさせるということが音楽のすばらしさだよね。
時々きてくれてるんやね。ありがとう。うれしいわ♪
ERI
2006/09/22 22:06

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