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zoom RSS 晩夏に捧ぐ 〜威風堂書店事件メモ(出張編)〜 大崎梢 東京創元社

<<   作成日時 : 2006/11/05 22:34   >>

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画像前回の「配達赤ずきん」から、ほどなくしてのシリーズ二冊目。
ちょいとびっくりの本格ミステリ仕立てでした。
長編じゃないですか。前回と同じコンセプト、つまり短編でいくのかと
思っていたので、これはうれしい誤算。ミステリーの楽しみは長編にあり・・。
ということで、期待して読みました。
う〜ん・・。いろいろと目につくあれこれはあれど、この大崎さんがミステリー
というものを真剣に愛して書いていこうとされているのだ、ということは伝わり
ましたよ。

威風堂の謎解きコンビ、マニアック書店員の杏子と、多恵。
なんと、今回はその推理力を買われて、一路長野へ。
そこにある、地元に愛されている老舗書店「まるう堂」に最近
起こりつつある、幽霊事件を解決してほしいとい依頼・・・。
数日で、そんな謎が解けるのかを心配する杏子を尻目に
張り切る多恵を連れて、訪れた長野で、二人が遭遇する事件。
それは、二十年以上前に、そこで起こった作家の殺人事件に
関わる謎だった・・・。



初の「長編」ということで・・・。
先ほど書いたように、ちょいと気になったところも、ありました。
多恵と杏子のキャラを、長編ということで前回よりも強く打ち出すことになった
と思うんです。多恵は、謎を解く探偵としての役割が、より強くなっている。
その多恵と対比させようとしたせいか、杏子という人物のキャラが、かえって
よくわからなくなってますね。前回では、二人で謎にあたっているイメージ
だったのですが、その役割を多恵だけにふってしまったせいでしょうか。
マニアックな店員、という設定なのに、妙に凡庸なイメージになってしまった
のがもったいない。ここは、多恵とは違うところで、その本屋さんとしての
マニアックさを発揮してほしかった・・というのは、欲張りだったんかな?
あと、やはり登場人物の性格が、ちょいと薄っぺらいように思ったのも
もったいなかったかな。特に、秋郎と殺害された作家にからむ美女役の
亜也子が、ただのくだらない女すぎて、二時間ドラマの典型的なあて馬みたい
でしたねえ・・。

・・と、読んでいて色々気になった点もあったんですが、肝心の殺害された作家を
めぐる謎自体は、面白かったですよ。特に、その犯人として逮捕され、獄中で
死んでしまった秋郎という人物の謎は、最後まで読ませる力がありました。
大崎さんが、きっとたくさんのミステリーを読んでこられて、愛してこられたことが
なんだかよくわかるような気がしました。事件の背景も、よく考えてあったしな・・。
もう少し、緻密さが加われば、ぐんとより面白くなるような気がします。
このシリーズは、「本屋」さんが舞台で、本にまつわる謎を解く、というところが
本読みの心をくすぐります。その魅力をそのままに、それ以外の要素を
どれだけ伸ばしていくことができるのか。3作目が勝負かも。

しかし、この「まるう堂」は、いい感じですよね・・・。
私も、本屋さん、というものには、思いいれがあります。
経営と、内容や品揃えの充実というものを両立させていくには
大変な労力がいることでしょう。ただ、大きければいいものでもない。
どれだけ店員さんの目が行き届いているか、それはもう本屋に入った
途端に、わかるものです。本に対する「愛」があるのか、どうか。
そこかなあ・・・。ここはこのジャンルが強い、きっと好きな人がいはるんやな、
ここの店員さんの好みが自分に合う、あら、これを並べるなんてよ〜くわかってらっしゃる・・。
なんて思える店に行くと、ついつい財布の紐は、ゆるみます。
お気に入りの本屋さんがある、というのは本読みには至福のことなんですよ。
ビバ、本屋さん♪ということで、この作品にもエールを送ります・・・。

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タイトル (本文) ブログ名/日時
晩夏に捧ぐ〈成風堂書店事件メモ・出張編〉
『晩夏に捧ぐ』大崎梢(東京創元社) 以前成風堂にいて、今は故里に帰り、地元の老舗書店に勤める元同僚の美保から、杏子のもとに一通の手紙が届いた。勤務先の宇都木書店、通称「まるう堂」に幽霊が出るようになり、店が存亡の危機に立たされている、ついては名探偵のアルバイト店員を連れて助けに来い、というのだ。杏子は気が進まぬながら、多絵を伴って信州の高原へと赴く。そこで待ちかまえていたのは、四半世紀ほど前に弟子の手で殺されたという老大作家の死に纏わる謎であった…!「本の雑誌」二〇〇六年上半期ベストテ... ...続きを見る
ぼちぼち。
2006/11/07 22:09
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2006/11/07 22:13
晩夏に捧ぐ 成風堂書店事件メモ(出張編)大崎梢
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「配達あかずきん」に続く成風堂書店事件メモ。今回は長編の出張編です。舞台も杏子や多絵の仕事場の成風堂ではなく、信州の老舗書店「まるう堂(正式名称:宇都木堂書店)」。そこに勤める元同僚:有田美保から杏子に「まるう堂に幽霊が出て、それが27年前の殺人事件に関.... ...続きを見る
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2010/04/25 22:36

コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。はじめまして。
著者の方の本屋さんへの思い入れが伝わってくるお話でした。
まるう堂、いい感じでしたね。
実際に行ってみたいです。
TBさせていただきます。
ちきちき
2006/11/07 22:01
>ちきちきさん
私も「まるう堂」行ってみたくなりました。
近くに、こんな本屋さんがあったらいいなあ・・。
ERI
2006/11/08 23:14
お体の具合、その後、いかがですか?。冒頭部分のアリバイ証明で期待したのですが、本編の方はちょっと残念でした。でも秋郎という人物の謎は読ませました。・・やっぱり書店内で起こる日常の謎の方が本屋さんならではの視点が生きるので、作品に向いているのかもしれませんね。3作目に期待、です。「まるう堂」みたいな素敵な本屋さん、あったらうれしいですね。
「四度目の氷河期」の記事も持ってるのですけど、あまりにも遅い時刻なので、今日はこれのみにさせてくださいね・・。
藍色
2006/11/10 03:54
>藍色さん
ご心配かけちゃったみたいですね。ありがとうございます。
胃がすぐ悪くなっちゃう体質で、時々やられてしまいます。
でも、持病みたいなもんなんで、大丈夫ですよ〜♪

そうですね。あのアリバイ証明が、一番スカっとした面白さでした。
長編を書く、というのは難しいですねえ。緻密さと大胆さが要求されるんですよね。そのどちらも、ちょっと足りなかったかな、という感じはありました。でも、きっとこれからの人だと思うんで、次も楽しみに待ちたいです。
ERI
2006/11/11 00:02
まさに地方在住ですので、地方書店の事情についてはいろいろ考えさせられました。
地元の本屋さんをなるべく利用しようという気持ちにさせられましたが、コンビニやスーパー内にある雑誌はやはり買いやすいし、品揃えは全国チェーンの書店がいいし…という現実があります。
小葉
2007/02/03 10:57
>小葉さん
私も、地元の本屋さんをこよなく愛している一人ですが、やはり一軒、また一軒とつぶれていくことが多いですねえ。手に入りにくい本などは、やはりアマゾンなどで買ってしまうし、これだけ家にいたまままで何でも変える時代って、伝統的な商売のやりかたそのものが成立しにくいのかもしれません。でも、気軽にいける本屋さんは、やはり必要ですよね!!
ERI
2007/02/04 07:58
ERIさん、こんばんは(^^)。
本屋さん大スキーとしては、ちゃんと本屋さんの売り上げに貢献しないと・・・と思いました(^_^;)。
図書館や立ち読みも良いけど、買って帰って家でゆっくり読みたいよ!っていう気持ちになりました。
本屋さんで、本を眺めることに無上の喜び炉を感じる身としましては。
水無月・R
2010/02/08 22:56
>水無月・Rさん
こんばんは〜♪私もね、ついつい、図書館とか、アマゾンに頼ってしまう事が多いんですが。
街の本屋さんがなくなっちゃうと困りますよね。
マンガは、極力地元の本屋さんで買うようにしております。それ以外の本は、私の好みはマイナーなもんで、並んでない事が多いんですよねえ・・。
自分の好きな本をがっつり並べた本屋さん、ていうのを開いてみたいです。でも、売れなくてすぐに閉店かも(笑)
ERI
2010/02/10 00:18

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