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zoom RSS 虹色天気雨 大島真寿美 小学館

<<   作成日時 : 2007/01/05 23:19   >>

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画像自分の生きている空間というのがあって、その中で人は限られた
人間関係の中で生きている。自分の家族、自分の友達、
自分の仲間・・。その同心円のなかで重なり合ったり、離れたり。
この物語を読んで感じたのは、女のコミュニティの強さというもの。
仕事や損得ではない、なにやら腐れ縁、みたいな、同士の関係ですね。
その人生の一部分を共有してしまってるような繋がりを、一人の少女を
核にして書いてあります。


早朝に電話でたたき起こされ、中学校からの幼なじみである奈津のひとり娘・美月を預かることになった市子。小さな美月から、奈津の夫・憲吾は行方不明であり、奈津は憲吾を探しに出かけたことを知らされる。2日後、奈津は戻ってきたが、思い当たる場所をすべて回ったが憲吾は見つからなかったと語る。市子と奈津は、ひとりではどうにも頼りないところのある憲吾の失踪には、絶対に他の女性が関係していると推測する。これまで長い付き合いだった市子と奈津、出会ったころにはこんなことが起こるなんて想像もつかなかったけれど、大人になったいま、誰かを失ってもその傷はいつか癒えることを知っている。 読むと幼なじみに会いたくなる、女性どうしの友情を描いた作品。   〜小学館HPより〜



奈津、市子、まり、という3人の女友達。少女の頃から、ずっと友達のままで、
その人生の時々の夢や、現実や、付き合ってきた男や、仕事のあれこれや、
そんなことを多分親兄弟よりも共有してきた関係。
女って、なぜかこの「共有」という部分がないとあかん生き物なんやないか、
そんな気がします。同性の、自分の自我の一部分を共有してる感じ、といえば
いいのかな。しょっちゅう会ったり、べったり一緒にいるわけでもない。でも、
自分の行き方や人生を、どこかで承知してくれてる友達がいなくては、自分の
足元が揺らぐ気がする。心の端っこで、手を繋いでいる友達がいること。
その端っこを握っている同士の、切れない強さというのかな。
男と女なら、切れてしまう。ほんとに、努力しなくては、いとも簡単に切れて
しまうのだけれども、一度こんな風に腐れ縁になった関係は、切れないんですよね。

奈津、市子、まりと、独身であったり、主婦であったり。仕事もどうやら固いOLと
いうよりは市子もまりも自由業の匂いがする。3人の人生が、事細かに書かれて
いるわけではない。この3人と、大人といることに慣れている美月との会話、
彼女達をとりまく人々の会話の中から、彼女たちの人生が、浮かび上がるように
書かれている。その会話を読んでいるうちに、なんとなく自分もこの3人と
腐れ縁で長い付き合いであるかのような気分になってしまうところが、うまい。
ああ、そうそう、わかるわ〜。うんうん、って女同士の会話にはまり込んでいく。
この3人の共通の友人である三宅さんは、ゲイで、これもまた感覚として
女性なんですね。この、女同士のスタンスでありながら、ちょっと肌合いの違う
人がいることも、またうまいアクセントになっています。
これまでも色々あって、そして、これからも色々ある。でも、これまでこうやって
乗り越えてきたんだからね、これからもきっと大丈夫だわ、といえる強さ。

「二人同時に歩き出す。そうだ、そうだ、そしてもう一つ、私達は、こうして
できた傷がやがて癒えることも、すでによく知っているのだ」

こんな繋がりのある女は、強い。人生の大変な時、よし!と踏ん張るときに
どこかで水脈のように繋がる同士がいる強み。この3人の共通点は、自分の
足で歩いていること。その三者三様の足音に参加し始めた少女の生命力を感じさせる
ラストは、気持ちいい。最近大島さんの本を読むことが多いのだけれど、こういう女同士の気持ちを書かせるとほんとにうまいなと思います。
誰の人生の中にもあるこういう一面を物語にすることで、また見えてくるものがある。
小説、つまり小さな話の持つ強さを感じさせます。
女であることは面白い。そう思わせてくれる一冊。


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じゃじゃままブックレビュー
2007/02/18 22:59

コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは、ERIさん。
この本は、女性らしい、女性の本という感じでした。
「かなしみの場所」以来、私もゆったり感が好きです。
モンガ
2007/01/06 15:20
>モンガさん
「女性らしい、女性の本」・・ああ、そうですね。
大島さんの書かれる女同士のあれこれは、すっと心に染み入ります。
構えすぎず、語りすぎず、ごく自然。その語り口が女には心地よいです。
ERI
2007/01/07 21:09
大島さんの作品に出てくる日常って好きなんです。でもこの作品に限っては、こういう日常なかなかないですね。夫が失踪したり、友人の元妻と自分の元カレがどうとか・・・。
この作品を読んで、一番頭に浮かんだのは「共有」という言葉でした。仲間と共有した時間、それが一番残りました。
じゃじゃまま
2007/02/18 23:03
>じゃじゃままさん
いやいや、けっこう、へ?と思う人間関係って、ありますよ。人生は、いつひっくり返るか、わからへん(笑)
大島さんの書く女性たちは、ほんとに等身大で、それでいて特別な、「友達」感がありますねえ。一見どこにでもいそうやのに、知り合って特別な人になっちゃうような。
そのあたりが、持ち味でいいな、と思います。
ERI
2007/02/19 23:26

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