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zoom RSS もう一日 ミッチ・アルボム 小田島則子・小田島恒志訳 NHK出版

<<   作成日時 : 2007/04/21 23:09   >>

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画像もう、自分の人生にどうしようもなく絶望してしまった時。
命を絶とうと思いつめた時。
一度だけ過去に戻ってやり直せたら・・。そんな奇跡を描いた物語。

作者は、「モリー先生の火曜日」を書いたミッチ・アルボム。
「モリー先生の火曜日」は愛読書です。自分に迷った時、いつも背中を押して
くれる本。モリー先生から大切なものを受け取った彼は、やはり「生きること」を
ストレートにテーマにしています。長年反抗し続けた母の死に目に会えなかった
ことをきっかけに、アル中になり、仕事もやめ、どんどんダメになってしまった
チック・ベネト。車で自殺を図り、事故を起こしたはずの自分が、なぜか気が付くと
母のいる実家にいる。とっくに亡くなってしまった母の・・・。
自分の目を疑いながら、確かにそこにいる母と会話し、彼女の料理を食べ、
話し、母の仕事についていき―これまで言えなかったこと、聞けなかった
ことを聞いた一日。それは、またベネトに「生きる」ことを教える・・・。という物語。

「母」という愛の強さ。一言で言うと、それに尽きます。
このチックの母は、夫に裏切られ、若くして離婚する羽目になり、しかも
美人だったがゆえに奥様がたに敬遠され(むっちゃ気の毒)看護婦だった
職も奪われ・・美容師、掃除婦と様々なことをしながら二人の子を育て上げた人。
チックは、その母が、いつも自分を愛してくれることを知りながら、常に自分たちを
捨てた父親のほうに引力のように引っ張られる。
母の願う人生を捨て、父の言うように野球の選手になり・・・。
怪我をきっかけに、それもうまくいかなくなったチック。
しかし、一度賞賛を浴びた自分が忘れられずに、どんどん破滅を繰りかえす。
妻にも逃げられ、娘の結婚式にも呼んでもらえなかった自分。
・・・人間、こうなるとどんどん悪循環にはまっていってしまう。
そして、最後に自分を捨てようとした彼は、人生の黙示録を読むことになる。
これねえ・・自分一人だけで、自分の人生の過ちを思い返していくのは
非常に辛かろうと思うんですよ。きっと、もう一度死にたくなる。
でも、彼は一人ではなかった。いつも傍にいて、励まし、助言し、愛していた
母と一緒だったから・・。そして、やはり男の子なだけに(いい年したおっちゃんでも
母親に対するときは、男の子だから)きっと、母親が生きているときは、なかなか
素直に相対することもできなかっただろうと思うんですよ。
もう二度と会えないと思っていた人に会う、ということ。
その奇跡が、彼にまたもう一度生きる力を与える。

私が、いいと思ったのは、この母との一日が、ごくありふれた、日常の一日
であるということ。朝食を食べ、ゆっくりおしゃべりし、友人宅を訪問する。
特にドラマチックでも何でもない一日。でも、生きている間にかなうことはなかった
一日・・。きっと、人生の楽しさや喜びや、本当のことなんて言うのは、こんな
瞬間にあるんやろうな、と思う。他愛ないおしゃべりや、いつも食べているなじみの
ご飯。友達との、いつものやり取り。
先日見送った友人が、最後に私に残してくれた言葉を思い出す。
「ねえ・・ほんまに大事なことは、あんまりたくさんは、ないんやね」
そう。本当に、そうなんやろな、と思う。
一番大切なものを本当に大切にしようと思ったら、それだけで大変なことなんだもの。
チックは、それに気が付いたんやなあ・・。そして、チックのお母さんは、それを
よく知っていた人だったんだろう。

あと、アメリカは「父」の国だとどこかで読んだ気がするんだが、
このチックの、父に対する態度を見ていると、まさにそう思う。
家族の規範、家族の理想、そして一家のリーダーシップをとる強さ。
それを、アメリカの父親は求められているんだなあ、と。
やはりそれは、「開拓」という歴史から始まったお国柄なんだろう。
根っこは母系社会である日本と、そこが違うよねえ、と考えてしまった。
父親の強さと、母親の情愛の間で引き裂かれるチックの姿が、
銃や戦争というものでがんじがらめになっているアメリカの苦しみを
体現しているようにも思った。・・・ちょっと穿ちすぎだったろうか。

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