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zoom RSS 家日和 奥田英朗 集英社

<<   作成日時 : 2007/05/21 01:00   >>

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画像熟練の気配ですね〜、奥田さん。
どこにでもある生活の、どこにでもある人生の一コマ。
それを、喜怒哀楽、きっちり掬って過不足なく物語として描き出す。
今、テレビでいいホームドラマって、少なくなったじゃないですか。
なんかこう・・こんな世界、あるんかいな、っていう設定だったり、
やたらに感動モノだったり、なんだか違うなあ、と思うことが多い。
(と言っても、ほとんどテレビ見ない私が言っても信憑性ないですか・爆)
でも、やっぱり小説、ドラマの一番の普遍性って、ホームドラマにあると思います。
自分の人生は、外から眺められない。
それを、物語という鏡に映して、振り返ったり、泣いたり、笑ったり・・・。
とりたててドラマチックじゃない人生の中に沈んでいるものが、違う
形を持って浮かび上がってくる、面白さ。
それを掬うのが、奥田さんはとても上手です。

「サニーデイ」
ふとしたことから、インターネットオークションに凝ってしまった主婦。
これねえ・・わかるって(爆)あれ、入り初めは妙に楽しくてねえ。
あれこれ彷徨って、気がついたら、数時間あっという間に経ってます。
ちょっとした非日常。ちょっとした冒険。
「ありがとうございました」なんて、日常で言ってもらうことなんて、
買い物した時くらいしかない日常で、ちょっと誰かの役にたっていると
思えて、お小遣いも稼げる。でも、やっぱり「家族」でブレーキがかかる
主婦の可愛い小心さ(爆)この背中にかいた、いやな汗の切実さが
おかしい。この、「誰かの役にたっている」っていうところが、結構人が
何かにハマっていく盲点かもしれない。「意味」がつくのがね、大きいんですよね。
たとえ、その実態が小金儲けだとしてもね。この、うっすらとした毒気の
配合が絶妙です。

「ここが青山」
勤めていた会社が倒産して、主夫を始めた男。
それが、妙にしっくりくるということに気づいてく過程の面白さ。
家庭の中も、自分も、それでしっくり行ってるのに、周りがぎくしゃく
してる、そのギャップがおかしい。そのおかしさって、先入観や
世間の価値観に囚われてしまうおかしさ。
それを格言という、世間の価値観そのものみたいな言葉のおかしさ
とからめて書く、そこがうまい。

「家においでよ」
妻が出て行って、がらんとした家。そこに、それまでできなかった自分の趣味
ばりばりの城を築く楽しみ・・・。
そうか〜、妻ってホームパーティ好きなんか(私はキライ)
家は、常に大量の本で散らかっているので、人は呼べない。
このステレオや、ホームシアターを買い揃える楽しさを追体験しました。
私も、機械がすきなんで、この感覚、わかるなあ〜。
・・・で、やっぱり奥さんに、コンタクト取ったりするわけね。
どっちかに徹しきれない、これがまた人間の可愛いところ(笑)

「グレープフルーツモンスター」
う〜ん、同じ年頃の主婦として、笑えない内容ですな。
ま・・この、内容的には、深く触れずにおきますが(爆)
ん?と思ったのは、こんなにうまく自分のみたい夢を見られるって
いうのは、特技に近いんじゃないかと。
ええな〜、ってなんでうらやましいねん、って。
そこは、突っ込まないでください。

「夫とカーテン」
常に新しいところを求めて、ひととこに腰が落ち着かない人って
いますよね。攻めの姿勢、っていうか。
自分の父親が、実はこういうタイプやった。
体が弱かった分、ちょっとパワフルさに欠けたけど、常に新しいことを
したいタイプやったなあ・・。母は、それにいつも振り回されて、悩まされて
いたけど。シーソーみたいに、なんとなくバランスが取れている男女の不思議さ。

「妻と玄米御飯」
「ロハス」っていうのが、私も苦手なんで大笑いしちゃったんですが、
この、妻の「聖域」を荒らせない夫の危機感を伴う優しさに、ちょっとほろっときた。
私の聖域だって、きっとウチのダンナさんから見たら、むっちゃ突っ込みどころ満載
やろなあ・・。ま、どう突っ込まれても、仕方ないですけどね。
こういうのって、理屈じゃないですからね。
しかし、「ロハス」はきっとすぐ飽きちゃうと思うけど、私の聖域は一生ものの
病だろうから、ちょっと気の毒ですな(人事か)

このお話に出てくる男も、女も、どことなく可愛げがあって、憎めない。
最近東京に行くことが多いんですが、電車の中から町並みをみていると、
そのどこまでも切れ目のない、びっちりと詰まった街の様子にくらくらっとします。
大阪とかだと、環状線以外は、もう電車が走り出して10分もすると、てきめんに
田舎になったりするんですけどね。
こんなに人が暮らしていて、それぞれの生活があって、結婚したり、子どもを
産んだり、けんかしたり、仲直りしたり・・。してるんだよな、と思いながらあまりの
数に圧倒されて、現実感がなくなってしまう。大体、よその家庭って、すぐ傍に
あるのに、覗けやしない領域じゃないですか。最近は、特に近所ほど、お互い
警戒心も強くて、どういうふうに暮らしているのか、わからなかったりする。
その謎に、触れてみたい。こんな風に生きてる人が、あの屋根の下にいるのなら
この世の中も、そんなに悪くない、そう思わせる楽しさがありますね。
なんだかねえ・・いやなことが多い世の中だから。
こんな小説が、楽しく読めるのが、私をほっとさせる。そんなひと時も、いいですね。



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家日和 奥田英朗
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タイトル:家日和 著者  :奥田英朗 出版社 :集英社 読書期間:2007/08/06 - 2007/08/07 お勧め度:★★★ ...続きを見る
AOCHAN-Blog
2007/09/28 22:05
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ほんわかした、家の物語・・・。内容が想像と全然違ってて、驚いた。なんかね、表紙のジオラマを見て「平穏そうに見えるこの街で渦巻く、家がらみの怨念!」とか「家にこだわるあまり生まれた悲劇!」みたいなホラー系なのを想像してたんですよ、全然勝手に。・・・どうしてそんな想像してたんだ、水無月・R。 実際『家日和』というタイトル通り、よいお日和で〜♪的な、ほかほかした短編集でしたよ。あ〜楽しかった{%kirakira1_a%} ...続きを見る
蒼のほとりで書に溺れ。
2007/12/14 22:37

コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
(* '-')ノ ハジメマシテ☆ 「酔芙蓉に恋をして」のkaorihonokaと申します^^ 
http://kaorihonoka.ameblo.jp/
ご報告遅くなりましたが、勝手ながらTBをさせていただきました。お返しのコメント、どうもありがとうございます。
私もこの小説を読んで、平凡な中にもいろいろある生活感触れることができて、なぜだかほっとしました。
そこに、小さな愛があるからでしょうかね。
なんだか、可愛いんですよね。どの人もこの人も…♪
ワンセンテンスがとても短い奥田さんの文章は、読みやすいですね^^
今度は「ガール」を読んでみようと思います。
kaorihonoka
2007/07/21 11:12
>kaorihonokaさん
初めまして。コメントありあとうございます。
奥田さんの目線は、いつも基本あったかいですよね。
だから、読んでいてほっとします。人間て、そんなに悪いもんじゃないよね、って思える・・それはほんとに素敵なことです。「ガール」も大好きです(*^ ^)v これからもよろしくお願いしますね。
ERI
2007/07/22 22:58
ERIさん、こんばんは(^^)。
TBだけして、コメントを忘れておりました〜m(__)m。失礼いたしました。
このお話の面白さは、どこにでもありそうな家庭の内情に光が当てられることにありますよね。
おもわず「うぷぷぷ」と笑ってしまいます。
「妻と玄米御飯」の作家がロハスに対してひそかに突っ込みを入れまくるところ、非常に…笑えました。ぜひ、そのお蔵入りしてしまった作品、読みたいですよね〜。

水無月・R
2007/12/16 00:13

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