おいしい本箱Diary

アクセスカウンタ

zoom RSS 小川洋子対話集 小川洋子他 幻冬社

<<   作成日時 : 2007/06/07 01:27   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 2

画像大好きな小川さんの対話集!嬉しいやん、ということで
誰と対話してはるのか知らずに読み出したんですが、これが面白かった。
私は小川さんを、作品やエッセイからしか知らないんですが、こういう対談と
いうのは、いろんな人と話をする、ということでその人の持つ多面性がでますね。
ファンとして、なるほど、と思うところがたくさんあって興味深い本でした。
私は小川さんから発せられる言葉が好きなんだが、対談でも、そこかしこに、
はっとする言葉があって、それに惹かれてしまう。その言葉が小川さんから
出てくるというところに、ドキっとしてしまうのは、私が彼女の世界にけっこう深く
囚われている証拠かもしれない。以下、そのドキっとした言葉をいくつか上げてみます。

言葉は滅びない 田辺聖子

大好きなおせいさんと、小川さんの会話♪
田辺さんの小説っていうと、明るくて楽しくて、というイメージがあるんですが
私は、そこに潜む隠微さや理不尽さ、明るさの中に漂う死の匂いが、その
真骨頂だと思っていました。
いや〜、それをきっちり小川さんが、それも大好きな「ジョゼと虎と魚たち」に
絡めて述べてらしたのが、印象的。「喜びと死が背中合わせにある」ということから、
続く言葉が、いい。

「人間が死んだらどうなるのか、その答えのない問いかけに、ちゃんと答えを求めて
向かっていけるのは、小説だけですものね」(小川)
「私は言語文化というのを信じているんです。だから小説というのは滅びないと
思うのね」(田辺)

答えのない問いかけに、言葉で向かっていこうとする小説家の自負心。
こんなブログでも、言葉を綴るのは大変だと日々思う。
私も、読んだ本が教えてくれる言葉にならないところを書こうと日々苦労してるのかも。
なんでそんなことしてんの?と聞かれたら、これまた答えに詰まりますが(爆)

 妄想と言葉 岸本佐和子

この方を私は存じ上げなかったのだが、この対話を読んで、絶対読んでみようと
心に決めた。二人で、あれが好き、これが楽しいとおしゃべりしているのが
少女みたいで、微笑ましい。塔の中で、五百年刺繍するおばあさんとか、バイオリンの
中に住む小人とか。感覚が似てる人との会話って、こうやってどんどん発展していく
もので、この二人の秘密結社ぶりが、楽しい。

「実は私も一日1イベントがやっとなんです」(小川)
つまり、何か一つの用事がその日にあると、もうそれだけが気になって、仕事ができない、
ということらしい。あ〜、わかる・・。だから私も、この更新が深夜になるんですよね。
買い物行かなきゃ、とか。生協さんがある、とか。ご飯の用意しなきゃ、とか。
時間が区切られてると、どうも落ち着かないんだよなあ・・。でも、お肌に悪いからなあ。
ナントカして改善したい・・。

言葉の海 李昴+藤井省三

「私たちの世代になると抵抗すべき何かというものさえ見えない」(小川)
・・これは、同世代として実感です。見えないけれども、やっぱり何かが
口をどこかで広げているように思う。その中で「言葉への信頼感」を持って
物語を綴る。無意識の領海、私たちがつい忘れてあちこちに置き忘れてしまって
いるもの。それを言葉というもので形にすることで、私たちが生きるという自分の
物語を再確認できる。ただ流れてしまうのではなく、今ここにいる手触りを感じる
ことができる・・。何もかもが混濁しているような今の時代に、私たちの世代が
残していくもの・・。小川さんのこの決意が、頼もしい。


言葉を紡いで レベッカ・ブラウン 柴田元幸

小川洋子さんとレベッカ・ブラウンとの会話!個人的に興奮しました(爆)
レベッカ・ブラウンでレビューを書こうと思いつつ、そのままになってるなあ。
ああ。時間と気力がほしい(爆)

「それに私、言葉以外に道具を持っていないんです」(小川)

音楽や絵画が、耳に聞こえ、目に見える具体的な実感を伴うのに比べて
言葉というのは、実に抽象的な不完全な道具。言語による壁もある。
万人が使うのにも関わらず、物語を味わう人間が他の芸術より限られてしまう
のは、その抽象性にあると思う。想像力や感能力を試されるから。
でも、それだからできることがある。不完全な道具だからこそ、表現されたものが
より一層の力を持つこともできる。物語を読むということは、読み手がそこに自分の
物語も付け加えるということだから。先ほど書いた自分の想像力、感能力で
その物語を、どこまでも味わい、膨らませていくとこができる。
・・だから、そこにある言葉はシンプルなほど、いい。
言葉を紡ぐ二人の会話に、いろいろ考えてしまいましたね。

言葉をさがして 佐野元春  

小川さん、佐野さんのファンやったんかあ・・。
若いころ、よく聞きました。ちょっとご無沙汰やなあ。最近は大好きな彼の曲しか
聞いてないしな。で、音楽の話を読んでいると、やはり、おお、と思うことが多いですね。
自分だけの表現を求め、ファンとの関係を大事にするアーティスト、というのは
やはりどこか共通するものがある。(えっと、この項だけ、なぜか話がENDLICHERI☆ENDLICHERIにそれております・爆)

「いい意味でも悪い意味でも、個性的な誰かの一つの「妄想」が芸術作品を作り上げていくもの」(佐野)

アルバムを録音したときに、春雷に逢い、それに感銘を受けて録音したり。
人間を克明に観察していたり。音楽というのが、これまた非常に厳しい総合芸術で
あることを感じて、その姿勢に鳥肌がたちます。

伝説の背番号「28」と言葉 江夏豊

小川さんが熱烈な阪神ファンであることは有名です。
もう、江夏さんにすっかりメロメロな小川さんが、少女のようで可愛いです♪
目に見えない偉大な美に打たれることが、小説を書くきっかけになると。
そのきっかけが、数学であり、江夏豊である、その感性がいいなあ。
何から美を見出すか。人それぞれではあるけれど、その美の見出し方が
表現するということですね。この世には、まだまだ美が満ち溢れている。
そう思うことの幸福。


生きる言葉 五木寛之

最近すっかり五木さんの著書から遠ざかっておりました。
もうちょっと年とってから、読むかな、なんて思っておったんですが。
いや〜、ちょっとね、言ってはることが、あまりにこれまた好きな彼と重なってるんで
「へ?」と思ってびっくりしましたよ。
 
「命そのものの手ごたえがすごく軽くなっているのではないか」(五木)
「乾ききってひび割れかかったようなこの魂と社会に、なんとかオアシスの水を
注ぎ、いわば、みずみずしい魂と命を「復活」させなければいけないんじゃないか
と思うところがありますね。」(五木)

齢70才を超えんとする老大家と、28歳のミュージシャンの追うものが
重なる、ということは何なのかしら。と、またここで私は小川さんからずれて
しまったんですが本当に、これは面白いことだと思う。

今、自分で死を選ぶ人がやたらに増えていること、この社会が荒れていくことに
対する、小説家としての使命感。人生の案内人としての役割。
今、五木さんが目指して伝えたいと思っていること。その表現方法は、小川さん、
つまり私たちの世代には、ちょっと直截すぎると思うこともあるけれども
その内包しているものは、世代を超えるのかもしれない。


なんだか語りすぎてとりとめがなくなってしまいましたが(爆)
この本が「対談」ではなく、「対話集」であることに、小川さんのこだわりを
感じてしまった。一つ一つの言葉を、じっくり交わすこと。
お互いの言葉から、新しい何かを生もうとすること・・。
表現し、何かを伝えようとしている人たちの言葉は、また、私たちに
なにかを教えてくれる。これは、手元においてじっくり読むのがふさわしい本かも
しれません。

おいしい本箱 http://www.oishiihonbako.jp/index_f.php






テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(3件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
小川洋子対話集/小川洋子
小川洋子対話集/小川洋子 小川洋子さんの本は小説より対談や講演の本が印象に残っています。 小説を書くことは孤独な作業なのでその人となりは作品にしか表れませんが、対談や講演では小川洋子さんがどんな人なのかを、相手とのコミュニケーションでの身振り・表情・声.... ...続きを見る
仮想本棚&電脳日記
2007/06/10 06:42
小川洋子対話集 小川洋子
装幀はクラフト・エヴィング商會(吉田篤弘・吉田浩美)。日ごろから敬愛し憧れている方々とのやりとり、声の響き。行き先を照らしてくれる星のきらめきのようなもの…。以下、顔ぶれと内容。 田辺聖子(作家)−言葉は滅 ...続きを見る
粋な提案
2007/08/25 04:20
「小川洋子対話集」小川洋子
「博士の愛した数式」の著者、小川洋子さんの色んな著名人との対話集です。 ...続きを見る
デリシャスな本棚
2008/01/20 08:24

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
とっても楽しく読めました。小川さんがこんなに熱烈な阪神タイガースファンだったこと、まったく気がつきませんでした(恥)。
更新が深夜になる…時間が区切られてると、どうも落ち着かないのが一緒で、うれしくなりました。岸本佐知子さんの本、「ねにもつタイプ」がおすすめです(記事あります)。「ワーキング・ホリデー」にもトラバさせていただきました。
お忙しいこと、わかってますからTB遅れは気になさらずに。気長にお待ちしていますね。 
藍色
2007/08/25 04:19
>藍色さん
小川さんのタイガースファンは有名です(笑)
どうも、虎狂の血が流れておられるらしいです。
江夏投手とお話しておられるときの、小川さんの可愛らしいこと。初恋の相手と対談しているみたいで、とっても微笑ましくて・・。そういうとこも含めて、小川さんが大好きだなあと、思った一冊です。
ERI
2007/08/26 00:45

コメントする help

ニックネーム
本 文

記事一覧

小川洋子対話集 小川洋子他 幻冬社 おいしい本箱Diary/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる