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zoom RSS ふじこさん 大島真寿美 講談社

<<   作成日時 : 2007/07/29 00:11   >>

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画像ちょっとここのところ、いろんな事に疲れて心が弱っていて。
大きな話が読めない・・。自分の持っている熱量が、大作を受け止めきれない。
頁をあけては気が遠くなり、ぼけ〜っとしたり。停滞気味なんですよね・・。
そんな時には、大島さんです(笑)
ひっそり心に抱いて忘れてる小さなピアノを鳴らしてみるような。
そのピアノは、長らくほっとかれて調律も少し狂っていたりするんですが、
思い出してゆっくり鳴らしているうちに、ぷつんと張り詰めた糸がゆるんで
心ほどける・・。そんな快感があります。

「ふじこさん」「夕暮れカメラ」「春の手品師」の三篇が収められています。
どれも主人公は、人生に疲れた中学生の女の子。
中学生で人生に疲れるって、そんなんおかしいやん、って思うかもしれませんが。
疲れるんですよね・・あの頃。
世界は狭くて、大人がみんな詰まらなく思えて。
自分の行く先も、何も見えなくて。
この先にあるものを想像しただけでうんざりして、歩き出せなくなる時が・・。
あの時代独特の閉塞感を、思い出します。
何で、子どもの頃って、必死であんなに何かを守ろうとしていたんだろう。
自分が傷つくことよりも、何とかして、自分のまわりにある大切だと
思っていたものを守ることを優先させようとして、不器用ななりにがんばっていた。
でも子どもだから、それはいつも受身で、自分ではどうしようもないことも多くて。
その気持ちが切れてしまったとき、世界が色を失うような気持ちになったことを
思い出します・・。

そんな時に、自分の背中を、ふっと押してくれた人との出会いが、書かれています。
それは、家族でも友達でもなくて、ふっと出会うゆきずりの人。
離婚した父親の恋人、なぜかよくあう、近所に住むおばあさん。
本当に出会ったかどうかもわからないような、街角でであった手品師。
主人公の少女の、力になろうとか、手助けしようとか、そんなことを
全く考えていない人たちが、ふと示す存在感や、自分の知らない世界の匂い。
それが、ほんのちょっと、少女の頭を上向かせる。
そのほんのちょっとの角度の違いが、少女に別の風景を見せる。

こっちの世界では、宝箱なんてどこにも置かれていないの。宝箱なんてないんだもん。
宝物は宝箱に入ってはいない。そう。宝物はさりげなくそこらへんにひょいっとある。
ひょいっと置いてあるから、なんとかして、それを自分で発見しなくちゃならない。
そして、そこが大事なんだけど、誰にでも共通の宝物じゃないのよ・・「ふじこさん」より


きっと、若い命は、自分の中に、ちゃんと何かを乗り越える力を持ってるんだなあ。
その力の中には、自分の背中を押してくれる人やものに出会う力も含まれている。
きっと、人は何かに出会う。それを、心のアンテナを敏感にして待っている、
ゆっくりした時が、あっていい。女の子たちが朝顔のつぼみのようにゆっくり心をほどいていく
瞬間を、瑞々しく捉えて素敵です。読んでいる間は、まるで私も少女の気持ちで。
女の子たちと一緒に、ちょっと心が柔らかくなれた。

装丁も綺麗です。いい本だったなあ・・。

おいしい本箱 http://www.oishiihonbako.jp/detail.php?book_no=00001190

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ふじこさん*大島真寿美
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+++ こんな一冊 +++
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ふじこさん   大島真寿美 講談社 ...続きを見る
ナカムラのおばちゃんの読んだん
2007/08/07 19:20
ふじこさん 大島真寿美著。
パパとママが離婚するためリサの親権を争っている間、リサは週末だけパパのいるマンションへ行くことになった。そこでパパの恋人のふじこさんと出会う。どこをどう読んでもパパの魅力ゼロで、たいしてリサのこと大事とも本当に親権が欲しいとも思ってないのに、なんだかな~、.. ...続きを見る
じゃじゃままブックレビュー
2007/09/25 21:48

コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
いま、臨床心理学者の河合隼雄さんの本を読んでいるのだけれど
そのなかに「中学生くらいの時期は、普通の子どもに人格診断テストを受けさせると、その結果を見て経験の浅い心理療法士は精神分裂病と誤診することがある」というようなことが書かれていました。
それほどこの時期の心の中のせめぎあいは、並々ならないものなのだと思います。
この作品に出てくるゆきずりの大人たちは、そんなときに「明日」の方向にほんの少しだけ背中を押してくれる存在だったのかもしれませんね。
ふらっと
2007/07/29 08:49
>ふらっとさん
河合隼雄さんも、亡くなられましたよねえ・・。
ほんと。中学生くらいの時の心って、なんであんなに苦しいんだか。
でも。それを丁寧に書く大島さんの文章を読んでいると、もうとっくに大人になったはずの私の心も、同じように揺れて、心に沁みていく・・。
あの頃の気持ちは、どこかに行ってしまうのではなくて、そっと心に眠っているだけなのかもしれません、大人になるために・・。
ERI
2007/08/01 10:38
はじめまして。
読書ブログを書いていますaccoといいます♪
最近大島さんの本を読み始めて、「ふじこさん」も読んでみたい
一冊です。いつも装丁がすてきですよね。
ところで突然ですが、これからも参考にさせていただきたいので、
私のブログのブログリストに追加させていただいても
よろしいでしょうか?
よろしくお願いします!
http://dekigoto34.blog103.fc2.com/
acco
2007/08/03 23:29
>accoさん
初めまして。大島さん、最近ますます好きになってきました。
ぜひこれも読んでみてくださいね。
ブログリストに載せてくださるのですか?光栄です。どうかよろしくお願いしますm(_ _)m
ERI
2007/08/04 01:47
こんばんは☆
お返事ありがとうございました!
早速ブログリストに追加させていただきました。
今後ともよろしくお願いします。
acco
2007/08/04 20:53
子どもは大人にはない想像力を持っているのに、経験値のない想像はできない、って本文にあったじゃないですか。ああ、なるほどそうだな〜って。
だから今が目一杯で疲れてるのかなって。「ふじこさん」は大島さん特有の不思議な関係でしたけど、なんだかどれもこれも寂しくなってしまって・・・。
じゃじゃまま
2007/09/25 22:00
>じゃじゃままさん
寂しかったですか?確かに、どれも「一人」の匂いがしましたね。その一人の気配を寂しく思う時もあれば、一人であるということが、逆に心を暖めてくれることもあると思います。物語って、自分がそこに映るから・・じゃじゃままさんが、今ちょっと寂しくておられるのかも・・。そんな時って、ありますよね。
ERI
2007/09/26 01:39

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