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zoom RSS 頭のうちどころが悪かった熊の話 安東みきえ 絵・下和田サチヨ 理論社

<<   作成日時 : 2007/09/19 17:59   >>

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画像理論社らしい丁寧な装丁の、可愛い本。
どれも短編。読むのに時間はかからないのに、ぴりっとブラックな味わい。
そう・・ピリ可愛く、何やら不思議に愛しい物語たち。
柔らかい肌触りに引かれてうっとり撫でていたら、チクっと刺さった棘に
掌を噛まれてしまったりします。それでいて、その傷を、そっと誰かに伝えたくなるような
生きている味わい。
子どもが読んでも楽しいけれど、大人が読むと、もっとじんわりきます。

「頭のうちどころが悪かった熊の話」
「いただきます」
「ヘビの恩返し」
「ないものねだりのカラス」
「池の中の王様」
「りっぱな牡鹿」
「お客さまはお月さま」

の7編所収。
一番素敵だと思ったのは、本のタイトルにもなっている一つめの「頭のうちどころが
悪かった熊の話」。頭のうちどころが悪くて、ぼ〜っとした熊が、大事な相手だと
いうことだけがわかっているレディベアを探す話。とぼけた会話が、頭を打ったせいなのか
この熊の元々の性格なのか、と最後まで読むと思うという、凝った仕掛けです(笑)
次々に出てくる動物たちを、「君がレディベア?」と聞いてまわるのは、絵本などの
お約束の一つ。これは、その会話がよほど気が利いていないと成功しないんですが
綺麗な日本語でのウイットの富んだ会話が、トーストの上のバターのように
香ばしく溶けてジュワっと沁みます。最後にちゃんとであったレディベアが、
可憐でもなんでもなくて、肝っ玉母さんみたいなのが、これまた良し。
この、ちょっとぼんやりした熊が、可愛いのね。
この物語を読んで、「幸せは、身近なところにある」なんて
いう知ったかぶりを言うのも、ちょっと野暮。クスクスっと笑って、心の端っこに
リスの冬眠の蓄えのようにちょいとしまって、心が棘のある溜息で
いっぱいになりそうなときに、ちょっと取り出して齧ってみる。
何にも考えないで感じるままに・・・。
そんな読み方がふさわしいかな、と思う。

誰かにプレゼントしたくなる本でした。

おいしい本箱 http://www.oishiihonbako.jp/index_f.php

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タイトル (本文) ブログ名/日時
頭のうちどころが悪かった熊の話 安東みきえ
絵・下和田サチヨ 収録作品:頭のうちどころが悪かった熊の話/いただきます/ヘビの恩返し/ないものねだりのカラス/池の中の王様/りっぱな牡鹿/お客さまはお月さま 熊、トラ、カラス、ヘビ、おたまじゃくし、鹿、熊が織り成 ...続きを見る
粋な提案
2007/10/02 16:11
『頭のうちどころが悪かった熊の話』/安東みきえ ◎
「頭をうって、記憶を失っちゃった熊さんが、大事な〈レディベア〉をさがす」という単純な物語の中に、気持ちがほっとするような経過が描かれていく。大人にも読み応えのある童話、とは確かにこういう物語をさすのだな、と思う。示唆に富んでいる、という言い方では、何だか物足りない気がする。 かわいらしい動物たちの7つの物語は、あっさりと描かれているようで、それぞれにふんわりとした印象を残す。独立した物語ではあるけれど、少しずつリンクしているのもいい。 ...続きを見る
蒼のほとりで書に溺れ。
2007/10/19 22:25
頭のうちどころが悪かった熊の話 安東みきえ
頭のうちどころが悪かった熊の話 ■やぎっちょ書評 ジャケとタイトルに吸い寄せられるように魅かれて読みました。 タイトル秀逸だと思うんだけど。そう思いませんか? ...続きを見る
"やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書...
2008/01/11 23:04

コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは(^^)。
そう、レディベアが美しく気高いメス熊ではなく、どついて抱きしめるという乱暴な愛情表現をする熊だった、っていうのがイイですよね♪
とぼけてる記憶喪失熊とどつき熊。漫才みたい・・・(笑)。
水無月・R
2007/10/19 23:44

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