おいしい本箱Diary

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help リーダーに追加 RSS その向こう側 野中 柊 光文社

<<   作成日時 : 2007/09/25 23:59   >>

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画像女の子の閉じ込めた思いが、淡い色彩で描かれる。
薄い水色や桃色の硝子球をたくさん転がしてできる
光の反射のよう。でも、一番大切な、濃い色をした思いは
転がさない・・転がせない。そのもどかしさと、想いを抱き続ける
甘い痛み。女の子から女になる一瞬の気だるい時間が、ゆっくり流れる。
苦くてほろ甘いビタースィートのデザートのような味わいでした。
お洒落だわ・・。

粗筋は・・あってないようなもの。主人公の鈴子は、大学の三回生。
若い頃に、自分を生んで一人で育ててくれた母親と、その恋人が
もうすぐ結婚する。母の恋人である敏史は、インテリアプランナーで
大人の魅力ある男。一人暮らししたいと言う鈴子のために、横浜に
素敵な洋館の一室を探し出してくれたりして、長年父親の役割も
果たしてくれている。BFもいる鈴子なのだが、心の中には、初めて
好きになった敏史への思いが、ずっとたゆたっている・・・。

しなやかな子猫のような鈴子という女の子が、とても魅力的です。
髪型や顔かたちは、ほとんど描写されないのに、その瑞々しい肌の
質感や、湿った肌触りが想像できる。髪の柔らかさと、きっと蒼がかった
瞳も。これから、仕事や結婚で、否応なく積み重ねられる疲れがまだ
染み付いていない、透明さ。野中さんが書きたかったのは、この女の子を
横浜や、東京のあちこちに配する風景だったんじゃないかしらん。
BFも、可愛い友達も、理解のある母親も、お洒落な部屋も・・・。
うらやましいくらい持っているのに、どこかぽつんと空虚を抱える
女の子。その空虚と、空や海のある風景が響きあう。
そのハーモニー。

未来に対する恐れと、強い力でどこかに連れ去られたい衝動を
感じるラストシーンが美しい。
この物語を読みながら、ユーミンの「海を見ていた午後」を思い出した。
こんなお洒落な青春は送っていないのに、何だか昔のアルバムの頁を
めくるような気持ちにさせられる、いい手触りの物語でした・・・。

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その向こう側 野中柊
装画は大谷有紀。装丁は名久井直子。初出「本が好き!」 主人公で語り手の笹川鈴子は大学三年生。シングルマザーの母と長年の恋人・高田敏史さんとの結婚が決まる。好きな二人。幸せでいてほしい。だけど、心が騒ぐのはなぜ。横& ...続きを見る
粋な提案
2007/10/02 16:25
「その向こう側」 野中柊
その向こう側野中 柊 (2007/08)光文社 この商品の詳細を見る 踏み入ることのできないはずの一線を越えたなら、その向こう側には何があるのだろう。少女から大人へのほろ苦くせつない成長物語。 大学3年生の鈴子。父親のいな& ...続きを見る
読書日和
2007/10/13 20:49

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
あぁ…レビュー読みながら、うっとりでした。
物語を追うのに躍起になっちゃいましたけど、こういう景色を愛でるような読み方、追体験できてよかったです。
野中さんの『プリズム』も楽しめましたよ。
「読んだ本3冊」はお門違いですけど困ります。以前も『シャドウ』にトラバできなくて、今回は『ビター・ブラッド』(予定)が…。

しばらくウェブリブログからのトラバが届かなくなってたので、こちらからは停止していました。
今日直ったみたいなので、いくつかまた溜まってますので急いでうかがいました。
「いっぺんさん」未着でしたので再トラバ、お願いいたします。
「頭のうちどころが悪かった熊の話」にもトラバさせていただきました。
藍色
2007/10/02 16:24
>藍色さん
あはは・・怠慢なレビューでごめんなさい(笑)
「いっぺんさん」もう一度TBしてみました。届いてるかしらん。いつもマメに覗いてくださってありがとう。
藍色さんみたいに、きちんとしてない適当なブログなのに、感謝してますm(_ _)mしかし、「ウェブリブログ」って使いにくい・・。移転も考えてるんですが、手間がねえ・・と面倒くさがりの私は二の足を踏んでおります・・。
ERI
2007/10/02 20:58

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