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zoom RSS ボクシング・デイ 樫崎 茜 講談社

<<   作成日時 : 2008/03/14 02:14   >>

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画像「ボクシング・デイ」って、何かご存知ですか?
私も、この本で初めて知ったんですが、一日送れで
クリスマスプレゼントを開ける日だそうです。
普通、クリスマスプレゼントは、24日のイブか、
25日に開けるものですよね。
でも、皆が皆、そうできるわけじゃない。
いろんな事情で、プレゼントを開けられなかった
人のために、ある日。それが、ボクシング・デイ。

この物語は、「ち」と「き」がうまく発音できない
女の子の話。ちゃんと二つの音の区別は聞き取れる
のに、いざ自分の口で発音しようとすると、うまくいかない。
主人公の栞は、その違いをうまく発音する練習に
学校の中の「ことばの教室」に通っている。
そこには、佐山先生という、定年間近の先生がいて、
栞に、言葉の発音の指導をしてくれるのだ。
はじめに書いた「ボクシング・デイ」は、この先生が
栞に教えてくれた言葉。
「すべての子どもに、ボクシング・デイを渡す」ために
先生になったのかもしれない、という佐山先生と、栞が
ゆっくり、新しいプレゼントを開けていく、穏やかで、優しい物語。

「言葉」をうまく発音できない部分がある、ということは
この世界とのコミュニケーションの扉をあける時に
ひっかかりが一つできるようなものか・・と想像します。
他の子がうまく、すっと明けられる扉が、こう・・きしんで
開けるのに、とても労力がいる感じ。
私自身、幼いときに、なんだかうまくこの世界に馴染めなかった感覚が
根強くあったことを強く記憶しているので、この栞の戸惑いや
悲しみ、周りへの気遣いに、シンクロしてしまう。
でも、こういう、自分を取り巻く世界と、自分がしっくりいかない感じと
いうのは、多かれ少なかれ、たくさんの人が持っている感覚なのだろう、
と思う。そして、その中で、なんとかもがきながら、人は
その扉をあけようとする。子どもの時に、いろんなことがうまく
いかないのは、当たり前のことだけれども、その当たり前のことが
許されない場所が、どれだけ多いことか・・。
そんな時、子どもの背中を、そっと押してあげられる佐山先生のような
人が、いるか、いないか。それは、大きな違いだと思う・・・。
私は、後の世代に、佐山先生が栞に残したようなプレゼントを
あげられるのだろうか・・・と考えてしまった。
私は、思い返せば、先生という人たちに、たくさんプレゼントを
貰ったほうなので、この先生の暖かさが、懐かしかった。
昔、よく通った保健室の先生が、甘いコーヒーを入れてくれたこと。
仲良しになった女の担任の先生の家に、泊まりで遊びにいったこと。
放課後に、好きな先生のところにいって、いろんなお手伝いをしながら
たくさんお喋りをしたこと。どんな話をしたかは、もうおぼろげな記憶しか
ないけれど、その時の先生たちが、真心を持って接してくれたことは
優しさとして記憶に残っている。それは、ほんとに大切な、貴重な
ことだったんだなあ・・と、今思う。
今、そんな風に、先生と触れ合う余裕が、先生側にも、生徒の方にも
なくなっているようなのが、寂しいですね。
安易に、昔は良かった、なんていいたくないですけどね。

ナイーブな栞の内面が、丁寧に描かれているも、良かったですね。
栞は、この世界と、ちょっと距離がある。
だからこそ、物言わぬセコイアの樹や、校庭に書かれたスイミーの
耳に聞えない言葉に、耳を澄まそうとする。
それは、この世界の、もう一つ奥にあるもの、「心」というものに耳を澄ます
営み・・・。人と人が一緒に生きていくために、そして、目に見えないたくさんの
美しさを感じるために、必要な営みなのだと思う。
子どもは、人は、ゆっくり、歩いていけばいい。
そして、たくさんのプレゼントを受け取ったり、与えたりしながら生きていけばいい・・。
そんな樫崎さんの、願いを感じる一冊。
今・・・こんな優しい場所は、学校にあるのか・・という一抹の疑問は
感じはするのですが。女の子の世界の厳しさといったら、それはそれは
壮絶なものがあるんで。栞が、いじめられなかった、というのは
実際には奇跡に近い。でも、だからこそ、こうであって欲しい、という
願いは、強くありますね。

読んでよかった、と思います。

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『ボクシング・デイ』
『ボクシング・デイ』 著 者: 樫崎茜 出版社: 講談社 発行年: 2007年1 ...続きを見る
会社ともおの読書日記
2008/03/18 18:06

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