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zoom RSS フラミンゴの家 伊藤たかみ 文藝春秋

<<   作成日時 : 2008/03/19 23:26   >>

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画像徹頭徹尾、コテコテの大阪弁の物語。
コテコテ・・というか、非常にリアルな大阪弁。
ドラマなどで扱われる大阪弁は、もうちょっと
昔の大阪弁であることが多い。
そう。ちょっと、誇張された、いかにも、の
大阪弁なんですが、この伊藤さんの大阪弁は、
リアル大阪弁という感じの、今、この時に、あちこちで
使われている、生の匂いのする大阪弁だった。

方言で小説を書く、ということは、中々難しい面もあると
思う。特に、大阪弁というのは、お笑いの手垢がついて
いるので、難しい。
でも、あえてそれに、これだけ拘っておられる伊藤さんの
「押し」に、うまく寄り切られた感じ。
大阪弁・・そして、この言葉を使う人間の、含羞やシャイな一面を
読ませてもらった。これは、同じ大阪モンとして嬉しいことです。

主人公は、正人と、別れた妻との間の娘・晶。
元妻の翔子がガンになり、他に行き所がなかった、晶が
正人のところにやってくる。
12歳という、思春期の入り口の娘に、はじめはどう接していいのか
わからない、正人の右往左往ぶりが、ほのかな可笑しみを誘う。
不器用なんだなあ・・・。
その不器用な正人を、包み込む、「地元」というコミュニティの
強さと逞しさが、じわっと、夜にともるネオンみたいに、広がってくる
その感じが、よかったですね。

そんなに綺麗やなくて、でも、ちらちら光ってて。
昼間見てもなんや、ぱっとせえへんけど、夜に点ってると、妙に
懐かしくて、ちょっと寄っていこかな、と思うようなネオン。
大阪、と言っても、中心部の都会やない、そんなに特徴もない、田舎。
ファミレスと、ちょっとした繁華街と、埃っぽい道路のある町。
いや、もう、そんなん、掃いて捨てるほどある、そのへんに転がってる風景。
その中で、ずっと大きくなってきて、家族も友人も、全部その地元におったりして。
幼馴染の高井戸や、その妹のあや子、逞しいオカンに、商売上手やのに
アニキをちゃんと立てる弟の龍二。登場人物の誰もが、
昔から知ってる友達みたいに浮かび上がる。
うまいなあ・・。
正人が、その中で愛されてることが、ようわかるんである。
彼は、あんまり、商売もうまくなかったり、イキがってても、ケンカも大して
強くなかったり、ちょっと見、ぱっとしないんであるが
心根が、非常に誠実で、優しい男。
でも、大阪モンの常として、そんな風に見られるのは、恥ずかしゅうて
ガマンできひん。そんな男の含羞が、彼の優しさが段々わかってくる
晶の気持ちを通じて、こっちに流れこんでくる。
晶が、自然に「パパ」を正人を呼んでいく、その過程にある
二人の会話も、とてもいい。子どもを一人前の人間として
上にも、下にも扱わない誠実さがあります。
晶は、きっといい女に育つなあ。

久々に読んだ伊藤さんの物語は、おかしゅうて、やがて悲しくて
でも、あったかい人生の物語。
・・・あ、こうして書くと、粘っこい雰囲気を想像される人もいはるかも
しれませんが、タッチは非常にさらっとして、それも心地よかった。
いわゆる、浪花節ではありません。
「今」の大阪という時間を生きる人間の、等身大の物語でした。
「家族」の物語を読みたい人にオススメです。

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笑う社会人の生活
2012/09/13 20:13

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