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zoom RSS 東京島 桐野夏生 新潮社

<<   作成日時 : 2008/06/28 23:12   >>

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画像タフだわ。桐野さんのタフネスぶりには感嘆詞をいくつ
つけても足りないくらい感心します。
設定も展開も、「生」のエネルギーが、これでもか、これでもか、と
迸って、ちょっとぐったりするほどです。
無人島に流れ着いた32人の男達と、一人の女。
その人間たちの「生きる」ことを巡る、ごちゃごちゃの攻防が描かれて
いて、ド迫力でした。

面白いのは、たった一人の女として君臨する清子の、他の男達全てを
凌駕してしまうほどのしたたかさと強さですね。
こうして、文明とか、お金とか、持ち物なんかの自分を飾るものがなくなった
世界で、女はとにかく「生きる」ことにむき出しになる。
もう、非常に直接的で、強靭なメス虎のような獰猛、と呼びたくなるほどの
逞しさ。「動物」なんですよ、ほんと。
ところが、男達は、そうはいかない。男の人って、どんな場所でも、自分が
ここにいる理由が、欲しいんだわなあ・・。
自分がなぜ、ここにいるのか。
なぜ、生まれてきたのか。
食べて、寝て、という人間の最低限の欲望以外のところで「自分」を見せたい。
特に、日本から流れ着いてきた男達が、そんな「自己実現」を目指して
「文化」らしきものを形成していくのが、非常にそれらしくて、面白い。
それが、いちいちチープでまがい物の匂いに満ちているのが
また、独特の気配を生み出しています。
思い出したのは、昔見た、地獄極楽図の血の池地獄。
たくさんの頭や足が絡み合う光景ですが、怖いものみたさに
必死で目を見開いたりしてしまう迫力に満ちております。
その混沌から、人は、また物語を産み出していく。
最後に、残されたプリンスに語られる、この島の逸話が
創世記の物語のようになっているのがなんとも象徴的。
「神話」のはじまりって、ほんとはこんな風なところから生まれるのかも
しれない・・。
それがまた、今の東京、日本、現代への批判とも読める。
あれを思い出しました。スウィフトの「ガリバー旅行記」。
あの、過剰な混沌に繋がるものがあります。
桐野さんのエネルギーは、グローバルだわ。

桐野さんらしい、グロテスクと混沌。
彼女には、見たくないものをいつも見せられてしまうわけですが
今回も、やっぱりそうでした(笑)
でも、ま、桐野さんはこうでなくっちゃね。
女である私は、何となく上から目線で読めて楽しかったんですが
(それも、ちょっとヘンですか)
これは、男の人が読むとどう思うのかなあ。
是非、聴いてみたいところです。

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