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zoom RSS 生きるとは、自分の物語をつくること 小川洋子 河合隼雄 新潮社

<<   作成日時 : 2008/10/03 11:25   >>

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画像小川洋子さんと、河合隼雄さんの対談です。
本当は、もっと回数を重ねる対談になるはずだったようですが
途中で河合さんが亡くなられたので、二回だけで終わっています。
その後は、小川さんの追悼文が載せられています。
河合さんは、カウンセリングの大家であるだけに、会話を重ねて
いく間に、小川さんの心の内にある言葉を、どんどん引き出していく。
また、小川さんが「人の話を聴く」という事に対して、まさに「耳を傾ける」と
いう言葉がぴったりの姿勢をお持ちなので、お互いの考えが
シンクロしながら広がっていく・・・。
非常に興味深い話題が繰り広げられ、次に展開しそうだったのに・・。
二回で終わったのは非常に勿体なかったです。

小川さんは「なぜ小説を書いているのですか」と問われることが
非常に怖かったらしい。その問いに対する答えを具体化することが
できなかったから。そんな時に、河合さんの物語に対する解釈に
触れ、それまでの自分の混沌とした思いに、光が射す思いがしたと。
生きること、そして死んでいくこと・・悲しみや病気などの理不尽を
受け入れようとする時、人間は、物語を必要とする。

「物語に託せば、言葉に出来ない混沌を言葉にする、という不条理が可能になる」。

これ、とてもよくわかります。言葉に出来ないことだから、物語として語る・・。
なぜか、生まれてから、いつもこの心の中にあって、痛みのような、
憧れのような、切なさのような、どこかに帰りたいような、ぽっかりと
空いている穴のようなものの正体を知りたくて、ずっと小説を読んで
きたような気がしているので。きっと、この得体の知れない不安は
人が人である限り・・人間である限り、ずっと持ち続けるものなんでしょう。
小川さんは、どこかにいる誰かの・・物語を必要としている人たちの
ために、物語を紡ぎ続ける。私は、その物語たちを、その空っぽの穴に
いっぱい詰め込んで生きている・・需要と供給だなあ、と感心したりして。


「みな生きるほうにちょっと心を奪われすぎて、死ぬことを忘れているから
変なことが起こってくる。」
「魂と魂を触れ合わせるような人間関係を作ろうという時、大事なのは
お互い限りある人生なんだ、必ず死ぬもの同士なんだという一点を共有
していること」


小川さんの小説に漂う濃厚な「死」の気配に、私はいつも惹かれてしまう。
「沈黙博物館」の、決して出られない村。「薬指の標本」の地下室。
「ミーナの行進」の、光線浴室・・。そこに身を潜め、ひっそりと気配を
殺し、しーんと音のするような沈黙の気配を聞くと、いつも奇妙な安らぎを
覚える。そして、その場所から見る、例えば青い空は、若葉の輝きが
いつもの何倍もの光を伴って心に流れ込んでくる。
私にとって、その光は、生きることの美しさ、そのものに思える。
ひそやかに存在し、忘れられようとしている記憶、物語たちを
言葉という道具で繋ぎとめようとする小川さん。
河合さんの言葉が、その小川さんの生き方と繋がり、また、遠く離れた
私の心とも繋がっていく。その不思議さを感じながら、また
小川さんの物語が読みたくなりました。

「夜明けの縁をさ迷う人々」のレビューを書いてなかったなあ・・。
読み返して、書いてみようかな。

おいしい本箱 http://www.oishiihonbako.jp/index_f.php






生きるとは、自分の物語をつくること
新潮社
小川 洋子

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