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zoom RSS 『セーヌの川辺』池澤夏樹(集英社)と『日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか』内山節(講談社)

<<   作成日時 : 2008/11/15 00:13   >>

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画像たまたま続けて読んだのですが
何となく、自分の中で考えるところがあったので、
一緒に書いてみようかと。

池澤さんの本を、私は、それほど読んでいないのだが、
河出書房新社から出しておられる、彼の編による
世界文学全集が、欲しいなあ〜と、ずっと思っている。
ただ、置く場所がないのである。でも、いつかそろえて
老後の楽しみにするんだ、と思ってるんですけど。
(老後の楽しみが多すぎて困りますが)
池澤さんは、今、フランスに住んでおられるらしい。
日本以外の国にいることで、相対的な視点を自分の中に
おいて、そこから主題を獲得する、というやり方で小説を書く彼は
日本を出て、外から祖国を見ている。

フランスという国は、革命から、今の共和制という国のあり方を作ってきた。
そこにあるのは、共和制という理念による統治のあり方なんである。
国家が自分たちのものであるという意識が強烈にある。
フランス人として生まれるのではなく、理念を叩き込むことでフランス人になる。
その姿勢は、言語に対する徹底した管理や、教育にも及ぶ。
国が、個人というものを基本にして成り立っている。
これを肌で感じる事例が、あれこれと書かれていて、面白かった。
国のやり方がおかしい、と思えばストも、デモも当たり前なのである。
こういう風に、国家と個人が有機的に結びつくやり方は、日本では成立しなかった。
だって、何を教えてもらわなくても、私たちは、「肌で」自分が日本人であることを
感じている。感じられるから、闘わなくてもいい。
真面目に政治について考えるのはダサい、という感じ。
何となく、誰かがやってくれるんじゃないの、という合意。
同じ先進国、という中で、どうも日本という国の影が薄いのは、
この暗黙の了解が、外からわかりにくいからなのだろう。
日本が、近代化のあとに、手に入れられなかったものが、この本から透けて見える。

画像

では、日本という国は、何を合意として持っていて、どういう理念で
生きてきたのか。その一つのあり方を、内山さんは「キツネにだまされる」という
事が、普通に起きていた時代の、日本人の世界観として解説してくれている。
農業を生業とした私たちは、自然を含めた村の共同体の中で、この世界を
捉えてきた。自然を神と捉え、その自然と共に生きる共同体の中にいる
ことが「自分」であったのだ。しかし、その伝統は、経済社会の中で、なくなって
しまっている。キツネにだまされる文化は、なくなってしまった。
感覚を研ぎ澄ませて感じてきた、目に見えない記憶と歴史はなくなってしまった。

日本という国が、手に入れられないものと、失ってしまったもの。
もはや、自分の国の食料もほとんど輸入に頼っている私たち・・。
いろんな価値観がゆらいで、その中で、この国が、溶けてなくなって
しまいそうにも思える今日この頃ですが。
たまたま読んだ二冊の本が、日本という国の抱える問題の裏表のように思えて、
果てしない気持ちになってしまった。
私だって、祖父母までさかのぼれば、そういう共同体に住んでいたんだよなあ。
でも、もはや、私たちは、その時代には戻れない。
かといって、欧米のように国家を理念で構築する、精神基盤も持たないわけで・・。
どうすりゃいいんだい、というところですが。
何かしなきゃいけないんじゃないの、と思う。手始めは、やはり自分の頭で
考えることかな・・。ああ・・蟻の行進みたいなもんですね。
でも。そこかな、と思います。考えよう。うん・・。
そして、こうやって駄文を綴ることくらいしか出来ないわけですが。
大風呂敷を広げたわりには、ちっちゃい結論やな。自分の頭に、がっくり(笑)

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集英社
池澤夏樹

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日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか (講談社現代新書)
講談社
内山 節

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