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zoom RSS 子どもに本を買ってあげる前に読む本 現代子どもの本事情 赤木かん子 ポプラ社

<<   作成日時 : 2009/03/13 02:50   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 4 / トラックバック 1 / コメント 9

画像赤木かん子さんを知ってますか。
児童文学の専門家で、YAや児童書の紹介の本を
たくさん書かれています。本の探偵さん、つまり
「昔読んだ、こんな本のあったんだけど、タイトルがわからない」と
悶々とする人たちに「ああ、その本ならこれよ」と教えてあげられると
いう、生き字引のような人です。そして、赤木さんは
児童書と一緒に生きてきた人ではなくて、子どもと一緒に
生きてきた、つまり現場を知る本の専門家です。
その赤木さんが、「今」の子どもたちの読書事情を書いたのが
この本。いやー、ほんと、身に沁みました。

昔面白いと思った本が、なぜ今面白くないのか?
全く子ども達に読まれなくなったのか?

子どもの感覚と、大人の感覚のズレ。
これは、昔よりも今の方が顕著ですよね。だって、時代の動き方が
半端じゃないですもん。私が子どもの頃の話をすると、息子たちが
「それって、いつの話?」などという。そんな、100年も前のような
事をいうな、ってつい言いたくなりますが、感覚的にいうと
もっと隔たりがあるかもしれません。あるモノや、人が流行って
すたれていく、その間隔も全く違う。
例えば若者たちとカラオケにいくと、彼らが歌う歌を、私たちは
歌えない。早すぎるんですよ、テンポが。
いやー、おばちゃん無理やわー、なんて事になるんですが、
カラオケの歌なら簡単に降参できるこの世代差に、なぜか
本が好きな人たちは馴染めない。
思いいれが強すぎるのかもしれない。私も、そうです。
赤木さんが、面白いたとえをこの本の中で言っておられました。

ゲド戦記を自分のものだと思うのは、団塊の世代前後。
十二国紀を自分のものだと思うのは、アラフォー世代。
そして、ハリー・ポッターを自分のものだと思うのは、新文化の人。
ハリーが、世代をわける。・・私は、見事十二国紀の世代です(笑)
そう、ハリーは読めない。いや、読んだんですけどね、やっぱりダメなんです。
私にとって許せないことが多すぎる。背景のない、書割の世界で
魔法ごっこをしてるようにしか思えないんです。
あー、私って古いんだわー、と再認識しましたね。
まあ、古いのは仕方ないとして、赤木さんは、その古い世代が
今の子どもたちの本を攻撃するのは、許せない、とおっしゃる。
それは、わかります。「こんなのは程度が低いから読んじゃダメ」なんて
言われても、自分にとって面白くないものなんて、読めないものなあ。
どんどん、子どもが読める本の内容は幼くなってきています。
例えば、昔、私は「嵐が丘」や「ジェーン・エア」を小学生のうちに
読みましたが、今は、よほど本が好きな子でも、ちょっと手がでないでしょう。

図書館の子どもの本の現場でも、やっぱりいろんな面で子どもは
しんどいな、と思うことが多いです。
今の子どもたちは、時間がない。忙しいんです。
分刻みでスケジュールが決まってたり、します。
ぼけーっと、本やマンガに耽溺してる暇なんて、なかなかない。
携帯を持つようになれば、メールに時間がとられる。
部活をすれば、もう、朝から晩まで、部活一色。
そして、活字文化の一番大きな部分は、ネットの世界に流れてきて
います。私も、その恩恵にあずかっている「ブログ」という文化。
だれでも発信できる活字が、パソコンに、携帯にあふれてる。
毎日更新されるそれを、追い続けるだけで、活字なんてものには
お腹いっぱいになっちゃいます。
赤木さんは、そういう「今」の子どもたちの現実に、大人も歩み寄って
いくべきだ、とおっしゃる。親が、自分の好みで、本を押し付けても
無理なんだから、という事です。うん、それも一理ある。

でも、私は、この子どもの本の現状には、もう一つ要因があると
います。それは、お金。赤木さんも書いておられますが
子どもの文化が、今、日本から
なくなりつつあります。多分、それは、子どもより大人を
ターゲットにした方がもうかるから。
昔は子どもの物だったマンガは、すっかり大人のものです。
子ども達が必死で読むのは、今でも「ドラゴンボール」
「ドラえもん」「マリオくん」「名探偵コナン」。
新しい子どもマンガのヒットって、ないんですよね・・。
そして、アニメだって、そう。子どもが安心して見られる
アニメは、ゴールデンタイムから姿を消してます。
深夜のオタクアニメばっかですよ。
ゲームも、もう、子どものものじゃない。大半が、やたらに難しい
大人むけのものです。数が少ない子どもをターゲットにするより
そりゃ、団塊の世代を狙ったほうがもうかるもんなあ・・。
児童文学の書き手も減っています。
かってのYA、児童文学のスター、森絵都さんや、あさのあつこさんも
大人の文学にシフトしていきました。

特に、小学校中学年くらいの子がリアルタイムで読めるようなものが少ない。
だって、食べていけないですよ、児童文学書いてても。
・・で、そこから、さーっと子ども達が「本」から遠ざかってしまう。
もったいないよなあ、本を読むという人生の楽しみを
知らないなんて、と、やっぱり胸が痛むんですよね。
市場主義は、子ども文化もなぎ倒していく。

そう、私たち本好きは、横暴かもしれませんが、やっぱり、
子どもたちに、「いい本」の面白さを知ってほしい。
良書主義とは言いませんが、
読みたい本がないからって、BL(ボーイズラブ)本を
小学生のうちから、読んだりするのは、やっぱり違うだろう、と
思うんですよ。子どもたちは、私たち大人が一番大事に
しなければならない、未来へ残す財産です。
その子ども達に、「読みたい」と思うような、心が生き生きするような
本を与えてやれないとしたら・・。
それは、大人の怠慢なんじゃないかしら、と思うわけです。
そして、自分で本を産みだすことができない私のような立場の
人間は、もし、「子どもに本をすすめる」事が、ある種大人の
横暴だとしても、出版される本を自分なりにあれこれ選んで
「これ、いいよ」っていう機会を作るしか手はないよな・・と
思うんですね。そうして、いい本をどんどん評価していくことが
もしかしたら、少しでも橋渡しの役割を果たせるかも
しれないと思うからです。「いい本」って何?って聞かれたら
それは、もう、長年本を読んできた勘としか言いようがないですが。
でも、伊達に何千冊も本を読んできてないからね、という自負も
多少はあります。

私は、「本を読む」という事が、この生き難い
時代を歩く上で、心の手助けになる、と信じています。
いや、そう思いたいですよ、本を愛してるものとして。
そのために私が払う努力を、どうするべきか、今、考えているところです。
赤木さんの本で、またその事について考える機会を得て、ありがたかった。
「今」の子どもたちの本事情を知りたい人は、ぜひ、どうぞ。

おいしい本箱 http://www.oishiihonbako.jp/index_f.php




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タイトル (本文) ブログ名/日時
子どもに本を買ってあげる前に読む本
図書館で働いてらっしゃるERIさんのところで教えていただいた本を読みました。 子どもの本に興味がある人なら、赤木かん子さんのお名前はきっとご存じでしょう。子どもたちと子どもたちの本の世界で生きてこられた赤木さんの新刊です。 ...続きを見る
POCO A POCO
2009/04/04 13:29

コメント(9件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。
あちらこちらでお世話になっています。
この本、とてもそそられます。

これまでは、自分が読みたいというだけで、本を持ってきてその辺においておいたり、一緒に読んだりしてました。でも、だんだん彼らにも読みたいものがでてくるんだなあと思うと、これはぜひ読まねばと思いました。
shoko(ゆらゆらゆるり)
2009/03/13 05:20
>shokoさん
私も息子たちが小さい時は、そうしてました。
読んでほしい本は、読み聞かせてたんですよ。そうすると、すっと本の世界に入ってくれたので。
「無理強い」するのではなくて「さりげなく関わる」くらいのスタンスがいいんでしょうかねえ・・。
なんでも、距離感が近すぎるとうっとうしがられますし、遠すぎると無関心になってしまう。難しいところですね。赤木さんがこの本の中でされている指摘は的を射ているところが多くて勉強になります。
ERI
2009/03/13 19:51
ERIさん、こんばんは(^^)。
そうなんですよねぇ・・・小学校中学年から(-_-;)。
本は嫌いじゃないけど、私が子供のころに読んでた本は「ムズカシイ・つまんない」。
読まない子になって欲しくはないけど、かといって「何だかつらつらっと読めて、後味の残らない」ような本ばかりというのも・・・。
難しいところですね。

子供の小学校の司書の先生とお話しする機会が先日ありました。
やはり、絵本なら読むけど、ページ数が多くて挿絵のない児童書になると、とたんに読まなくなるんだそうです。中学年ぐらいから。
良質なYAも出てるのですが、いかんせんページ数が多いので、外見だけでパス。特定の子達だけのジャンルになりつつあるそうです。
もったいないですね。

こちらの本、読んでみたいと思います。うちの3年生にどんな本を勧めるのか、本との関わり方や現在の子供達の読書環境なんかも知りたいです。

水無月・R
2009/03/13 22:28
>水無月・Rさん
赤木さんもおっしゃっておられるように、「本を読む」「本が好き」という事は、どうも、この世の中ではマイノリティ、つまり少数派に属することだと、私たち読書人はつい忘れてしまいがちです(笑)だから、きっと息子さんの「ムズカシイ・わかんない」という感想は、多分ごく当たり前の反応なんだと思いますよ、きっと。
図書館の成人に対する貸し出しの、ほぼ8割は実用書です。物語を絶対必要とする人は、そんなに多くない。
それも当たり前ではあるんですよね。この世界のお仕事のほとんどは実学でなりたってますもんね。
・・続く。
ERI
2009/03/16 00:48
でも、私たち読書人は、本の面白さを知っているからこそ、子どもたちに本を読んでほしい、と願ってしまう。
まあ、それが、お節介のひとつであると赤木さんの本を読んで認識して、ますますそのお節介をがんばるぞ!と思った私は、めげない人間です(笑)物語は、心の自由を手に入れる魔法の鍵だと思ってますから。
これはきっと気の長い努力を必要とするのです。お互いめげずにがんばりましょうね♪
息子さんにも、10年計画くらいで、ゆーっくり本好きになってもらうくらいのスタンスでいいのかもしれませんよー(笑)
ERI
2009/03/16 00:48
ERIさん、おとつい届きました。

これ、おもしろいです〜。
興味深い内容で、引き込まれて読んでます。といっても、合間を見つけてなので、なかなかすすみませんが。
shoko(ゆらゆらゆるり)
2009/03/19 05:17
>shokoさん
shokoさんの感想も楽しみにしてますね♪
ERI
2009/03/20 02:19
はじめまして
海外の日本語図書館で働いています。同じく十二国記派です^^; この本は昨年読みましたが、押し付けと薦めの違いは難しいですね。親が、結構古い本を借りていくんです。XX全集とか。そういう時はさりげなく、最近の人気なものを薦めたりはしてみてます。
せめて本棚に並べる本は自分で読んで、人の書評に頼らずに・・・と思っています。最近、ブログに感想を書着始めました。よろしければ見てやってください。http://owlnoon.blog67.fc2.com/

ところで、とても素敵なブログですね。じっくり見させて頂いて、次の購入の参考にします。できれば、これからもよろしくお願いいたします。
Iamfive
2009/05/31 13:12
>Iamfiveさま
お返事おそくなりまして、申し訳ありません。
海外の図書館で働いてらっしゃるのですね♪
「日本語」のいろんな面を、より強く感じられているのではないでしょうか。
こちらこそ、これからよろしくお願い致します。
ERI
2009/06/03 01:22

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