おいしい本箱Diary

アクセスカウンタ

zoom RSS 三つ穴山へ、秘密の探検 ペール・オーロフ・エンクイスト 菱木晃子訳 あすなろ書房

<<   作成日時 : 2009/04/03 00:56   >>

面白い ブログ気持玉 4 / トラックバック 0 / コメント 0

画像可愛い本でした。主人公の子どもたちの可愛さに
くつくつ笑っているうちに、あっという間に物語に
引き込まれてしまって、可愛いまま物語が
進行していくのかと思ったら、今度は何とも
スリリングな展開に。
六歳のミーナをして、「あのとき、あたしはまだ小さかったから
こわくなったのよ」なんて言わしめる、忘れられない冒険が
待っていたんです。作者のペール・オーロフ・エンクイストは
初めて子どもの本を書かれたそうですが、読み手を惹きつけるのが
なんとも上手い。すっかり楽しませて頂きました。

物語の始まりは、六歳のミーナが、ワニにお尻を噛まれた
夢を見たことから始まります。ミーナにとっては大事件なんですが
パパも、周りの大人も、その重要性を、誰もわかってくれない。
よし、それならおじいちゃんだ、とミーナはおじいちゃんに
電話します。おじいちゃんは、小説家で、一族の変わり者(笑)
ミーナの話を聞くやいなや、そのワニ対策として、子犬を飼うことと
いとこ達をさそって三つ穴山に探検にいくことを提案します。
・・どうやら、三つ穴山には、自分が行きたかったかららしいんですが(笑)
九歳のイーナ、六歳のミーナ、五歳のマルクス、モーナは四歳(多分)。
その四人の子どもたちと、賢い老犬のミーシャ、そして変わり者の
おじいちゃんとで、1000mの標高の山に登る冒険の旅が
はじまります。

この物語は、スウェーデンが舞台です。スウェーデンの物語というと
私は、「ニルスの不思議な旅」が思い浮かぶのですが、あの物語にも
描かれていたように、素晴らしい自然に恵まれた国。
その自然がもたらす、様々な陰影が、子どもたちに、たくさんの事を
教えます。いきなり遭遇した熊の迫力。そして、密猟によって
親を殺された仔オオカミとの出会い。体験は、子どもたちを、見事に
成長させます。小さな子どもたちが、先を争って仔オオカミのお世話を
するシーンの可愛いことったら。どうも、おばちゃんになると、こういう
シーンに弱い。涙うるうるになってしまう。
この物語、ほんとに、子どもたちと、動物がカッコイイんです。
特に老犬のミーシャは、ヒーロー、いや、メスだから、ヒロインか。
・・・と言っていいほどのカッコよさで
頼りないおじいちゃんの穴を、見事に埋めている(笑)

でも、私が関心して、共感したのは、そのおじいちゃんの、子どもに
たいするスタンス。絶対、子どもをバカにしない。子どもをバカにしないと
いうのは、子どもに言葉を惜しまない、という事です。
五歳のマルクスが、「あのマツの木に登りたい」と言い出したりしたときも
「マツの木に登ったりできるもんか」などと、いわない。
皆に、バカにされて泣きそうになるマルクスに「論証しなさい」という。

論証だよ。おまえの考えを説明するんだ。どうしてどう考えるのか、
話してごらん。自転車でマツの木に登れたら、どうして楽しいのか
イーアに説明してごらん・・・


子どもだから、そんな事はわからないだろう、なんて考えじゃない。
「言葉」で自分の考えや気持ちを説明し、頭の中を整理する。この事が
できるか、できないか。これは、大事な事です。
子どもだって、きちんと説明してもらえたら、大概のことは理解できる。
わからないだろう、なんていうのは、大人の驕りだと思う。
よくショッピングセンターなどにいくと、そりゃもう、行儀悪い子どもたちに
出会ったりしますが、大概お母さんたちを見ると、「だめよ〜」と
にこにこしてるくらいで、何故その行為がダメなのか
全く説明しないんですよねえ、子ども達に。そりゃ、止めへんわなあ、と
思います。だって、何であかんか、わからへんもんねえ。
説明してあげたらいいのになあ・・と残念でならない私は、おばちゃん
なんですねえ、きっと(笑)このおじいちゃんは、子どもみたいに
何でも楽しんでしまうけど、大人の怠慢で、子どもをバカにする
ようなことをしない。だから、子どもたちも大好きなんでしょうね、
おじいちゃんが。そのおじいちゃんに、私は本当の大人の知性を
感じて、ええなあ、と思ったんですよ。

上方落語には、皆に「きいやん」なんていう風に呼ばれる、あいつは、
ほんまに、しゃあないやっちゃなあ、と言われながら愛されてる
人物が出てきますが、このおじいちゃんも、そんなタイプなんでしょう。
もっとも、この物語は、作者のエンクイスト自身が、孫を連れて
山登りしたときの体験をもとにしているらしいんで、このおじいちゃんは
作者自身の、自分自身に対するユーモア、諧謔があるんでしょうけれど。
でも、こんなおじいちゃんがいてくれたら、ほんまに楽しいでしょうねえ。
そして、子どもたちは、幸せだと思う。子どもみたいなおじいちゃん、そして、
優しくて、可愛い子どもたちの、ほんとに楽しくて面白い物語でした。
笑って、はらはらして、ほろっとして。親子で楽しめて、読んだあとに、
何か大切なものを教えてくれる、そんな本でした。
一人で読むなら、一、二年生くらいでは、ちょっと無理かもしれないけれど
読み聞かせしてあげるなら、ミーナと同じ年頃の子に読んであげると
とっても楽しいと思います。

おいしい本箱 http://www.oishiihonbako.jp/index_f.php



テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 4
面白い 面白い 面白い
ナイス

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文

記事一覧

三つ穴山へ、秘密の探検 ペール・オーロフ・エンクイスト 菱木晃子訳 あすなろ書房 おいしい本箱Diary/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる