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zoom RSS この世界の片隅に 下 こうの史代 双葉社

<<   作成日時 : 2009/05/22 03:17   >>

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画像上、中と続いていた、このシリーズが
完結しました。実は、買って、読み終わったのは
少し前なんですが・・。
想いがなかなか言葉にならなかった。
こうのさんにとって、この作品は「夕凪の街 桜の国」に
続く、とても大事な作品だったのではないかな・・。
あとがきの「正直、書き終えられるとは思いませんでした」という
一言に、たくさんの気持ちがあふれていると思う。

私たちは、どうしても、物事を、数や大きさで計ろうと
してしまう。例えば、今回のインフルエンザの発症数。
毎日刻々と伝えられるその数字に、不安ばかりが
煽られてしまう。でも、その数の中に、たとえば、
罹ってしまった人の不安や、被害者なのに、まるで
犯罪者のように報道されてしまった苦しみや、
戸惑いなどがたくさん隠れていることに気づく人は
いったいどれくらいいるのだろう。

上・中と、丁寧にこの戦時中という時代の暮らしを
丹念に綴ってきたこの作品が、大きな悲しみを
むかえることは、わかっていたのだけれど・・。
だって、広島と呉が舞台であれば、「あの事」が
すずさんたちを襲うのは、わかっていたから。
ピュアで、馬鹿正直で、不器用なすずさんが
すっかり好きになっていた私は、ページを開くのが
怖かった。でも、やっぱり、読んだ。
とっても、とっても辛かったけど、読んで良かった。
案の定、大きな悲しみがすずさんを襲った。
すずさんは、自分が死ぬよりも、悲しい目にあった。
でも・・すずさんは、生きて、また、誰かを愛することを
選んでくれた。

わたしがこの世界で出会ったすべては
わたしの笑うまなじりに
涙する鼻の奥に
寄せる眉間に
ふり仰ぐ頸に宿っている


どんな事でも、人は、たった一回きりの人生の中で
それを受け止めるしかない。この物語のすずさんのように
毎日をつつましく、一生懸命に、ひたすらに生きている・・。
そんなたった一つの「命」が、刻んだ痛みと輝きが、
ひたすら大切なのだということ。誰も、それを暴力で
うばうことは、出来ないのだということ・・。
この「出来ない」は、「してはならない」という意味も含めて
「できない」のだということが、深く心に刻まれる。
どんな暴力も、人の心の輝きを奪うことはできない。
できない、と思いたい。この時代を乗り越えたたくさんの
愛情があるからこそ、きっと今があるんだから。

広島で、孤児になった女の子が、ひろったお握りを
返そうとする。腕を失ったすずさんを気遣って・・。
私は、このシーンに涙してしまった。
ここには、人間として、一番美しいものが描かれている。
そう思います。生きて、誰かが生み出す、こんな作品に
出会うことも、ほんとに奇跡の一つなんだな・・と
思います。読んでよかったなあ・・。

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