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zoom RSS 魔女の宅急便 その6 それぞれの旅立ち 角野栄子 福音館書店

<<   作成日時 : 2009/11/24 01:16   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

画像夜が長くなって、本をゆっくり読みたい季節です。
これから、年末年始・・とか。大掃除・・とか。
待ってる12月が来るので、なかなかうまくいきませんが・・。
私には、やっぱり、一人でゆっくり本を読む時間がないと、
心が死んでしまう感じがするので。
年々、時間に加速度が付いている気がするのが、辛いなあ。
お母さんになって、子ども達が旅立つ年齢になったキキも、
そんな事を感じているのかしらん。

キキと、トンボさんの双子の子どもたちも、13歳になりました。
物語の事とはいえ、時の流れを感じてしまいます(笑)
そして、物語は、この双子の子どもたちが、メインになります。
ふわふわしていて、どちらかというとお調子者。生意気盛りの
女の子・ニニ。思慮深くて、繊細で、感じやすい男の子のトト。
この、双子ゆえの、力関係の力学というか、心のあやを、
とても丁寧に描き出してあります。
子ども時代が終わって、自分の生き方や、「これから」を考える二人。
その二人に、自分の母親が魔女である、という事がいろんな形で
絡んできます。
ニニは、キキの後を継いで、魔女になることを期待されている自分を
息苦しく想い、キキに反発します。そして、トトは、自分が男の子である事で
魔女になれない、という事で仲間はずれにされているような気持ちになります。
そんな二人を、暖かく見守って・・といきたいキキですが、
なかなか心穏やかにはなれません。
お調子者のニニの一挙一動にイライラし、自分が経験したことのない、トトの
男の子としての内面を測りかねて、うろうろする。
まさに、私たち世の母親と同じ(笑)いやもう、読んでいて、すっかり、キキに
同じ母親として、感情移入しましたね。
でも、今回の読みどころは、感じやすい男の子・トトの、心の成長の部分だと思います。

夢想家で、あれこれ深く考える性質のトトは、母親の「魔女」という特別な部分について
興味もあるし、心情的には、その伝統に心を添わせることが出来る。
ところが、魔女は「血」でなるもの。直系の女の子しか、空は飛べない。
この「空を飛ぶ」ということが、魔女の存在理由なのだから、トトは魔女にはなれない。

魔女が空を飛んでるのを見た人は、見えない世界がまだあることを、
想像すると思うの。自分だけで生きてるんじゃないって。
なにか大きな力につつまれて生きているんだって・・・それが私たちのささやかな役目


理由のない「血」という問題で、魔女からはじき出されてしまったトトが、そこから
「血」ではない、自分だけの不思議を見つけよう、と思うまでの旅が、とても
細やかに描き出されます。感じやすいトトは、自分が出会うたくさんの人の心から
まるで乾いたスポンジのように、たくさんの事を吸収していく。
その一つ一つを鮮やかに、みずみずしく描きだされる角野さんの筆は、さすがです。
キキの絵を残したセンタさんのノート。自分と同じ、半分魔女のケケおばさんとの
手紙のやりとり。たまたま出会った、心震える音楽との出合い。
そして、森の中で出会った、不思議な少女。
この少女は、多分音楽の道に進んでいくだろうトトの、ミューズになるんでしょう。
トトは、たくさんの人の出会いから、その人たちの、目に見えない「心」を
感じ取ろうとする。それが、彼の心の栄養になっていくのを読むのが
とても楽しい。気持ちいい。父親のトンボさんをはじめ、この世界には、ニニと
トトを、ゆっくり見守って、真剣に心を投げかける大人がたくさんいる。
こういう幸せは、子どもが大人になる時には絶対必要なんだと思うけれど、
今は、それが難しい時代だなあ・・と、この細やかな物語を堪能しながら
ちょっとため息が出ました。

だからこそ、子ども達には、本を読んで欲しいんだけどなあ。
そこには、たくさんの心があって。出会うべき人がいて。
時代も空間も超えて、子どもたちの心に、たくさんのことを、自分では
うまく言葉に出来ない心のあれこれを、語りかけてくれる。
その経験は、必要なんだと思うんですが。

・・・と、ちょっと脱線してしまいましたが(笑)
双子たちは、それぞれに、キキのもとから旅立ちます。
お調子者のニニも、嵐の夜に生まれてくる命に向き合ったことで
一気に大人になります。この、子どもの成長の階段の昇り方が
凄いと思うんですよ。特に女の子は、一気に大人になります。
そして・・・うん。子どもは、旅立つべきですね。
「自分だけの不思議を見つけにいくんだ」
この若さが、ほんとにうらやましい。

若くしてこの世を去っていったセンタさんの残した言葉「これからをまつひと」の
意味がわかるのは、トトがセンタさんと同じ立場に立った時かもしれない。
でも、この言葉を持って旅に出たトトは、いつもセンタさんの、眼差し・・命の輝きを
一心に感じた夏の日の眼差しと一緒に歩いていくんでしょう。
自分の心を残した、センタさんは、死んでも、ちゃんとトトの中に生き続ける。
そんなトトは、きっといいい男になることでしょう。いつか、その物語も読みたいと、ちょっと
思ってしまいました。長年のこの物語のファンも、そして、この物語から読んでも
楽しめる一冊だと思います。

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