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zoom RSS ストロベリー・ブルー 香坂直 角川書店

<<   作成日時 : 2010/05/04 02:36   >>

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画像最近、ちょっとやさぐれてました(笑)
やさぐれてる時にレビューを書くと、いらん事を書いて
しまうので、自重しておりましたが(ほんまかいな)
この香坂さんの物語たちの瑞々しい香りに、心洗われて
戻って参りました(笑)


主人公たちは中学生、14歳。思春期真っただ中です。
これが、高校生になると、またちょっと違う。
柔らかい果実のような心をギュッと握った時に、滴るもので
描いた。そんな短編が五つ。
同じクラスの5人が主人公で、ゆるくリンクしていく形です。
人から見た自分と、自分が見つめる、自分。
香坂さんの視線と筆で、角度を変えていろんな色に輝く若い心が、
とても綺麗でした。悲しみも痛みも、若さ故の臆病さも、全部
ひっくるめて、綺麗だなあ・・と。生きている切なさは、若くても
年齢を重ねても、いつもつきまとうものではあるけれど、
あの頃の痛みは、やはり何年たっても心に残っています。
て、もう何十ねんたってんねん!という突っ込みはおいといて(笑)
読んでいる間中、この物語の少年少女たちに、心はすっかり同化して
一緒に泣いたり笑ったりしていたのですが・・。
読み終わったあと、私は彼らに、少しずつ勇気を貰ったような気がしたんですよね。

自分の「外」にあるさみしさなんて、どうってことない、と思う。
「外」にあるさみしさは、「外」にある温かさでちゃんとあたたまる・・・(中略)・・・
でも、。自分の「内」にあるさみしさは、だれにもどうにもできやしない。・・


生きている悲しみ・・何ていうとかっこいいですが。
そんなかっこいい言葉とは裏腹に、皆、けっこうどうしようもない自分と歩いている。
その自分に気づいて、ほんのちょっと変わろうとする勇気。
例えば、「キャッチ・ザ・サン」の理子ちゃんのように、好きな人に、
自分の心の内をぶつける勇気。
「ロスト・パラダイス」の三田村くんのように、一度逃げ出した場所に、もう一度
帰ろうとする勇気。
「ペテルギウスの情熱」の野田さんのように、教室の中という空間で、
大好きな人に告白してしまう勇気。
「ストロベリー・ブルー」の横山くんのように、誤解され続けて中傷の的になって
いる少女に、まっすぐな視線を向ける勇気。
それは、ささやかな、でも、確かな一歩です。
痛みながらも、まっすぐに相手に手を差し伸べる、その勇気がとても
輝かしかった。その掌の温もりを、香坂さんはほんとに自然に、丁寧な筆致で
描き出しています。まさに、ストロベリー・ブルー。
この年齢になると、ついつい、自分の醜さから一歩を踏み出していく気持ちは
なくなってしまいがちなんですよねえ。うん・・。

私が一番気になったのは、「二月のプランクトン」の横森さん。
うまく立ち回れないままに、中学生活の中で、自分の居場所が出来なかった彼女。
三田村くんに勉強を教える理科準備室の幸せの中で、もしかして、自分の場所を
見つけられたかもしれない、と思う気持ちが膨らんで、期待して、
自分が三田村くんの特別な人になれる気がしてた。
でも、その彼には別に思う人がいる・・。
好きな人に向ける、その痛々しい眼差しに気づいてしまった彼女は、メンチカツを
馬鹿みたいに頬張る。期待した自分を、責めて、責めている気持ちが何とも
よくわかるんですよ。ボロボロになった彼女が見つけたのは、気づいてしまった
「好き」という気持ち。いいんだよ、その気持ちを抱きしめたらいいんだよ、と
もう、何とかして言ってやりたい・・そう思っていたら、物静かな横山くんが、
ちゃんと彼女の気持ちに気づいてた。
また、笑いあえる日が、くる。迷っても、はぐれても。
そう思える日当たりのいいラストが素敵でした。



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