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zoom RSS 呼んでみただけ 安東みきえ 新潮社

<<   作成日時 : 2010/11/16 01:48   >>

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画像この、「呼んでみただけ」というタイトルが、
ほんとにいいです。

「ねえ、ママ」「なに」
「なんでもない・・・呼んでみただけ」

大好きだから、「お母さん」と呼びたい。
お母さんがそこにいる事を、確かめたい。
笑顔が見たい。そんな風に、子どもが思ってくれる時間は、
本当に短い。そんな日々を思い出して、ほっこり。
色んな意味で木枯らしに凍えている胸を、暖めて頂きました(笑)。

この物語の登場人物は、六歳の遊太と、お話好きのママ。
そして、時々、パパ。ママは、よくいろんな自分で作ったお話を
遊太に聞かせてくれます。日常の中で交わす、親子の
楽しい会話と、ママの語る不思議なお話でこの物語は
出来ています。ふとした会話や、気持ちの中から、
物語の木が芽生え、一瞬で物語の森に迷い込む。
そのスイッチの入り方が絶妙なんですよ。
日々の生活、日常の中に、物語というファンタジーが入り込むことで
このかけがえのない、ほんの短い蜜月の親子の日々がキラキラと
輝いています。それが、とっても美しい。

遊太のママが、彼を見ながら、思うこと。
「いったい、この子はどこからやってきたのかしら」
自分の眼の前にいる子どもは、あの日にあんなに小さかったあの子と
同じかしら。赤ちゃんだったのは、つい、昨日の事のようなのに・・。
子どもがあっという間に大きくなってしまうことも、母親にとっては
ある意味不思議な、騙されているような気がする事なんですよね。
親子で一緒に物語に入り込める・・そんな時間は、決して長くはない。
私も、このママのように、けっこうでたらめなお話を息子たちに
聞かせたものです(笑)いつも寝る前はお話タイムだったなあ。
いろんな事を今さらのように後悔したり、至らなかったと思う事が
多かった私の子育てですが、あの物語の時間は、私にとって
かけがえないものだった。だからつい、私は仕事で出会うお母さんたちに、
子どもと物語を楽しむことを勧めてしまうんですよねえ・・。
その時間は、親であり、子であることも離れて、一緒に、自由に笑って、
ドキドキできる。あの時間は、今思い出すと、宝物だなあと思います。

ママの語るおとぎ話は、どれも少し棘や苦みや、痛みを抱えていて、
そのブラックな味わいが、この物語のファンタジー力を支えています。
皆、素直じゃなくて、どこかひがみっぽかったり、後ろ向きだったり、
空っぽな気持ちを抱えていたり。
寓意のように語られるその人間臭さが、また何て愛しいこと。
この寓話の見事さは、安東さんならではの味わいです。
時間が過ぎていくこと。人が人である、という事の悲しみと愛しさ。
子どもの日向臭い髪の匂いや、曇りない笑顔の可愛さ。
全てを一緒に焼き込んで、ほろほろっと口に含むと崩れていく
甘いパイのような、見事な舌触りの本に仕立ててあります。

子育て中にお母さんに。そして、子育てした時が懐かしいお母さんも、
胸キュンになること間違いなし。
装丁も挿絵も素敵で、気持ちいい。いい本でした。

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