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zoom RSS クリスマス人形のねがい ルーマー・ゴッデン バーバラ・クーニー絵 掛川恭子訳 岩波書店

<<   作成日時 : 2010/12/15 22:11   >>

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画像クリスマスが近いですね。という事で、クリスマスにちなんだ絵本を。
この本は『人形の家』などで有名な、ゴッデンの作品。挿絵は、
バーバラ・クーニー。クーニーは、クリスマスの絵本をたくさん書いていて、
私は「ちいさなもみのき」が大好きですが、この絵本もとてもいい。

これは、小さな奇跡の物語です。
三つの寂しい魂が、クリスマスに導かれるように出会い、
暖かい、暖炉の燃える居場所に集う。
いかにもクリスマスらしい奇跡ですが、ストーリーテラーの
ゴッデンは、さらりとした語り口で、物語を小さな星のように
人々の心に輝かせる術を知っています。

あるおもちゃ屋さんの店先。赤いドレスに、緑のペチコートを
着た、いかにもクリスマスカラーのホリーというお人形が、
自分を抱きしめてくれる小さな女の子を待っています。
しかし、彼女を抱きしめてくれる、小さな手はなかなか現れない。
お人形は、遊んでくれる女の子がいて、初めて命を得ることが出来る。
ホリーは待ち続けます。
そして、違う町で、たった一人で、クリスマスを迎えなければいけない
心が痛くて空っぽな女の子がいます。普段は、たくさんで暮らして
いるのだけれど、クリスマスのこの時期は、親切なお家にそれぞれ
招かれて、楽しいひと時を過ごします。しかし、このアイビーという
女の子を招待してくれるお家はどこもなかったのです。
アイビーは、言います。「かまわないもん。ちーっともかまわないもん。
あたし、おばあちゃんのとこへ行くんだもん」
でも、アイビーが訪ねていくべきおばあちゃんは、どこにもいないのです。
たった一人で、知らない施設に行くように言われたアイビーは、
勝手に列車を降りて、アップルトンという町にやってきます。
そのアップルトンの町では、一緒に祝う小さな女の子もいないのに、
急に思いついたように何十年かぶりでクリスマスツリーを飾る
中年のご婦人がおりました。おもちゃ屋の店先で、可愛い
クリスマスのお人形を見た時に、いきなり心に何かが疼いたのです。
彼女は、クリスマスツリーを買い、赤いガラス玉を買い、綺麗な
モールを飾ります。しかし、ジョーンズさんの奥さんの心の中は寂しいまま。
夫には「きょうはいったいどうしちゃったんだね」と言われてしまう。
彼女の心も、空っぽです。

列車を降りたアイビーは、クリスマスの町を彷徨います。
そして、たった一人、パン屋の物置で粉にまみれて寝込んでしまう。
・・・さあ、そこから、クリスマスの魔法が始まるのだけれど、
その全てを結びつけるのは、おもちゃ屋の小僧さんのピーターが
落とした、金色の鍵。その愛の鍵が、いかにこの三つの魂を
結びつけるかは、やっぱり読んで頂いて味わってもらうことにして(笑)

おもちゃ屋のおもちゃ達の、個性的なお喋り。
アイビーの彷徨う夜の街の冷たい美しさ。
その冷たい夜を過ごした後にたどりつく、ジョーンズさんの家の
朝ごはんの美味しそうなこと。
たくさん読みどころはあるのですが、この絵本の中に流れているのは
「願い」です。この物語を読む子どもたちは、居場所を持たない
ホリーとアイビーに、きっと心寄り添ってしまう。
どうか、この三つの寂しい心が、早く出会ってくれますようにと、
ぎゅっと胸を痛くしながら、物語の頁をめくるに違いない。
自分の居場所を探して、あてなく町を彷徨う寂しさ、待っても待っても
誰も迎えにきてくれない辛さ。なぜか、この二つは、そんな経験を
した事がない子ども時代にも、なぜかいつも心の中にあった気がします。
その不安が、見事な展開で一つの奇跡の中で新しい希望に包まれるのを
読んだ時、子ども達は、とても安心し、暖かい気持ちに包まれるのでは
ないかしら。そんな気がします。この奇跡は、偶然ではなくて、
出会うべくして出会った、必然なのだと思えるから。
考えてみれば、親子だって、ほんとに小さな偶然が重なり合って
そこにいるものなんです。まさに、何か一つの鍵がなければ、
決して出会うことがなかったはずの命のはず。
私たちが心に持っている、あてない寂しさに対する不安は、
そんな偶然に支配されている不安なのかもしれない。
だから、こういう物語を、心が欲してしまうのかもしれないですね。
特にクリスマスの時期は・・。

余談ですが。
昔、やたらに「小公女」が好きだったんですよねえ。
苦しい、辛い生活を送っているセーラの元に、ある日素晴らしい魔法が訪れる。
みすぼらしい屋根裏が、一夜のうちに居心地良い隠れ家に変わってしまうのを
読むのが、とても好きだった。読むたびにうっとりして、恍惚となるくらいでした(笑)
あれはきっと、自分の中の不安を、その度に解消してもらっていたのではないか。
今になって、そう思います。

クリスマスは、幼子が生まれたことを祝う日。
私はキリスト教徒ではないけれど、全ての子ども達を、大人が祝福するために
クリマスマスはあると思う。

字がたくさんあるので、あまり小さい子向きの絵本ではないかもしれません。
読んであげるなら、低学年でも大丈夫だと思います。

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