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zoom RSS つるかめ助産院 小川糸 集英社

<<   作成日時 : 2011/01/13 01:30   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 4 / トラックバック 0 / コメント 3

画像命と、命に繋がる「食べる」という事は、
『食堂かたつむり』から一貫した小川さんの
テーマだと思います。
今回は、出産という非常にストレートな出来事を
中心に据えたことで、そのテーマがすっきりとした形で
提示されている様に思います。

夫にいきなり蒸発されて途方にくれた主人公のまりあは、
二人の思い出の地である、沖縄の小さな島にやってくる。
そこで、歩けなくなってしまったまりあを助けてくれたのは、
「つるかめ助産院」の先生である、鶴田亀子という太陽のような
女性だった。そこで妊娠していることを告げられたまりあは、
先生に勧められて、つるかめ助産院でスタッフとして働きながら
子どもを生むことに決める。

豊かな自然や、海や、その土地で育まれた食べものを丁寧に
料理して食べること。自分がここで産みたい、と想う、
居心地良い環境で子どもを生む・・自分の出産を想い返し、
何て羨ましい、と想うほど気持ちよさげな「つるかめ助産院」。
その心地よさに尽きますね、この物語は。
こんな場所で子ども産みたかったなあ・・。

生まれる、という事の裏には、常に「死」がある。
出産は、まさに命試しです。産む母も、生まれてくる子も、それはそれは
大きな苦しみを乗り越えないと生まれてこない。
その現場が、常に「死」と隣り合わせであることは、当たり前のことですが
現実としては、あまり私たちの目に直接触れることはない。
でも、妊娠と出産という事は、時として女をとことん傷つける。
望まない妊娠をしてしまうこともあれば、望んでも望んでも妊娠出来ない事も
ある。そして、妊娠しても、無事に産まれてくるとは限らない。
その全てを含めて、女は絶対的に、「生む」というテーマから、命というテーマから
逃れられない。たとえ結婚せず、子どもを生まない人生を選択したとしても、
子どもを生まない、という事について考えない女がいるとは思えない。
また、子どもを生んだあと、育てるのは、ほんとに大変なことで、
その苦しさも悩みも、よく知っているおばちゃんとしては、この物語の
無邪気とも思える出産礼賛に、一抹の不安を抱えてしまうのも事実です。
物語の中に、16で子どもを生んでしまう女の子の話が出てきますけど、
それは、やっぱりどうなん、と想ってしまう。
子どもは、やっぱり大人になってから生まんとねえ・・。
でも、そんな事もぜーんぶ含めて・・やっぱり、気持ちよく子どもを生める幸せを
母親が感じることが、少しでも多くあればいい、と思います。
例えどんな時代でも、女は子どもを生んできた。必死で育ててきた。
その上に、今の私たちがあるのだという事は、まぎれもない事実です。
そして、赤ちゃんは光やもの。お仕事で出会う、全ての赤ちゃんを見ていると、
心からそう思います。赤ちゃんは、未来ですよ。ほんとに。

これは私だけかもしれませんけど、、出産の苦しさという事も、
乗り越えるとすかっと忘れてしまうんですよね(笑)
いや、覚えてるんですよ。もちろん、記憶にはあるんですが、生まれてきた
子どもの顔を見た途端、自分がどんなに苦しかったか、すっかり吹き飛んで
しまうんですよね・・。(私だけか)二人目を生んだとき、分娩台に上がって、
初めて「そうやわ、この痛みやったんやわ」とようやく思い出した事を覚えています。
私は微弱陣痛&産道が狭く、お産がとてもきつかったのにも関わらず、です。
女って、だから子どもを生めるのかもしれないですけどねえ。
お産は、男性が体験すると、何割かは痛みで死んでしまう、と知り合いの
助産婦さんが言うてはりました・・。
だから、この物語でたっぷりと描かれる出産の光景に、改めて
命を生みだす事のあるべき姿を体験させて貰ったような気がします。
100人いれば、100通りのドラマがあるのは、出産というものなんですが、
あの、赤ちゃんを生んだ時の、誇らしい気持ちを思い出した。
この命を捧げるほどの想いで、子どもを生んだことが誇らしかった。
この物語の中で、自分の出自のせいで、常に自信がないまりあが、
自分の手に、人を癒す力があることに気づいて、誰かの為に働くことで
段々自分を取り戻していく事が書かれていましたが。
女は、人に何かを与えていないと枯れてしまう性何ですよ、本質的に。
このつるかめ助産院で働く先生も、パクチー嬢も、生まれてくる命と
お母さんの為に働くことで、辛い過去と一緒に歩く勇気を貰っている。
やっぱり、自分を大事にすることと、誰かを大事にすることは、
実は同じことなんでしょうね。

この物語を読んだ日は、次男の成人式の前日でした。
20年経ったんやなあ・・と。まだまだ一人前やない息子たちやけど、
何とかここまで来たなあと、遠くなったあの日を想い返しながら思いました。
小川さんの無邪気なストレートさが、お人悪の私には少し苦手ですが、
この物語は素直に読めた。読んで良かったなあと思います。

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
ドラマ楽しみ〜
みなりん
2012/08/10 20:11
>みなりんさん
この本、NHKでドラマ化されるんですねえ。私も、見てみます。
ERI
2012/08/10 21:39
私は、仲里依紗ちゃんがドラマに出るって言うので
買いました!
ちなみに…私は仲里依紗ちゃんです!!

8月28日からですよねぇ〜〜
楽しみ!!

コメントありがとうございます!!

また、いつか話せたらいいですね〜
みなりん
2012/08/12 22:19

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