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zoom RSS だれにもいえない 岩瀬成子 網中いずる絵 毎日新聞社

<<   作成日時 : 2011/07/29 00:43   >>

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画像ここ数日、大阪は曇りがちで涼しかったのだけれど、今日は日差しが出て暑い。とうとう我慢できなくなってクーラーを入れたら、室温が33℃だった(笑)暑さに強すぎですか・・。暑い中で長編を読むのはけっこうきついので、薄くて表紙が涼しげなこの本に手が伸びました。主人公は10歳の女の子。「だれにもいえない」ことが、ふつふつと生まれてくる頃・・それまでお猿だった尻尾が取れて、「ニンゲン」に近付いてくる年頃です。小学校卒業ぐらいまでまだまだお猿の男子と違い、女子は早くに大人に近づきますからね。この物語には、心に秘密の場所を持ち始めた女の子の気持ちがとても丁寧に書かれています。

ささやかな、ほんとにささやかな想い。言葉にしたら、壊れてしまいそうな・・お母さんにも、友達にも秘密の、そんな気持ちが生まれてくるきっかけは、恋です。隣の机同士になっただけでドキドキしたり、怪我した彼を保健室に連れていってあげたり。言葉にしてしまうと、ほんとにどこにでもある、ありふれた恋。でも、それは千春、というこの女の子が生まれて初めて感じる鮮やかな、誰にも触られたくない大切な想いなのです。生まれて初めての気持ちが射しこんで、光と影が生まれる瞬間。

・・・こんなふうにくっついてしまったふたりは、もう、くるしいのも、ごはんを食べるのも、考えるのもいっしょで、なにもかもわけあっているんだな、と思った。ふたりでいるのは、とてもしあわせで。でも、とてもくるしいことなのかもしれない。いままで考えてもみなかったことを考えた。


特に、こんな影の部分を、こんなに上手く掬いあげられるのは、岩瀬さんくらいかもしれない。そう思って読んでいるうちに、千春という女の子の心に、昔の自分の、そしてたくさんの女の子たちの心が重なっていくような気がして、とても愛しくなります。これから、誰にも言えないことがだんだんに増えてくる。千春の叔母さん・・と言っても、きっと現役の女ざかりの叔母さんが、元恋人とのデートに、わざわざ千春を連れていったりする。その気持ちは、今の千春にはわからない。きっと、何年かしたら、ああ、あの時・・と腑に落ちる瞬間がやってくるだろうけれど。そして、腑に落ちることが多くなるたびに、女はいろんな意味で強くなるけれど。それでも、誰かを好き、と思う気持ちの奥に、千春が感じているような戸惑いと慄きを、どこかで持ち続けてもいる・・はず(笑)初恋真っ最中の女の子にも、初恋を想い出したいオトナの方にも、新鮮な想いを伝えてくれる本だと思います。網中さんの挿絵もとても良くて、言葉にならない千春の心のあれこれが、そっと伝わってくるような気がします。特に、初めにも書いたんですが、この表紙がいいですねえ。深い沼の上に、白い鳥が千春の想いを知っているように飛んでいる。しんとして、素晴らしい心象風景だと思います。言葉と絵がかみ合うコラボの楽しさを感じさせてもらった一冊でした。

2011年5月観光
毎日新聞社

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