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zoom RSS 無菌病棟より愛をこめて 加納朋子 文藝春秋

<<   作成日時 : 2012/04/26 21:53   >>

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画像加納さんが、急性白血病で闘病してらっしゃることなど、何一つ知らず・・・。この本も頁を開くまで小説なのかと思っていたのでした。何と、2010年の6月から、ずっと闘病してらしたらしい。これは、その闘病の記録です。

病院嫌いで、何でも寝て治す派だった加納さん。仕事に、家事に、PTAに、自治会の仕事に、バタバタ走りまわる毎日。この年代の、忙しい主婦なら、たいていこんな感じだろうと思う。ところが、ある日しつこい風邪をひいた・・と思ったところからいきなり白血病と診断され、過酷な闘病生活に突入する。どれだけしんどくても、まずスーパーに買いだしに行ってしまうような加納さんの日常が、あまりにも普通に主婦で・・それだけに、他人事じゃないんですよ。思わず読みふけってしまいました。面白い・・というのは語弊があるんですが、読みだすとやめられないんです。

病気が病気だけに、闘病は非常に苛酷で、どんなに辛かろうと思うことばかり。でも、文章から伝わるのは、加納さんの生きようとする力です。まわりの人と気持ちを合わせて病気に立ち向かう柔らかい心のありようが、病気を乗り越えていく力となって、いい歯車を回していったのがわかります。もちろん苛酷を極める闘いは壮絶です。さらっと書いてらっしゃるひとつひとつのことが、非日常の連続。まだ中学生の子を持つ母である加納さんが、どんな想いでその日々を過ごしてらしたか・・。いつも気丈な彼女が、子どもさんのことを思う時だけ、泣いてらっしゃる。その気持ちが、ひしひしとわかります。母は、この子のために死ねないと思うと、強い。どんなに苦しい中にあっても、加納さんの眼差しが見つめているのは、いつも光なんですよね。だから、読んでいてとても励まされます。


そして、加納さんは、作家です。だから、常に闘病する自分を作家の目で観察しています。その距離感がこういうドキュメントにありがちな、感傷にひたる闘病記と一線を画する結果を生んでいるように思います。苦しい時に、よくこれだけ日記を書けたものだと思いますが、これはやっぱり加納さんの、作家根性のなせる業。さすが、と何度も頭が下がりました。おかげで、私たちはこの貴重な記録を、読ませてもらうことが出来る。当事者でないとわからないことって、たくさんあります。何年か前、苦しい闘病を続けていた友人に、私はどう接していいかわからず、彼女を傷つけてしまったかもしれないと何度も後悔したものでした。でも、この闘病記を読んで、ああそうか、と今更ながらに思うことがたくさんありました。これから、まさに体調のあれこれに左右されることが多い年齢に突入する世代として、読んでよかったと思う一冊でした。そして、加納さんもおっしゃるように、同じ病気に苦しんでらっしゃる人や、そのご家族に、絶対に励みになる本だと思います。

加納さん、どうかお体大切にしてくださいね。ほんとに、ほんとに、そう思います。

2012年3月刊行
文藝春秋

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『無菌病棟より愛をこめて』
急性骨髄性白血病。 5年後生存率、35%。 加納朋子著『無菌病棟より愛をこめて』 ...続きを見る
三毛猫《sannkeneko》の飼い主の...
2012/08/03 16:54

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。加納朋子さんは好きな作家さんなのですが、病気のことはこの記事を読むまで全く知りませんでした。
読む人
2012/04/26 22:38
>読む人さん
こんばんは!そうなんですよ。私も、全く知らなかったんです…。本が出ると必ず読む作家さんなので、それだけにこの闘病記は胸に迫りました。同世代の方だけに身につまされます。でも、どんなにしんどい時でも腿あげに励む加納さんの気力が、素晴らしいんですよ。読んでいて、とても励まされました。
ERI
2012/04/27 01:55

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