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zoom RSS レガッタ! 水をつかむ 濱野京子 講談社 YA!ENTERTAINMENT

<<   作成日時 : 2012/08/10 00:00   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 2

画像オリンピックが気になって、寝不足です(笑)さすがに夜中は寝てしまうのですが、結果が気になって早起きしてしまう。皆、とってもいい顔してますよね。努力に努力を重ねてきた人だけが持つ輝きがあります。それにしても、いろんな競技種目がありますよね。例えば、フェンシングなんて、日常生活の中ではまずお目にかからない競技。でも、世界の強豪と互角以上に闘う人たちが、ちゃんといる。一体、どこで皆、自分の競技に出逢ったんだろうとか、果てしない努力を繰り返すモチベーションの在り方についてとか、ついつい考えてしまいます。体操の内村選手が、「体操が好き」ということが、一番大きな自分のモチベーションだ、というようなことを語ってはりましたが、この「好き」になれること、熱中することを見つけたいと思う若い人は多いと思います。でも、どうもこれと言って見つけられない・・・という声もよく聞きます。この物語は、その「好き」を見つけた女の子のお話です。

高校からボートという競技に飛び込んだ友里。彼女がボートを選んだのは、負けず嫌いからくる一種の計算です。中学の時に成績不振を理由に、親にバドミントン部をやめさせられてしまった彼女。一年半のブランクがあるから、バドミントン部に入ってもレギュラーにはなれない。その他の運動部も、中学から続けている人が、どうしても有利になります。そんな時、入った高校のボート部からオリンピックに出場した選手が出たことを知り、友里は、スポーツに理解のない家族への対抗意識も手伝って、「オリンピック選手になってやろう」と決心して、ボート部に入るのです。

しかし、ボートというのは個人競技もありますが、花形は、高校生なら4人で組むクォドルプルです。(これが大学になると8人で漕ぐエイトになるそう。オリンピックで見たことがあります。すごいスピードが出るんですよね)仲間と息を合わせて一体になることが求められます。でも、友里は始めから浮き気味。友里だけが、ボートという競技に対して、何の思い入れもないまま入部してきた、ということが同級生たちとの間に、何となく壁を作ってしまう。新入生のリーダー的存在の美帆ともぎくしゃくしたまんま。でも、わけがわからぬままに飛び込んだボートという競技の魅力に、友里は段々飲み込まれていきます。

しかし、何しろボートという競技は練習がとてもキツい。もちろん、どんな競技だって真面目にやればそうですが、大学のボート部にいた知り合いの男子が、何度もキツくて吐いたと言ってたのを思い出しました。特に友里の入ったソノ女は全国大会の常連です。おしゃれもせず、男の子とも遊ばず、日焼けで真っ黒になって体重増加のために苦しくなるほど食べながら練習する。その中で挫折する子も当然出てきます。友里だって、気持ちが揺れる。何でも、続けるよりもやめてしまう方が簡単です。スポーツでもなんでも、その坂が何度もくる。その時に、それでも坂を登ろうとさせるものは何か・・・それは、意地とか計算とかではなく、ただ「好き」という気持ちだということに、友里は気づきます。きらめく水の上を、自分の力で進んでいく手ごたえ。空の下でボートを漕ぐ爽快感、仲間と息があったときの一体感。そんなものが、いつのまにか友里の体の中に沁み込んで、自分だけのものになってしまっていたこと。そして、その「好き」を仲間たちと分け合う喜びへと変わっていくとき、友里の中に、かけがえのないものが生まれます。ボートでなくても良かったところから始まった部活が、「好き」という理屈のない衝動に変わっていく一年間を、濱野さんは丁寧に描き出しています。

高校生でも普通にスマホを持っている時代です。情報はどれだけでも手に入る。でも、「好き」という感情は、多分に肉体感覚と結びついているような気がします。情報では手に入らない、体で掴むものの手ごたえが感じられる物語でした。体を動かせば動かしただけ、どんどん成長していく。ジムに行っても、疲れが溜まるばっかりのお年頃の身としては、とてもうらやましゅうございました。夏にぴったりの物語だと思います。

2012年6月刊行
講談社

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。木皿泉さんという脚本家コンビが最近の人は自分が何を好きなのか分からないんじゃないんでしょうか、と言っていたことを思い出しました。で、自分は読書が好きなのかな、とちょっと考えてしまいました。
読む人
2012/08/10 18:55
>読む人さん
こんばんは♪今って、選択肢がたくさんありすぎて、かえってわからなくなることが多いのかもしれないですね。
自分が「読書が好き」なのかどうか。読む人さんに言われて気がついたのですが、なんとそこを考えたことがなかったです、私。
うーん…確かに「好き」というのとは違うかもしれません。「御趣味は?」と聞かれて「読書です」と答えるのは、恥ずかしくてできません。猫は間違いなく好きですし、音楽を聞くのも、映画を見るのも「好き」なんですが、本を読むのは、もっと前のめりというか、罪悪感すれすれの感じです。語弊を恐れずいうと、「淫する」という心情に近いかもです。その昔、テスト間近になると本がますます読みたくなり、今は家事の最中に何もかもほったらかしてマンガに読みふけり、暑いといっては本を読み、寒いといっては本を読む(笑)単なるおバカさんかもですねえ(呆)
ERI
2012/08/10 21:36

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