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zoom RSS 金沢日帰り旅行記2 〜 金沢21世紀美術館

<<   作成日時 : 2012/09/23 00:32   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 2

金沢21世紀美術館に行ったのは木曜日(20日)です。この日の金沢は曇りから雨模様。あの有名な「スイミング・プール」を青空のもとで見たいと思っていたのですが、雨のプールの底も面白かった。記憶が呼び覚まされる感覚です。昔昔、プールにもぐって水面を見上げた時の記憶。友達の声がくぐもって聞こえて、一瞬現実から遮断されるような感覚が甦ってきて、我ながら不思議でした。そのお天気のせいでしょうか。現代芸術の世界にいながら、やたらに古い記憶がぽこぽこと湧いてくる、不思議な時間を体感しました。
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今、21世紀美術館では、『ソンエリュミエール―物質・移動・時間』『ソンエリュミエール、そして叡智』というテーマでのコレクション展と特別展が開催されています。テーマを解説する文章に「有機的な時空間の中では、流れる時の方向は多様で、個々の経験は計り知れない多義性を帯びた旅となる。」とあります。「見る」だけではなく、音や光、映像を含めて体中で体感する作品群。自由でした(笑)自由だからこそ、複雑な多義性が生まれるんでしょうね。体感者は、その作品と向き合うことをきっかけにして、自分の記憶や体験からイメージを引き出されるような気がします。例えば、ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイスによる≪庭園にて≫というビデオ。古い日本家屋の中で、くたびれたパンダとクマ?のぬいぐるみを着た人が寝転がったり階段を上り下りしたりします。一見、なーんてことない映像なんですけど、その映像と直角になる壁に、ずーっとトンネルの映像が映し出されているんです。潜っても潜っても、どこにも辿りつかない胎内めぐりのような映像やな・・・ぼんやりとそう思い佇んでいると、いきなり、ほんとにいきなり記憶がドバっと溢れてきたんですよ。

それは、もう・・・40年以上前の父方の田舎の記憶です。兵庫のチベットとも言う(笑)牛と田んぼしかない田舎です。古い農家の饐えたような木と畳とカビの匂い。土壁の冷たい感触。屋根裏にあがる手すりの手触りから庭に生えてきたくるみの木の映像まで、思いだしたこともなかったような記憶がドバドバと溢れてきて「へ?何?」という感じ。特別そこが恋しいわけでも何でもない、どちらかというと忘れたいことが多くて封印していた場所なんですが、妙に生々しく匂いまで甦ってくるのに驚きました。そやから何やねん、と言われたら困るような個人的な、私以外には全く意味のない記憶です。でも、私が忘れてしまったら、もうこの世にはあの場所は存在しないんやな・・・そんなことを思いました。私の中には、記憶をはじめとしてたくさんの私だけの次元空間があるんだけれども、毎日の生活の中では、そこにアクセスすることはないわけです。でも、こうして一度も会ったことがない方の思想や表現が、ふっとその回路を繋いでくれる。その再び繋がった回路は、私が対峙したアートとの共同作業なわけです。私だけの、ほんとに自分勝手な回路ですが、何というか・・「繋がったやん!」っていう喜びがあるんです。もちろん、中には全く回路が繋がらない作品もあるんですが、それはそれで「繋がらへんかったな〜」というのを楽しめる。でも、考えてみれば、物語って全てがたった一つの、全く個人的な記憶と思いに寄り添うものですよね。小説の場合は、他人の記憶に潜り込むことを楽しみます。一方、こういう現代アートは、そこから生まれる自分の物語を楽しむことが出来る。面白い体験でした。特に現代芸術に対して知識はないので、解釈的なことは全くできないんですが、それだけに、ただ自由に感じる喜びがありました。美術館というと、関西ではけっこう年齢層が高いんですが(笑)この21世紀美術館は、若い人が多かった。皆、きゃっきゃと笑ったり、「うわ、これ何?」とツッコミいれたり、楽しんでましたねえ。

美術館自体が大きなガラスの回廊のようになっていて、外のお天気や空気がダイレクトに伝わります。雨のしずくが透明のアクリルに一面に吹きつけられているのがとても美しかった。日帰りなので駆け足の体感になってしまったのが、少々もったいなかった。兼六園の真横、緑の多い由緒ある場所に、こんなに贅沢で自由な美術館を作ってしまうあたり、金沢、やるなあ・・・と(なんで上から目線やねん)しみじみ思った旅でした。








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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
21世紀美術館に行ったときは、そりゃもう衝撃的でした。何時間でも居られる、そう思いました。小さな部屋がいくつもあるなあ、と思いきや、ドーンと大広間みたいな空間もあり、ただの通路なのに、展示もできそうなスペースがあったり・・・私は緑の壁に見入っていました。プールの底は上から覗く人と二手に分かれて両方を体感しましたよ。かんかん照りの小学校のプールを思い出しました。金沢っていいところですね。
catseye
2012/11/28 17:06
>catseyeさん
コメントありがとうございます。
そう、何時間でもいられるって、私も思いました!
時間を忘れて、ずーっとあの場所の磁力というか、空気感に漂ってしまいたくなりますよね。緑の壁も素敵でした。見るものがいることによって完成するというか。作り手と、あの場所を媒介にして触れ合う感じがとてもしました。金沢という街の懐の深さが、あの美術館にも反映されているように思います。今度がお泊まりでいってみたいです。
ERI
2012/11/30 00:21

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