俺ルール! ニキ・リンコ 花風社

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ニキ・リンコさんは、翻訳家です。
「片づけられない女たち」など、多数の翻訳を手がけて
おられます。彼女は、幼い頃から周囲との違和感を常に
感じておられたそうで、30代を過ぎて「アスペルガー症候群」
(知的面・言語面での遅れを伴わない自閉症スペクトラム)
と診断されたそうです。今は翻訳・講演・執筆活動を通して
自閉の内側を語る活動を精力的に続けておられます。

この本は、そんなリンコさんが自分の小さい頃や日常
の経験から「自閉」の人々の内面を書いたもの。
自閉の人々の世界の捉え方、言葉の解釈の仕方、
情報処理の仕方などがテーマです。
誰でも身近に自閉、もしくはアスペルガー症候群といわれる
人々と触れ合う機会があると思います。
でも、私たちの情報の認知方法と、彼らのそれがこんな風に
違う、と理解している人は少ない。

たとえば、学校のそうじ当番。普通の手順として、まず机を
教室の後ろに寄せて、前半分を掃除し、それから机を前に寄せて
後ろ半分を掃除。そして机を元にもどしますよね。
リンコさんは、この手順を必死に覚えた。それで、そうじは
こうしなくちゃいけない、と思うわけです。ところが、今度
机のないたとえば玄関ホールにいくと、机はない。
そうすると、「そうじなのに机がない!」ということに
パニックになってしまって、自分が掃除に参加することが
できなくなってしまう。

「電柱に登ってはいけない」とはわかっても、「屋根や木に登っては
いけない」ということはわからない。「高いからダメ」という類推ができない
のである。「定型発達」(つまり自閉症状を持たない人)なら自然に
認知できることが、できない。それは自閉の人なら当然のことなのだけれども、
はたから見ると、理解しがたい、誤解をたくさん生んでしまうこと。
そんな小さいけれど、とても貴重な経験がわかりやすく書いてあります。

自閉の人々の内面を書いた本に興味がわいたのは、ドナ・ウイリアムス
という人の「自閉症だったわたしへ」という本を読んでからです。
これまで知らなかったことと同時に、自分が長年慣れ親しんできた
感覚的なことや、ものの捉え方などに通じる箇所があって、「これはなんだろう?」
と思い出したのがきっかけ。最近このニキリンコさんの著書を読み出して、
この思いは余計に強くなりました。

確かにこの中で書かれているいろいろな事は、リンコさんのいう
「自閉っ子の頭の中で発生しがちなその子独自のルール」
で、これを私たちがきちんと理解しておくことは、「自閉」の人々
に接する、付き合っていく上で必要なこと。
と同時に、こんな風に同じ情報が受け取る人によって違う側面を
見せる、ということは自閉以外にもいえることなんじゃないか。
一度この本を読んでいただければわかるのですが、
小さい頃、または大人になってからでも、「そうそう、そうだよね」
と思うところが、必ずあると思うんです。

「動かないでね、車にひかれるから」といわれて、カチコチに固まって
身動き一つできなかったり。
本当にちいさなことを、「それがたいしたことじゃない」ということが
わからずに「死のう」とまで思いつめたり。
こういう心の動きを知っておくことは、他者を理解していろんな人が
となりあって生きる上で大切なんじゃないかなあ・・。

誰かになにか頼んだり、指令をだすとき。
公共機関での表示。
人に選択肢を示すとき。
会話をしていて、自分の言いたいことを相手に伝えるとき。

これを自閉の人の立場から考えることは、いわゆる健常者
といわれる人たちにも、実りをもたらすんじゃないか、と
この本を読んで思います。。エッセイとしても優れた、面白い
本。楽しいイラストに、ユーモアたっぷりのリンコ
さんの語り口。「うんうん、わかるわ~」という感じる方も多いんでは・・?

おいしい本箱 → http://www.oishiihonbako.jp/detail.php?book_no=000531
ニキリンコさんの本 → http://www.oishiihonbako.jp/detail.php?book_no=000068







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