眼がみえない猫のきもち 徳大寺有恒 平凡社

車関係の本で有名な徳大寺有恒さんの飼い猫・チャオ
にささげるエッセイです。装丁とイラストがとてもかわいい。
徳大寺さんというちょっとコワモテな方(と私は勝手に思ってた)
のイメージとはちょっと違う感じなのですが、冒頭にのっけられ
ているチャオとの写真を見て、深く納得しました。
もうチャオかわいいよ、という愛情で顔がなだれまくっている
徳大寺さん。チャーミングです。
このチャオは、眼がみえない。めやにだらけで徳大寺さんの友人に
拾われ、なぜか飼う気になった徳大寺さんのところにやってきます。
そして、かけがえのない家族の一員になるのです。
もうわが子、といってもいい可愛がり方。いや、わが子ともちょっと違う。
わが子なら、こう育てなくちゃ、一人前にしなくちゃ、とかいろいろ
気構えや責任感があって、こんな風にただ愛しむことはできない。
「チャオぴん」なんて呼んでますからね。愛猫を。
奥さんとそんなチャオと暮らす毎日をとても大事にしている日常が
なんだか心に残るんですよ。
これは晩年にさしかかった徳大寺さんの人生観とともに語られる
から、余計に滋味があるんですよね。病気でたびたび手術、入院
を繰り返す自分。猫エイズを持っていて、なおかつ目が見えない
チャオ。重なるでしょうね、いろいろと。
でもこのエッセイのいいところは、そんな悲壮感が漂ってこない
ところ。戦後の混乱から骨太に生き抜いてこられた人生が
あってのこの静けさがいいんですよ。なんだか尊敬する
池波正太郎先生を思い出してしまいました。彼も猫好きだったよなあ。
パイプをこよなく愛しておられるところなんかも似ている。
可愛いチャオに対するメロメロぶりとその男気の対比がほほえましい。
いい男ですね、ほんと。
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