卵の緒 瀬尾まいこ マガジンハウス

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おいしい本箱の特集にいれようと、読み返しました。
初めて読んだ瀬尾さんの作品だったなあ、と・・・。
やっぱりこの作品集(といっても二編ですが)、好きですね。
優しい気持ちになれる。

この本には、「卵の緒」「7’s blood」の二編が収められています。
「卵の緒」は血は繋がらないけれどもしっかり心で繋がっている親子の話。
そして「7’s blood」は、血は繋がっているけれど一緒には暮らしていなかった
姉と弟が、段々気持ちを通わせていくお話。
どちらも「人との繋がり」がテーマです。

このお話、どちらも「お母さん」が、とても魅力的。
どちらのお母さんも、子供に自分の苦しみを見せない。
生きている、ということを楽しんでいる。特に「卵の緒」の君子さんは、魅力的。
いつも「愛してるよ」ということを子供の育生に伝えている。
だから育生は不安にならない。
「へその緒を見せて」といった育生に、あせらずに卵の殻を見せて、平然とするところ
がおかしい。「これが親子の証なの?」と怒る育生に、「じゃあ見せてあげる」
といって思い切り抱きしめる。いいなあ、ここ。
「親子の絆はへその緒でも卵の殻でもなんでもないこともわかった。それはもっと
掴みどころがなくて、とても確かなもの」。
泣けますね。でも、これが難しいんだなあ。この確かなものを築くのは、
とても難しい。特に子供が自分よりでかくなって、わけのわからん生き物に
なってしまったときは。でも、小さい頃にどれだけ抱きしめたか、「好きやで」
と言ったか、そのぬくもりの記憶、というものが難しいときの親子関係を
ささえる、というのはあるかも。

「7’s blood」のお母さんは、病気なので、あまり表にはでてこない。
しかし、自分の夫が他の女性との間に作った子供である七生との繋がりを、
一人残していくことになるだろう娘にプレゼントしていった。
自分の思いや過去の悲しみなんかを超えて、なお娘を守ろうとする
母親の気持ちにうたれてしまう。

育生や七子は、それぞれ痛みを抱えているけれども、やはり幸せだ。
それは、無条件に愛された記憶があるから。
その分、七生の孤独さが胸に沁みるけれども。

その愛された記憶をユーモアでくるんで見せてくれるこの物語は、やっぱり泣けます。
最近ちょっと涙腺ゆるいかなあ・・。

おいしい本箱 →http://www.oishiihonbako.jp/detail.php?book_no=000553
瀬尾まいこさんの本 → http://www.oishiihonbako.jp/detail.php?book_no=000179
                http://www.oishiihonbako.jp/detail.php?book_no=000087


この記事へのコメント

きむらともお
2005年10月21日 10:06
「7’s blood」は先日、TVドラマ化されていましたが、
YA作品的にも良かったな、と思っています。
『天国はまだ遠く』が、自分の鬱病闘病期に重なって好き
なのですが(って、変な表現)、「7’s blood」が、
全作品を通してのベストじゃないかなあ、と個人的には、
思っております。
2005年10月21日 20:58
私もそのドラマ、見ました!いやあ、ぽろぽろ泣いちゃいました・・。
七生と七子が愛しくて。あの髪を切りあうシーンが良かった。お互いの孤独が、二人を結ぶ絆になる。子役の二人もよかったですね。

「天国はまだ遠く」も、あのまったりした雰囲気の中で癒されていく主人公の気持ち、よくわかります。鬱病をされていたことがあるんですね。私もありますよ。医者には行かなかったですが。(ある事でちょっとそのとき、心療内科にはいきたくなかったので)でも、その時の気持ちが、今このブログや自分のサイトを続ける原動力になっていると思っています。