うそうそ 畠中恵 新潮社

画像身体の弱い若旦那と、妖(あやかし)たちが繰り広げる
人気シリーズ、第五弾。今回は長編です。なんと湯治にでかけた
若旦那!でも、やはりドタバタに巻き込まれれてしまって・・・。
ちょっとハラハラしました。


自分がちょっとでも元気になれるものなら、と母親のすすめに
のって箱根に湯治にでかけた若旦那。準備万端ででかけたはずなのに
なぜかいつもの仁吉と佐助が途中からいなくなってしまう。
そのとたんに族に襲われてしまう若旦那・・。
お家騒動から若旦那の持つ朝顔をねらう一味と、なぜか若旦那に
反発する、山神の娘・「お比女」。人柱にされた悲しい過去をもつ
少女の気持ちに翻弄されながら、若旦那の苦労がはじまる・・・。


人にうらやまれる身分の、若旦那。お金持ちの家で、大事にされて・・。
でも、人間それだけじゃ満足できない。一人前になりたい、人の役に
たちたい、今のままの自分ではいやだ・・。若旦那も、苦しいのだ。
いつも大事にされる、守られるだけの自分から脱出したい。
そして、自分のせいで村が全滅してしまってから、それを自分のせいだと
責めて落ち込むお比女ちゃん。自分をやはり役立たずだと思い、
悩み、苦しむ気持ちが地震を起こしてしまう。それを自分でもどうすることも
できない。その二人の気持ちが、この作品のメインになっている。
自分の人生を肯定して生きること。それって、割と難しいことです。
誰だって自分の人生をこれでよし、と思えるわけではなくて。
でも、若旦那は、なんとかして自分を変えたい、と思う。
その気持ちが、なかなかスマートにはいかないけれども、つまるところ
落ち込んで人をうらやんでばかりいたお比女ちゃんの背中を押してあげる
結果に繋がったんですね・・。


時代小説の主人公というと、割とかっこよくて、強くて・・。
という設定が多いなかで、この若旦那はいつも弱い。
もちろん身体が人一倍もろいからなんだけれども、その悩む姿と
それでも一生懸命な生き方は、読んでいて何かしら勇気付けられるものが
あります。人間一人では誰も生きられない。そのことを誰よりもわかっている
若旦那だから、こんなに優しくて、人の気持ちがわかるんだなあ。
なにしろ、誘拐されながらも、その誘拐した側の事情を心配しちゃうくらい
なんですからね。究極のお人よし。でも、その心根には、強いものをもっている。
自分のまわりにいる人を信じて、愛する気持ち。たとえそれが物の怪であっても・・。
それが、若旦那の強さなんですね、きっと。
お話の筋としては、ちょっともたついた感がありますが、やはりこのシリーズ
は楽しみです。
そして、いつもながら装丁がかわいい!これだけでも楽しいです。


おいしい本箱 http://www.oishiihonbako.jp/index_f.php

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この記事へのコメント

藍色
2006年09月25日 15:13
ERIさん、こんにちは。ウイークポイントと書いてた時代劇、例外がありました。といいますか1冊だけで、いきなり第五弾を読んじゃった不届き者ですが・・(笑)。体が弱くても人と妖怪の気持ちがわかる優しさと、心の強さを持っている凛々しい若だんな、魅力的でした。お比女ちゃんと心通わせる場面は、うるうるでした。しゃばけシリーズ、目が離せなくなりそうです。
2006年09月25日 22:21
畠中さんのこのお話は、とても好きですよ~♪
ぜひぜひ第一弾から読んでいただきたい・・。お付の番頭二人もけっこう好きなキャラクターです。強いのに、本当は若旦那にくっついていたいさびしがりやなところが匂うのが、好み(爆)強さって何かな、と思いますね・・。
2006年09月25日 22:21
畠中さんのこのお話は、とても好きですよ~♪
ぜひぜひ第一弾から読んでいただきたい・・。お付の番頭二人もけっこう好きなキャラクターです。強いのに、本当は若旦那にくっついていたいさびしがりなところが匂うのが、好み(爆)強さって何かな、と思いますね・・。