パパとムスメの七日間 五十嵐貴久 朝日新聞社

画像よくある、と言えばよくある入れ替わりものです。
父親と、娘。娘からしたら、これほど入れ替わりたくない人も
いないだろう、と言う・・。東野さんの「秘密」は、母親と娘でしたね。
あれは切ない話でしたが、これはコメディタッチで、笑えます。


高校二年生。16歳。一番父親、というのが煙たい年頃だわな。
一方、父親にとっても娘が気になって心配ではあるけれども、
何を考えてるんだか、まったくわからん、という人がほとんどでは
ないかしらんねえ。そんな親子の典型である二人が、なんと地震が
原因の電車事故で入れ替わってしまう。
16歳の乙女が、くたびれかけた中年のおっちゃんに・・。
そして、お腹が出かけたおっちゃんが、乙女の中に・・。

折しも、娘の小梅は、半年間の片思いがかないかけ、憧れの先輩と
初めてのデートを控えている。そして、父親の方は、無理やり押し付けられた
プロジェクトの大切な会議が、差し迫っているという・・。
仕方なく、お互いに場所を交代しつつ、善処しようと奮闘するところが、
真面目になればなるほどおかしくて、読みながら気の毒で爆笑しちまいました。
特に、初デートの場面・・。
小梅にいいところ見せたい、と背伸びして彼氏が選んだビスコンティ。
選んだ彼氏は寝ちゃってるのに、小梅ならぬ元映画青年のパパは、必死で見てる。
そして、なんで彼氏がこの映画を選んだか、もう若い頃の自分と重なって
妙にわかって、共感しちゃうとこなんか、もうおっかしくて・・。
確かに高校生にビスコンティは、退屈やろなあ~。
「ベニスに死す」なんか、むっちゃ好きですけどね・・。
ああ、私もパパ世代、つまりオヤジ世代なんやね(爆)
その後、読書の話になって、「司馬遼太郎」とか「藤沢周平」の話で盛り上がったり。
これが、オヤジと若者なら、構えちゃって仲良くなれないところなんだけど、
仮の姿、という気安さが、かえってコミュニケーションを生むところが、おかしいですね。
どうも、小梅ちゃんより、オヤジであるパパに共感しちゃうとこが、おばちゃんやんか!!



これって、けっこう願望として、ありますよねえ・・。
自分のままで、自分ではない存在になってみる。
いわゆる「化け」の快感です。自分ではないから、妙に客観的に周りが見える。
いつもの世界とは、同じものを見ても全てが違う・・。
お互いの立場や性別、年齢でこんなにも見えている世界が違うのかな、という
ところに気がつく面白さですよね。これ、お母さん、つまり妻が気がつかないのが
ちょっとおかしい感じですが・・(だって、絶対にヘンだもんねえ)
現実にはあり得ない、という設定で全てを乗り切ってますね(爆)
現実にはあり得ないけれども、細部がリアルなんで、自分が入れ替わってるみたいな
面白さがあります。7日間でそれが終わるのが、よろしいですね。
これ以上になると、もっと破綻しちゃうでしょうから。
こんなにうまく一週間で同じシチュエーションになるんかい、と突っ込みたく
なりながらも、これは御伽噺のお約束なんですよね。
使い古されたネタだったのに、なかなか新鮮に読ませて貰いましたよ。
マンガにもよくありますが、こういう入れ替わりネタには、コメディが似合います。
最後、わけわからん同士ながらも、ちょっとだけお互いを理解しようと
いう目線にたった二人がいいですね!!
しかしなあ~、私は息子とは入れ替わりたくないな。
ま、向こうもイヤやろけどね・・。これ、同性同士でないとしたら、
父親と娘がギリギリの線か・・。母親と息子だと、笑えないよねえ。気持ち悪い
ですわ。マザコンを思わせるからかな?なんでイヤなのか説明しにくいけど
イヤですねえ・・。自分が女だからかな?皆様どうなんでしょう、ってそんなん
聞かんでも、ええわ!!(爆)

おいしい本箱 → http://www.oishiihonbako.jp/index_f.php







この記事へのコメント

藍色
2006年11月19日 01:31
ありがちな設定だったのですけど、楽しいファンタジック・コメディでしたね。めいっぱい笑えました。そうそうビスコンティ。私もパパ世代なので、ERIさんとまったく同じ気持ちになっちゃいました(笑)。いまだに、パパの「わかる、わかるぞ君!」が耳に残ってます(爆)。ビスコンティは「ルードヴィヒ神々の黄昏」から見始めて、「イノセント」まで見たのでした(ちなみに、大学で映画研究会でした)。「ベニスに死す」あぁ、美青年タジオ(確かビヨルン・アンドレセン?)、良かったですよね、あの細さ(こんどはタジオ仲間!?笑)。
あはは、「ママとムスコの7日間」ですか?。それは私も思いつきませんでした。男子はちょっとエグいでしょう。3日間でもしんどいのでは?
やっぱりマザコンを思わせますよね。でも怖いもの見たさもあるかも(笑)。
2006年11月20日 21:53
>藍色さん
昔、古い映画ばかり上映されていた映画館で、ビスコンティを見たものです。「ベニスに死す」のタジオは、綺麗でしたねえ・・。まさに「美少年」でした。うろ覚えなんですが、ベニスに老芸術家が着く時の船の名前から、ビスコンティらしい仕掛けがあって、感心しちゃったのを覚えてます・・。今みたいにDVD~とかない時代に見た映画って、かえってよく覚えていたりしますね。「わかる、わかるぞ、君!」ですよ~(爆)
ね、男子はエグイですよねえ、やっぱり。ほほえましくない!!
ビジュアル的にも、バツですよね!!