漱石先生の事件簿  猫の巻 柳広司 理論社

画像漱石先生がとても好きなんで、これは読んでみなくちゃ、と
思って手に取ったんですが、これは、「猫」を読んでない人向きやと
いうことが、わかりましたわ。
内容が、「猫」から一歩も出てないんですよね・・・。

私は、生まれて初めて買ってもらったのが、漱石の「猫」で。
よく漢字も読めない頃から、ずっと繰り返し、繰り返しこの本を読んできたので
自分の血肉になるほど、文章が体に沁みこんでます。
だから、やっぱり似て非なるものは、受け付けない・・。
登場人物、特に苦沙弥先生かもし出す、可笑しみ、が感じられない。
漱石のユーモアは、体質のような、文体そのものにあるので、
そこを外して粗筋だけにしてしまうと、滋味のようなものが失われてしまう。

でもね・・そうか。
もう、漱石をそのまま読める人は、少ないんだなあ。

何しろこの小説、あまりに有名な書きだしのほかは、本の内容を覚えて
いる人が驚くほど少ない、という曰く付きの謎の小説なのです。~著者後書~


そうなんか!!ほんとに、そうなん?
これが一般的な意見なんか・・と、ちょっとがっくりきてしまった。
私は・・これは、全く私一人の意見なんですが、「猫」に、このあとの
漱石の作品の萌芽が、全て含まれていると思っています。
ユーモアの形を取りながら書かれている文明批判、人間洞察、滑稽さ、
可笑しみ。言葉のレトリックや、実験的な試み。
大人の小説の読み方を、私はこの本に教えてもらったようなものなので
この後書きがショックだった。でもなあ・・実際そうなんかもしれません。
近代の小説を、そのまま読むということが難しい時代なんですねえ・・。
でも、勿体無いなあ、と思います。
著者がいいはるように、この本を読んだ人が、原作の「猫」を読んで
くれはったら、いいですね。それは、本当にそう思います。
これはYA、つまりヤングアダルトの分野の発刊なんですよね。
うん、若い人が、これを機会に漱石を読んでくれたら、うれしいですね。


おいしい本箱 http://www.oishiihonbako.jp/index_f.php

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