鹿男、あをによし 万城目学 幻冬社 

画像「あをによし 奈良の都は 咲く花の 薫ふがごとく 今盛りなり」

奈良が舞台のミステリーです。
これねえ、個人的にいろいろ面白かった。
なんで個人的かというと、愛する彼と、いっぱいリンクする言葉が
出てきたからです。あはは(爆)いや、ミステリーとしてもなかなか面白くて
読ませるんですが、そういう意味で、あまり客観的な感想やないかもしれません。

茨城の地から、はるか奈良まで、事情があって非常勤の教師として
赴任してきた「おれ」。ところが、出だしから、生意気な女子高生・堀田に奈良には「マイシカ」という鹿タクシーがあるとボケられ、それが発端でクラスの反発を買い・・。
しかも、なぜかいきなり、鹿に話しかけられることに・・。それが信じられずに、逃げまくっていたら、なんと、耳が、ピンと伸びて、顔が鹿に・・!!とうとう、日本を救うという「運び番」という
役目をはたさなければならなくなった「おれ」は、同じく「使い番」の、武道が得意な、「マイシカ」のボケをかました生意気な女子高生堀田と、奮闘を始めるが・・・。

関東から、全く異文化の関西にやってきた、「おれ」の戸惑いと、うろたえぶりがオカシイ。
これは、「坊ちゃん」がソースになっているんですね、きっと。
マドンナ、ダンディな教頭、気のいい同僚の藤原くん、下宿の面倒見のいいおばあちゃん、とそれぞれ坊ちゃんの登場人物と重なる面々です。
関西ものとしては、「おれ」の、生真面目ぶりが歯がゆくて、「ちょっと~、ちゃんと
突っ込みいれんかいな~」と、イライラするんですが。
「マイシカ」て言われたら
「ほんなら、ガソリンは、鹿せんべいか」
くらい、突っ込みなさい!!そんで、
「そうそう、せんべい一枚で10m・・」て、もっぺんボケさしてから、
「役たたへんやんけ!!」て突っ込み、「鹿やから、シカタナイやん」
「ええ加減にしなさい~」ちゃんちゃん、で落ちるや~ん、と
思うのは、関西モノやからです・・。
もうこれは文化が違うから仕方ない(爆)
そして、生真面目な先生は、鹿に話しかけられても、それがなかなか受け入れられない。
そりゃそうやんな、と思いつつ、この鹿の話しっぷりが、あんまり自信に満ちた
リアリティにあふれているので、何で受け入れられへんねん、融通きかへんな、と
これまた歯がゆい。なんだか、関西モノには歯がゆい小説です。(爆)

鹿になんで話しかけられるかというと、
この鹿、京都の狐と、大阪の鼠とタッグを組んで、昔卑弥呼と交わした約束に
したがって、日本を守護してるんですよね。その手助けをしろ、ちゅうことです。
それは、「サンカク」(サンカクかあ~。クーサンとちゃうんか。△)
という、霊力を持つ何かを運ぶ役目。
このサンカクをめぐって、いろいろと敵方と攻防を繰り広げるのが、謎部分。

しかし、この謎は、割と早い段階でわかっちゃいました。
でも、謎よりも、この物語は、設定や細部のリアリティの面白さを読むものでしょう。
この万城目さんは関西の方のようで、関西ものの事情をよくわかっておられます。
奈良、京都、大阪、という昔都がおかれた土地の持つ特徴と、力。
それを巧みに利用して、面白い物語にしたててある。ユーモアが上品なのもいいですね。
そしてね、この守護を貫こうとする三匹の思い(三匹でいいんだよね)
が、それぞれ恋・・か、それに近いものであることに、ほろっときちゃいました。
愛は、願いなんですね、やっぱり。愛しいものを守っていこうと思う、その思い。
それが、博愛というのではなく、一人の人に向けられた恋であることが、いいですね。
最後に、堀田という、実はとっても綺麗な子から、思いがけない贈り物をもらうシーンも、素敵。
前半のテンポがちょっと遅い感じなのが残念でしたが、後半の盛り上がりが
とっても楽しいので、それも、またよしということで・・。

奈良、サンカク、霊力、平城京跡、使命・・・。
このキーワードに、なぜかドキドキしながら、読みました(爆)
奈良というのは、やはり人にこういう思いを抱かせる土地なのかもしれません。
遥か昔から、その土地に培われた空気、力・・・。
関西に住んでいると、それを感じることは確かに多いですね。
ふらっと、奈良に行ってみたくなりました。
しかし。もう一言突っ込ませてもらうと、登場人物が、誰も関西弁しゃべってない・・。
何でやねん!!(爆)

おいしい本箱 http://www.oishiihonbako.jp/index_f.php



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この記事へのコメント

しんちゃん
2007年06月03日 10:41
こんにちはー。
ボケと突っ込みに熱くなってますね(笑)。
例のごとく記事内にリンクしました。
事後承諾ですが宜しく。
夢月
2007年06月04日 16:22
ERIさま。
キタ==って感じです。
某所でこの本を紹介してた方がいまして、
「その彼」と、いっぱい共通点があると。
で、気になりつつ、ERIさんにどんなんか聞いてみようかなと思いつつ、
日が過ぎてしまいました。
私も早速読んでみることにします。
あ、ERIさんのレビュー、まだ読んでません。んふふ。
本を読んだ後にもう一度伺いますね。
2007年06月04日 22:32
>しんちゃん
事後承諾、OKです♪ボケと突っ込みをしたくなるのは、関西人の性ですね~♪奈良健康ランド♪

>月さま
ちょっとね、「サンカク」にはびっくりしましたよ。万城目さんがケリーをご存知なのかどうかは知らないんですが、打ち合わせでもしたのか、と思いましたわ(*^m^*)この「サンカク」が何かはネタばれになるので書けませんが、サンカク、というのは何かパワーを宿す形なのかもしれません。
夢月
2007年06月06日 21:15
ERIさま。
やっと読み終えました。最初は??と思いながらも、すぐに楽しくなりました。妄想族はミステリーには強いみたいです(笑)。堀田ちゃんは最初からキーマンだなと思いつつ、まさか『俺』と・・・。最後の駅のシーンは素敵でしたね。薄井ゆうじさんの『ストックホルムの鬼』をちょっと思い出しました。
2007年06月07日 08:28
>月さま
そうそう、私らみたいな妄想族だと、きっと鹿が喋りだしても、すぐに突っ込めるはず(爆)ラストのベタなシーンが、かえって効果を上げて爽やかですよね。う~ん、若かったら、ちょっとやってみたい、なんてね♪
やぎっちょ
2007年06月09日 16:05
あ、ほんとだ。誰も関西弁喋ってない・・・。気がつかなかったよ!!
ERIさんのボケツッコミ、かなりハマって爆笑でした♪♪
2007年06月09日 23:39
>やぎっちょさん
あはは・・笑ってもらえたら、これほど嬉しいことはありません。
笑ってもろて、なんぼ、ですもんなね。
やぎっちょさんは、突っ込みたくならへんかった?(爆)
juzji
2007年06月26日 17:45
こんにちは。
核心がなかなかつかめなかったので、じれったい思いで読んでました。
でも次から次へとよく肩透かしネタをだしてくるもんだ、と関心。
やっぱり、面白い本でした!
藍色
2007年07月21日 17:18
細部のリアリティ…堀田のファイルを途中までしか読めなかった(p50なので意外にも剣道の達人だった)とか、伏線も上手でしたね。あははは…マイシカからの関西ノリのボケツッコミに爆笑。かりんとう兄弟も笑えました。誰も関西弁喋ってへん、なんでやろ、他の地域への配慮とちゃう!?。三都の物語、次回は大阪ですね。ERIさんの関西弁レビュー、楽しみにしています。
「夜は短し歩けよ乙女」にもトラバさせていただきました。「家日和」のトラバ、反映されました。
2007年07月22日 23:11
>藍色さん
んふふ・・いろんなボケパターンを考えてみましたが。
あまりやりすぎると、何のブログかわからへんようになるし(笑)
そうか・・他の地域への配慮かあ。
あんまり関西関西すると、内輪うけになっちゃうからかもしれませんねえ・・。
tomekiti
2007年08月12日 18:45
あははは~ERIさん、さすが関西人ですね~~~。
ちゃんとオチまでつけるところがスバラシイですっ♪
そして、関西弁しゃべってないこと指摘されるまで気がつきませんでした~。しまったぁ~。
2007年08月13日 02:29
>tomekitiさん
いや~、こういうボケ突っ込みなら、いくらでも出てきますが(笑)
突っ込む、というのができないと、関西では生きていけません・・とうのは大げさですが。ね?誰も関西弁しゃべってないでしょ?
でも、関西弁で小説書くのは難しいです。それが自由にできるのは、田辺聖子さんくらいでしょう・・。思考方法が、標準語と違うので、そのニュアンスを伝えるのが、難しい。でも、一度挑戦してみてほしいです。
Roko
2007年09月18日 08:08
ERIさん☆おはようございます
関西弁で書かれてないから、関東モンのわたしにも付いて行けたってわけかぁ!
突っ込まれてフリーズしている主人公は、さぞかしカルチャーショックを受けたんだろうなぁって思いました。(#^.^#)
ERI
2007年09月19日 19:56
>Rokoさん
やっぱり、カルチャーショックですよね。
・・というか、関西モノには、それがカルチャーショックだということが、もうわからない。
この壁って、けっこう意思疎通にとっても誤解の元になってるのかも・・と思うこともありますね・・。