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zoom RSS 遊戯 藤原伊織 講談社

<<   作成日時 : 2007/08/31 01:55   >>

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画像藤原伊織さんの遺作です。
読みながら・・途中で終わってしまったらどないしよう・・と
思いながら読んでいたら、やっぱり途中で終わってしまった。
これはもう、本当に寂しいことで・・。
またこれが面白いんですよね。
ネットゲームがきっかけで知り合った男女。
伸びやかで聡明な女と、父親に絶え間なく暴力を振るわれて育った
孤独しか知らないような男。その二人が、淡々と、さりげなく関わりを
深めていく様子が、非常に細やかに描き出される。
運命の恋・・・というにはあまりにも落ち着いた、さりげない心のやりとり。
それでいて、なぜか誰にも心を開いたことのない男が、この朝川みのりという
少年のような匂いのする女性にだけ、自分を見せる、それが非常に自然なことに
感じられる、必然を導き出す、うまさ。
父が残した拳銃。「パリ・テキサス」のヴェンダースの映画。フルメタルジャケットの
弾丸・・。日常に残された謎の影と、ちらつくストーカー男の姿・・・。
この伏線がどうやって結末に運ばれていくのか、私の頭では、わからない。
生木のまま、切り取られたような作品の断面を見せながら終わってしまった
この物語が、そしてこんな素敵な物語を書かれる藤原さんが、もういらっしゃらないことが
悲しくて、やはり涙を禁じえなかった・・。
書きながら、きっと覚悟することもおありだったろうに、この作品はそんな苦闘や
悲哀を全く感じさせない。闇を湛えながらも、乾いた、さらりとした筆致で、みのり
という女性が、非常に魅力的に生き生きしています。彼女がCM撮影のために
長い梯子を上るシーン、まっすぐ伸びる若い心が青空に照り映えるようで
とても爽やかでした。こんな作風で終わるのも、非常に藤原さんらしいダンディズム
ですね。

最後に収録されている「オルゴール」という中篇が、見事な出来栄えで
この作品を最後に読めて、本当によかった。
祥子という女性を愛した二人の男の一瞬のやりとりに、祥子も含めた三人の
人生が透けて見える。それぞれの愛・・それぞれの悲しみ。
「不在」が雄弁に語る亡き人の面影が、あえかに美しくて余韻を残す・・。
大人の小説です。こういう大人の小説が書ける人が、亡くなってしまわれたんだなあ。


享年59歳。早すぎました・・。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。


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「遊戯」藤原伊織
タイトル:遊戯 著者  :藤原伊織 出版社 :講談社 読書期間:2007/08/20 - 2007/08/21 お勧め度:★★★★ ...続きを見る
AOCHAN-Blog
2007/10/12 18:01

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