青年のための読書クラブ 桜庭一樹 新潮社

画像少女・・って何だろう。
やたらに人の心の中に巣食う「少女」というものを、ノスタルジーの
匂いに乗せて、桜庭さんらしく描き出してあります。
そこはかとないエロスと一抹の生臭さもちゃんと描きつつ。
そう・・「少女」と「グロテスク」は背中合わせなんだということを
桜庭さんに、教えられてしまった・・。これからは、「少女」と聞くと
この作品を思い出してしまいそうです。

たおやかな、世間から隔絶されたような聖マリアナ学園。
そこに生息する、お嬢様たち・・そして、その美しい羊の群れに
馴染みきれない異端者が集う場所。それが、「読書クラブ」。
その「読書クラブ」を襲う事件を書き残した手記・・という趣向です。

これを読んで、まず思い出したのは、「おにいさまへ・・・」という、池田理代子先生の
漫画です。いや~、宮様とか、サン・ジェスト様とか、薫の君とか。
キラ星のようにお嬢様がでてくる、溜息ものの漫画。「ソロリティ」っていう特別なグループが
あって、そこに入るのがステイタスなんですよね・・。好きやったなあ(笑)
もうね、すご~く上品なようで、実は胡散臭い世界なんです。
その胡散臭さが、この桜庭さんの作品に、きっちり継承されてるようで、萌えました・・。
その胡散臭さとは・・「異端」の匂いですね。


このそれぞれのエピソードには、その時この学園を風靡した「王子」の話が
出てくるんですが・・。あ、ちなみに「王子」はどれも女性です。
まあ・・宝塚の男役みたいな感じですが・・。どれも「異端」の匂いがするんですよね。
自分たちにはないもの。違う世界の匂いがするもの。
その異端の匂いが、「読書クラブ」と繋がるのが、面白い。
そう・・本などを必死で読むのは、この世界に、坐る椅子を見つけるのが
苦手な人間が多いわけで・・。そんな居心地の悪さから生まれてくるものが
反対にパワーとなって人を惹きつける。
それは「少女」という存在のありかたにも繋がりますね。
人生の一瞬。ふとしたことで崩れかけてしまうような、あやういバランスの年頃。
女でもなく、子供でもなく、やたらに自分にイライラして、女になる自分を
うとましく、鬱陶しく思ったり。うまく自分をコントロールできない。
いつから大人になったらいいのか・・そんな忌々しさを抱えて、でも
そんな年頃の自分が愛しくてたまらなかったりね。
そんな危うさ、命の生々しさと儚さが同時に見え隠れする時だからこそ
また「少女」は見るものを惹きつける・・。
少女が自分の中にあるグロテスクなものに、うっすらと気がつきながら、過ごすその心性が
独特の文体で描かれているのが非常に面白かったです。
そしてね、こういう心性は、ずっと女の心の片隅に巣食うものなんですよね。
それも匂わせる最後の話も面白かったですよ。
桜庭さんは、面白いところを突いてくるなあ・・。
やっぱり、今、読むべき作家の一人ですね。装丁も素敵でした。

おいしい本箱 http://www.oishiihonbako.jp/index_f.php

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この記事へのコメント

mikki
2007年08月12日 20:56
お久しぶりです。
これ、面白かったですね。
私もこの装幀大好きでした。
読むべき時に読む作家っていますね。
2007年08月13日 02:12
>mikkiさん
うわあ、お久しぶりです。お元気でした?
時代と作家との関係て、確かにありますね。
今、読みたい気持ちにさせられる、そんな作家さんです。
藍色
2007年08月21日 00:37
私が「少女」と聞いて思い出してしまう作品は桜庭さんの「少女には向かない職業」だったりします(笑)。
こういう世界、何かの漫画で読んだ覚えがあったんですけど忘れてて・・・そうでした、池田理代子先生の「おにいさまへ・・・」でした!ソロリティ憧れました~(笑)。
この作品の面白さ、上手く書けなかったんですけど、“危うさ、命の生々しさと儚さが同時に見え隠れする時”っていう表現にうなずけてうっとりでした。
こちらと「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」にもトラバさせていただきました。
2007年08月23日 22:58
>藍色さん
「少女には向かない職業」は、確か読んだ記憶が・・。ちょっとライトノベル特有の挿絵が、苦手やったかも(>_<)私が「少女」と聞いてまず思い出すのは、川端康成だったりします。あっと、世代差が!
「おにいさまへ・・」読んでました?んふふ・・。
唇を噛んで、紅くする・・なんてのが、そこはかとなく萌えどころでした。読みたくなってきましたよ。
miyukichi
2007年10月13日 21:44
 こんばんは♪
 TBどうもありがとうございました。

 少女とグロテスクかー、なるほどー。
 たしかに、桜庭さんっておもしろいところを突いてこられるし、文章力もあるので、読ませますよね。
 装丁もステキでしたねー。
 私も好きです、この装丁^^

 http://blog.goo.ne.jp/miyukichi_special
ERI
2007年10月15日 01:05
>miyukichiさん
こちらこそ、コメントありがとうございます。
文章にセンスがありますよね~。これは、ほんとに大事なことです。最近、とても楽しみにしてますんですよ。装丁も、お洒落でしたね。
2007年12月02日 23:47
ERIさん、こんばんは(^^)。
>そう・・本などを必死で読むのは、この世界に、坐る椅子を見つけるのが
苦手な人間が多いわけで・・。
ああ、すごく納得。その「異端の香り」が、正史には描かれない裏の歴史を綴る、読書クラブなのですねぇ。
『おにいさまへ・・・』は読んだことないのですが、読みたくなりました。思わず背中がむず痒くなりつつ、その胡散臭さに思いっきりひたれそうですね。