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zoom RSS リゴーニ・ステルンの動物記 ―北イタリアの森から― マーリオ・リゴーニ・ステルン 福音館書店

<<   作成日時 : 2007/11/05 00:21   >>

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画像この本は、ある方に勧めていただいたのだが・・。
「本を読む」という喜びが素直に体の中に満ち溢れるような本だった。
イタリア・・アルプスの山々が、なんとも美しくて心に染み入るようなんですよ。
作者のリゴーニ・ステルンは、イタリアの人。

マーリオ・リゴーニ・ステルン(Mario Rigoni Stern)
1921年にイタリア、アルプス山麓の町アジアーゴに生まれました。第2次大戦時、兵士としてヨーロッパの戦場を、そしてのちに捕虜としてナチスの強制収容所を体験。過酷な戦争体験をもつ作者は、戦後、ロシア戦線からの悲惨な敗走をまとめた第一作『雪の中の軍曹』を世に出し、絶賛を博しました。その後も、「戦争の記憶」「自然との共生」をテーマに数々の優れた作品を発表。現在も、森に囲まれた故郷で自然に親しむ生活を送りながら、精力的に執筆活動を続けています。子どもから大人まで幅広い読者層をもつ、現代イタリア文学を代表する作家です。主な邦訳に、『雪の中の軍曹』(大久保昭男訳 草思社)、『雷鳥の森』(志村啓子訳 みすず書房)、『テンレの物語』(飯田熙男訳 青土社)など。〜福音館書店HPより〜


この略歴にもあるように、非常に苦しい戦争の体験を持っておられる方。私は
『雪の中の軍曹』を読んでいないのだが、ナチスの強制収容所とロシア戦線、を
想像するだけで果てしない気持ちになる。きっと心も体もボロボロになってしまったこと
だろうと想像できる。この本の日本の読者に向けた前書きの中に、こんな言葉がある。

これは庶民の物語、ヨーロッパでの戦争が終わった1945年の春から夏にかけて
故郷に戻ってきた、ふつうの人々の物語です・・・


恐怖や苦しみに散々痛めつけられた心と体を、故郷の山の中に横たえた時。
自然や動物が、どんな風にその目に写ったのか。『末期の目』という言葉がありますが
この世の、人間のもっとも醜い暗闇を覗いた目に、それがどんなに色鮮やかに
かけがえのないものとして映ったか。ここに収められている物語では、戦争は
そんなに詳しくは語られないけれども、その時の「目」をずっと持ち続けておられる
ことを、どの言葉にも感じてしまう。野ウサギや雷鳥、ノロジカ、鳥たちに対する
深い愛情。命への敬虔な感情・・。命が「死」と常に隣り合わせにあることを
全身で感じる自然との一体感。「猟」も、その一体感のサイクルの中で行われる
「命」を永らえるための輪の一つ・・・。
こう書くと、なにやら固い文章を想像してしまうかもしれませんが、訳(志村啓子さん)
のせいか、非常に読みやすく、ユーモアと香気に溢れています。
ただ、その文章の導くままに歩いていくのが、この本を読む望ましいあり方かと。

自分が幸せであるかどうかという事って、この世界や人生からどれだけ
「美」を感じられるのか・・ということに尽きてしまうのかもしれない。
この「末期の目」をずっと持ち続けておられる、ということは、ずっと心に悲しみ
と暗闇を抱えている、ということだと思う。それをこんな美しい物語に
結実させる眼差しに感動した。これは、やはり自然の、大いなる「美」の力、
そして、「故郷」というものがもつ大きなエネルギーなのだと思うし、
その美と安らぎを獲得しようとする努力にもよるものだろう。

戦争や歴史の悲惨さに巻き込まれてしまった魂というと、私はアゴタ・クリストフを
思い出してしまうのだが、彼女は生涯をかけて、故郷を喪失した人。
このリゴーニ・ステルンは、どれだけ傷ついても故郷に再び帰ることができた人。
ヨーロッパという土地で、その人生が一つの分岐点をはさんだ表と裏のように
思われて、それが心に痛い。

これを読んで「雷鳥の森」をアマゾンに注文してしまった。
楽しみです。しかし、この本を出版した福音館は、さすがですね。
老舗の強さを感じました。

おいしい本箱 http://www.oishiihonbako.jp/index_f.php


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