ぼくには数字が風景に見える ダニエル・タメット 古屋美登里訳 講談社

画像著者は、サヴァン症候群で、数学と語学の天才である、一人の青年。
数字に対して「共感覚」を持っている。つまり、数字に色や形や感情を感じて
しまうのだ。彼には、数字が美しいイメージや風景に見える。
だから、普通の人間なら、覚えられない数字の羅列でも、簡単に暗記
できてしまう。彼は、円周率の暗唱でのヨーロッパ記録を樹立している。
その桁数、なんと小数点以下、22514桁。語学にも素晴らしい才能があり、
新しい言語(ヨーロッパ言語、つまりラテン系)なら、ほぼ一週間ほどで
普通に会話することができるようになるという。そんな著者が、幼い頃からの
自分の人生を綴った本。

ダニエル青年の感じる、数字の風景が、なんとも美しい。
燦然と光り輝き、様々な色を持つ、まさに「風景」という言葉がふさわしい、
数字達。数字というものに対する感性が、私達とは全く違うのだ。
そんな彼の語る数字の世界をちょっと垣間見せてもらった。


心の中に、「自分だけの美しいもの」を持つ人は、幸せだ。
ダニエル青年が持っている、この数字に対する共感覚は、珍しいもの
なのかもしれないが、何かを美しいと思い、その「美」に共感し、心を浸す
喜びは、人間にとって共通の、普遍的なものだ。その「美」を感じることが
自分達の生きるこの世界に心を寄せる手がかりになる、ということが
非常に率直に、素直に書かれていると思う。私はそこに共感してしまった。
彼は、アスペルガー症候群であり、この世界の中では、多分に暮らしにくい
面もたくさんあると思う。学校生活などでの苦労も多々あっただろうし、そんな
記述もあるにはあるのだけれど、彼の人生の根本にあるのは、生きて
「美」や「愛情」を感じる喜びだ。・・・こういう本を読むと、いつも思う。
人生は、空のように公平だ。特に「美」を感じる心がある人間にとっては。
アスペルガー症候群の方々は、多分に非常に繊細で、敏感。
したがって、こんな感性を大事にしたまま、まっすぐ成長するのは
大変なことだと思う。このダニエル青年が、このように自分らしく、
自立した青年に成長できたのは、彼をいつも優しく包み込んだ両親が
おられたからに違いない。
同じ親としても、色々と考えさせられる本です。

一つ、目からウロコだったのは、円周率の暗唱。
数字が、ただの無機質なものに見える私には、なぜあんな数字の羅列を
暗唱できるのかがわからなかった。その疑問が、この本を読んで、解消。
ダニエル青年にとっては、数字は、風景なのだ。意味を持つ言葉と同じ。
私達が、詩や、音楽や、小説を暗唱するように、彼は数字を覚えることができる。
うん、知らなかったことがわかる、というのは嬉しいことですね。
まだまだ、世界は知らないことだらけ。嬉しいね。

おいしい本箱 http://www.oishiihonbako.jp/index_f.php

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この記事へのコメント

Roko
2007年12月04日 23:19
ERIさん☆こんばんは
何かが足りないと、それを補おうとすることによってもっとすごい能力が生まれるなんて、脳って本当に不思議です。
どんな人にもそれぞれ個性があります。
お互いにそれを尊重し合うことの大事さを感じました。
ERI
2007年12月05日 00:39
>Rokoさん
こんばんは♪ほんと、脳って、不思議ですよねえ。
Rokoさんの記事を読んで、この本に登場してはる博士が「脳の中の幽霊」の方だと、やっと思い出しました(笑)最近の自分の記憶力のなさにも驚きです・・。
こんな本を読むと、多様性こそが、この世界を彩る鍵なんだよなあ、と思いますよね。いろんな色で存在してこその一生です。大事にしたいですね♪