ウオッチメイカー ジェフリー・ディーバー 池田真紀子訳 文藝春秋

画像さすがの出来栄え。このミスの海外篇一位、というのも頷けます。
このシリーズは、ずっと読んでいて楽しみにしているのですが、
あまり裏切られたことがない。人物造形、緻密な構成、スリル・・。
まあ、どれを取っても見事なものです。これは、多分取材にしろ
プロットにしろ、チームが組まれているんでしょうね。
プロジェクト、という名が相応しいような、そんなゴージャスさを感じて
しまいます。

この、別々に進行している二本の糸が、縒り合わさっていく構成と
いうのは、気をつけないと、「こじつけやん」というわざとらしさを
招くんですが、そこはもう、うまいもので。細かい事実を一つ一つ
積み上げていく膨大な書き込みが、その偶然を、うまいこと運命に
変貌させていきます。そこを読んでいく快感がありますね。
そして、このシリーズは、ライムが必ず勝利するという、楽しい
お約束があるわけです。それも、間一髪の勝利。
この毛筋ほどの、すれすれの勝利が、持ち味。
そのお約束を、ライムという頭脳に負けないような犯人と戦いながら
どううまく果たしてくれるのか・・・。そこに、ワクワクしちゃうんですよねえ。
今回のウオッチメイカーも、なかなかのツワモノでして。
最後、解決したかに見えて、やっぱり丸々一章残っている、そこに
また絶妙などんでん返しがあるんですよ。
この敵さんは、どうやらこれから、大きなライバルになっていくんでしょう。
いや~、次も楽しみですわ。最近、ミステリーが、とんと読めなくなって
きている私が、これは、頑張って読んでますからね。


ただまあ・・この事件に深く関わっていく心理捜査官ともいうべき
キャサリン・ダンスの駆使する心理術が、あまりにもうまくいくんで
そこは、まさにアメリカ的な心理学の割り切り方だわなあ、と思いましたが。
相手の話し方や、態度で、その心中を推理し、手に取るように分析していく・・。
それはとても読んでいて気持ちいいものではありますが、現実は
こんなにうまくいくもんやろうか。という疑問は残りますが。
アメリカ人は、こういうの、好きですねえ。やっぱり。
すっぱり心中を割り切りたい欲望があるんでしょうね。
ま、もう一つの、大きなお約束である、ライムとアメリアの愛情が、
いつもなにやら不安定な、波乱含みであるのは変わらず。
その揺れ動く二人の心が描かれていることが、この緻密な物語の
大きなツボですね。「人間」が「人間」を追う、その生々しさが
生まれて、目が離せなくなる。

お正月、ゆっくりまだ時間のある方は、トライしてみてください。
分厚いので、しっかり読みでがありますよ!!

おいしい本箱 http://www.oishiihonbako.jp/index_f.php



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この記事へのコメント

2008年01月09日 18:50
面白かったですね。これだけのシリーズでマンネリ化しなかったのはキャサリン・ダンスの個性を持ってきたからだろうと思います。
ERI
2008年01月10日 10:35
>よっちゃんさん
シリーズを書き続けるというのは、新作を書いていくより難しい面もあると思います。特に、これだけ世界中の人が待っているシリーズなら、なおさら。
そのための創意工夫を、彼は惜しまない、そこにも感動です♪