綺想迷画大全 中野美代子 飛島新社

画像
「綺想迷画大全」というタイトルを見た
とたん、これは読まなくちゃ、と思ったんですが
やっぱり正解でした。
中野さんの専門は、中国文学。
そして「シノロジー図像学」の第一人者、と言われても、
素人にはさっぱりだけれど、これは
中国学を、絵画や建築、彫刻などから
解明していく、という学問ということでいいんでしょうか。
(誰に聞いてるんだか)

ここに紹介されているものは、いわゆる「名画」ではなくて
タイトル通りの「迷画」。アジアのものが多いんですが
これが、もう、混沌、カオス。
日ごろ馴染んでいるものと違う、曼荼羅のような世界。
その混沌を、中野さんは、時代背景や宗教観などを
織り交ぜながら、うまく素人にもわかるように解説しておられます。
その博物館的な知識量にも圧倒されてしまうんですが、
やはり、ここに紹介されている絵のインパクトといったら(笑)
ユングじゃないですけど、こういうのを見ると
人間というものが抱える、無意識の領海にはこんなものが
眠っていそうだと、思ってしまう。
たくさんの手や頭を持つ神や、仏。
これでもか、というイマジネーションを持って描き出される
悪魔や、異形のものたち。
西洋絵画も、紹介されているんですが、こうやって並べると
西洋絵画は、やはり神と人、人と動物が、きっちり分けられて
いる感じがありますね。
動物が擬人化されても、視点が、上目線で、それは揶揄や
皮肉の対象としての表現の一つなんですが、
これがアジアのものになると、何でもごちゃ混ぜ。
人も神も動物も、想像上の生き物も、えらく自由に同じ
画面の中で跳梁跋扈しております。
この混沌を眺めていると、ああ、人間なんて、そんなに
偉そうなもんでもないし、私もこの中にまぎれてしもたら
どこにおるかわからん、くらいの、どうでもいい感じやねえ・・と
思うと、何だか、いろんな事に疲れた心が休まるような気がします(笑)
人の想像力というのは、凄いもんです。
そして、これだけのイマジネーションは、今のようにテレビや
インターネットという情報が、一気に世界を駆け巡る時代には
生まれてこないような気がします。
想像が頭の中で溢れるかわりに、情報や映像を見せ付けられて
しまう。それはとても便利なものであると同時に、たくさんのものを
失っていることなのかも知れません。

個人的には、「ぎっちり・びっしりの絵」という項目が一番
怖いもの見たさの欲望をかなえてもらって、面白かった・・。
怖いでしょ?「ぎっちり・びっしり」。
巣穴にぎっちりたかってる蟻、とか。菊の花弁。
向日葵の種のところ、とうもろこし。
細かく並んだ、発疹・・。
小さくて、それがぎっちりと並んでるのを見ていると
背筋に粟粒がたって、それをめちゃめちゃにしたいような
そこに吸い込まれそうな、冷や汗が出そうな感じに襲われるんです。
何だか、怖い。見たくないけど、目が離れないの、っていう。
・・・ブリューゲルって、凄い。ウィーン美術史美術館は、
やっぱり憧れやなあ・・。

ここに貼った画像は、小さくてあんまり、その面白みが伝わらないん
ですけど、アマゾンにいくと、中身も見られるようになってます。
そっちも、ぜひ。

アマゾンへのリンク

おいしい本箱 http://www.oishiihonbako.jp/index_f.php

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント