われらがアウルズ ロバート・B・パーカー 光野多恵子訳 早川書房

画像ロバート・B・パーカーといえば、ミステリー。
うちの図書館にも、それはたくさんの作品が
並んでおります。この本は、そのパーカーが
初めて若者向けに書き下ろしたYA小説です。

舞台は、二度目の大戦が終わった頃のアメリカ。
14歳のボビー(パーカーの若かりし頃の自分自身でしょうか)
は、仲間たちと5人だけのバスケットボールチームを作る。
それが、アウルズ。コーチもいない小さなチームなのだが、
なんとか州トーナメントに出たいと頑張っている。
男子同士でつるむのが楽しくて仕方ないのだけれど、
女の子も気になるお年頃・・。
女友達のジョウニーとは、心が通じる大事な友達だけれども
逢うと、ときめく自分の気持ちを、もてあましてしまう。
そんな時、学校に、あたらしい女の先生がやってくる。
セクシーな先生は、とても魅力的な人。
しかし、ボビーは、そんな先生に秘密があることを知ってしまう・・。

この主人公のボビーがね・・とっても可愛いんです。
可愛いというと、誤解があるかなあ・・。
人間としての魅力というべきなんでしょうけれど、私は、読んでいて、
何度も「ボビー、可愛いなあ」と思ったんですよ。
セクシーな先生の大人の魅力に、おもわずいろんな事を妄想してしまうボビー(笑)
でも、大切な、女友達のジョウニーに対しては、ひたすら純情なボビー。
たった一人、自分の心の内を、素直に話せる女の子であるジョウニー。
彼女の特別な存在でいたいと思いながら、恋人になってしまったら、
そんな心のつながりを失ってしまうかもしれない・・とためらってしまうボビーの
繊細さが、この物語の大きな魅力になっています。
このボビーと、聡明な女の子であるジョウニーの会話を読んでいると、
自分が、とっても大事にされてる女の子のように思えてきて
えらく気持ちいい・・。
(女の子って・という突っ込みが聞こえましたが、物語の中にいる時は、
人はどんな存在にもなり得るわけです・爆)

もしかしたら、ぼくがジョウニーといて安心なのは、彼女を守るために
いつもより勇敢になれるからかもしれない


ナイトですよ。うーん、ロマンチスト。
この二人の関係を、リードしているのは、常にジョウニーなんです。
ボビーの思考をうまく引き出し、自信をつけさせ、ボビーに、自分の大切な気持ちに
気づかせていく。ボビーは、そんな彼女に、自分をまっすぐ伝えていく。
ジョウニーを信頼しているから。男と女である前に、心を繋ぐ・・・。
この、どちらかというと、まだまだ古い価値観が残っていた時代に
こんな結びつきができた、という事が、素敵ですねえ・・。
女の子を尊敬して、気持ちよくリードされながら、「守りたい」という
誠をもっているボビー。そりゃ、女神もボビーの元にやってくるってもんです。
世の男の子たち、女神を手にしたければ、この本を読みなさい♪
パーカーは、全ての作品を、奥さんに捧げられているらしい。然り・・ですね。

ナイトであるボビーは、苦難に陥ったクローディア先生も、助けようとします。
先生は、元夫にストーカーされて苦しんでいた。
この、元夫は、戦争に耐え切れずに脱走し、その現実から目をそらすためにか
怪しげな宗教を自分ででっちあげて、他人を巻き込もうとしている人間。
この物語の中では、悪役ではあるんですが、この彼の苦しみも
戦争というものが引き起こした不幸の一つなんですよね・・。
この男が、苦し紛れにでっちあげた、身勝手な人種差別宗教に、それでも
賛同していく人間がいる、という事・・。
それを知ったのも、ボビーには貴重な経験だったでしょう。
この男・タッパーの抱える秘密を解き明かして
解決に結びつけていく、そのミステリとしての面白さ。
そして、この弱小バスケットボールチームを、闘えるチームにしていく
ボビーのアイディアの面白さと、試合の場面の生き生きした躍動感。
ここも読みどころです。
謎解きの面白さと、スポーツと、恋愛。
それを、うまく絡めて展開していく手腕は、さすがパーカーというところ。
若者向きということで、明晰でわかりやすい文章なのも、読みやすい。
これはねえ・・日ごろ、あまり本を読まない男の子に読んでほしいなあ。
訳されている光野さんは、優れたYAの作品を手がけておられる方。
その感性と、言葉への誠実さが、この小説の初々しさを際立たせています。
デビュー35周年で、こんなに瑞々しい物語をかけるパーカー氏は
素敵な人ですね。ああ・・彼のミステリ、読みたくなってきました。

おいしい本箱 http://www.oishiihonbako.jp/index_f.php









われらがアウルズ (ハヤカワ・ノヴェルズ)
早川書房
ロバート・B・パーカー

ユーザレビュー:
齢七十五歳で書かれた ...
amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ


ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

Roko
2008年12月14日 21:16
ERIさん☆こんばんは
ジョウニーとボビーのお互いに対する信頼感が素敵でしたね。
男らしさというものと、相手を尊重するということを両立させることの大事さを強く感じました。
それにしても、70代になってもこういう作品をかけるパーカーって素晴らしいと思います。
ERI
2008年12月16日 23:54
>Rokoさん
コメントありがとうございますm(_ _)m
YAというところから読むと、私はやはりこの二人の出会いが一番いいと思うんですよ。
ボーイミーツガールの新鮮な気持ち。自分を理解してくれる異性を得ることの感動が、時を越えていつまでも生きている・・パーカーの魅力を教えてもらったような一冊でした。