喋る馬  バーナード・マラマッド 柴田元幸翻訳叢書 スイッチ・パブリッシング

画像クリスマスですね☆
皆様、どんな夜をお過ごしですか?
私はというと、まったく特筆するべき事もなく(笑)
ただ、今日はとてもいいお天気で、空がとても綺麗で
ふと気が付くと、空を見上げてばかりおりました。
ただそれだけで、何となくいい気分の一日。
安上がりだなあ~(笑)

マラマッドという人を、初めて読みました。
非常に地味な、ふと、日常の中に目をあげれば、そこにあるような
物語たち。
スケールのおおきな話など、どこにも、かけらもない。
主人公は、そこらの商店街や、町工場のおやっさんや
人生を最後のひとかけらまで使い果たしたような、
半径500mくらいの人生の場所で、必死で生きてきた人たち。
毎日、皮をたたき続ける靴の修理屋に、貧苦の涙を流して
パンを焼く男。障害を持つ息子を、自分が死ぬ前に、なんとか
生きていける場所に送り出そうとする男・・。
必死で、全然カッコよくない彼らの人生が、11の短編に切り取られる。
読んでいて、決して心ウキウキするような物語では、まったくないんだけれども、
じわっと、胸に沁みてくるものがある。
何だろうなあ・・と思いながら読んでいて、ふと思ったのは、
ここに描かれる男たちが、自分の父親にそっくりだという事だった。

まだ子どもの頃に、牛の方が偉いようなど田舎から一人で大阪にやってきて
お店の小僧さんのような事をしながら、数多い兄弟と両親に仕送りし
働きながら夜学にいき、苦労して英語と貿易事務を身につけて
細々とした商売をしながら、必死で働き続けた父。
身体が丈夫ではなかった父は、寝付く暇もなく、倒れて、あっという間に
逝ってしまった。まさに、死ぬまで働き続けた一生で・・。
「最初の七年」に出てくる靴屋のように、勉学に対する憧れがずっとあった人で
私に、いろいろ本を買ってくれた。
あまり器用に生きるタイプではなかった人で、しかも、底抜けに人が良かった。
騙されたことも、数知れずだったと思う。
「白痴が先」に出てくる、ラビのように、求められれば、自分の外套も与えて
しまうような人だった。
「金の無心」のパン屋のように、旧友が尋ねてくればなけなしのお金を
貸してしまった事もあった。
「ドイツ難民」に出てくる青年のように、自分を頼ってくる人間を、見捨てられない人だった。
そして、働いて働いて、さしたる財産も残さず、亡くなってしまった。
付き合い続けた母の苦労も計り知れなかったが、私は、そんな父が好きだった。

小さな自分の人生の中で、必死に働いて、「義」の心を忘れない。
その「義」が、悲哀や滑稽の種になろうとも、その人生はやはり、輝く小さな星だと、
この物語を読みながら、父親の顔と、いろんな思い出を懐かしく抱きしめた。
クリスマスに読むには、地味すぎる物語なのだけれど、今日、この本が読めてよかった。
自分がここにいること。今日、笑えていることの影には、血のにじむような父の苦労が
あった事を、思い出した。素敵なクリスマスプレゼントだったなあ・・。

皆様の聖夜が、きらめく、ささやかな喜びに包まれていますように。

おいしい本箱 http://www.oishiihonbako.jp/index_f.php

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