おコン草子 斎藤飛鳥 童心社 

画像楽しい本を見つけました。
とっても活きのいい、キツネと人間のあいの子、
おコンちゃんが繰り広げる、冒険のお話。
まるでアラレちゃんのように爆走しつつ、びしばしと
自分のやるべき事に邁進するおコンちゃんに、
いっぱいパワーを貰えて元気になれます。

おコンは、12歳のキツネと人間のあいの子。
剃っても剃っても生えてくるお髭がトレードマークの
元気者。長者さまの屋敷で働くおコンは、
「キツネの子」と言ってバカにされながらも、一生懸命働く日々。
そんな彼女の一番の仲良しは、長者の末息子・弥兵。
彼は、身体は病弱ながら気性は激しく、理知的でまっすぐな性格。
ところが、お医者さんの見立てによると、その弥兵がこの夏で
寿命が尽きるという。何とか彼を助けたいおコンは、水神さまが
教えてくれた通り、イラズ山に、ナラ梨を取りに出かけます。
ところが、そのイラズ山は化け物がいっぱいの恐ろしい場所。
人間よりも丈夫とはいえ、子どものおコン。はたして、ナラ梨を
持って帰ることは出来るのか?

最初にも書きましたが、このおコンちゃんが、とても魅力的です。
彼女は、いつも、とても真っ直ぐなんです。
彼女は人間の姿形をしていても、ピンと生えたお髭が物語るように、
皆と同じ人間じゃない。でも、その事を決して悲観したりせず、
毎日を一生懸命生きている。キツネの子に生まれて、悲しいことも
あるけれど、私は毎日を楽しく生きたい。幸せに生きたい。
彼女の一番の幸せは、気の合う弥兵と、共に過ごすひと時だから。
大事な人を、大切な時間を、失いたくないから、諦めない。
言葉にしてしまうと、こんなにシンプルな事なのだけれども、
人は得てして、そのシンプルな事に踏み出せない。
弥兵の命が危ないのをわかっていても、誰もそれに対して行動に移さない。
リスクが怖い、責任を取るのが怖い。・・私にも、そういう所があります。
だから、このおコンちゃんのまっすぐさが、ほんとに眩しくてキラキラで、
それはそれは大変なおコンちゃんの冒険に、頑張れ~~!と
胸の中で叫んで応援してしまいました。

この人間世界、まっすぐな思いを実行に移すと、結構非難の的に
なったりします。一人で、いい子ぶってるよね~、とか。
何様やと想ってんのん、とか。絶対に言う人が出てくる。
でも、そんな人に限って、このお屋敷の人たちのように、なーんにも
しない人たちなんですよね。で、そういう人に限って口だけ出したりして。
おコンと弥兵は、キツネの子である、病弱でいつ死んでしまうかもわからない、
という、彼らが自分ではどうしようもない事が理由で、そんな人の輪から
外れてしまっているんです。そんな二人の絆は、とっても強い。
だから、おコンは、口だけで「悲しい」と泣いているわけにはいかない。
まっすぐぶつかって、ぶつかりすぎて、跳ね返されても絶対負けない
おコンちゃんの愛のエネルギーに、心打たれました。
物語の頁をはみ出さんばかりのパワーに圧倒されつつ、その純情に
ほろりとさせられ、つい「大人っていろいろあるのよ」という言い訳に
逃げそうになるずるさを叱って貰った気持ちです。
これは、若い人が読んでも面白いと思うなあ・・。

祈願成就のあとは、もう少し余韻があった方が良かった様にも思うけれど、
これは「草子」だから、お祭り騒ぎの一部始終も必要なのかも。
とても爽やかな、すっきり晴れた青空のような物語でした。
次の作品も、ぜひ読みたいと思います。

この記事へのコメント

担当編集H
2010年12月06日 11:44
このたびは『おコン草子』お読みいただき、まことにありがとうございます! 読ませていただきたいへん嬉しく、感謝の気持ちをお伝えしたくてコメントさせていただきました。
これからも、おコンの物語を、応援お願いいたします。
ERI
2010年12月06日 23:46
>担当編集Hさま
こちらこそ、拙いレビューを読んで頂いてありがとうございました。おコンちゃんの物語、続編があったりすると嬉しいです。元気ものの、おコンちゃんの活躍、期待しています。
オコンスキー
2013年10月11日 11:20
電子書籍で『おコン草子』が新シリーズ(でいいのかな?)で『おコン絵巻』として出てましたよ!おコンがイケニエにされてました(笑)