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zoom RSS リンデ ときありえ 高畠純絵 講談社文学の扉

<<   作成日時 : 2012/02/08 23:09   >>

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画像この、高畠さんの表紙がたまりません。リンデの笑顔です。おっきな犬が持つ、ゆったりした笑顔。思わず頁を開かずにはいられませんよね、こんな顔されたら。愛する人を失うことの不安に攫われそうになっていた男の子を、ぽかぽかの犬の体温が包み込みます。ここのところ、毎日寒くて、お日様にもあまりお目にかかれない。気分も落ち込みがちでしたが、この物語にしっかり湯たんぽして頂きました。

主人公のリロは、お母さんを交通事故で亡くしてしまってから、不意の砂嵐に襲われてしまうようになった。お父さんの必死の愛情で、なんとか危機を二人で乗り越えてきたリロだけど、心はいつも不安でいっぱいだ。そんな時、リロのもとに、おばあちゃんが飼っていた大型犬のリンデがやってくる。バーニーズマウンテンドッグのリンデは、おっきくて、ゆったりしていて、愛情深い。手間のかかるリンデの世話をしているとき、リロは自分の中の砂嵐が吹き荒れないことに気がつく。でも、今度はもっと心配なことが出来てしまった。リンデがもう10歳なこと、大型犬の寿命が短いことを知ってしまったのだ。

感受性が鋭いリロは、自分の心を守ろうといろんな手立てを考えます。その一つが、「予期すること」。パパが「早く帰れる」という日には、「ごめん、残業が入った」と連絡が入るのを予期しておく。とび箱検定の時には、自分だけが上手く跳べないことを予期しておく。予期して心の準備をしておけば、その分ショックが少ない、砂嵐の吹き荒れるく暗い穴に吸い込まれなくてもすむ、という理屈です。これは、実は私もよくやります。自分の抱えているコトが、ちょっと好転する兆しを見せても、「いやいや、騙されないから」とすぐに自分で防御を張る。これはもう防衛本能みたいなものなんですが、弱点があります。悪いことばかり考えてしまう癖がついてしまうんですよ。それが積み重なると、自分の想像で身動きがとれなくなる。そして、予想通りに悪いことが起きる、というのは、これはとても嫌なものです。自分の掘った穴に落ちるような気がする。リロも、その罠にはまってしまいます。もし、リンデが死んでしまったら。お父さんも死んでしまったら。・・再び不安に駆られて、砂嵐に足元をすくわれそうになるリロ。その凍りかけた心を救ったのは、リンデのまっすぐな犬としての生き方と、お日様のような無私の愛情です。

いつも傍にいてくれるリンデ。ゆったりした身体と、みっしりした毛におおわれたマウンテンドッグのあったかさが、リロの心を少しずつくるんでいくのが、伝わってきます。読んでいると、自分の身体のそばにもリンデのあったかさと鼻息を感じてしまう。そして、そんなリンデと離れたくないリロの寂しさと悲しみが痛いほど伝わってくるのです。こんなにも、愛するものと別れるということは、辛いことなんだと、10歳のリロの闘いが身に沁みます。だからこそ、熱にうなされながらリンデに抱かれて聴いた、リンデの心の声がまっすぐ心に届きます。暗闇を割って射す光のような、リンデの生の賛歌です。

「ボクは、ぜったいに死にません。
生きているかぎりは。
ボクは、死ぬまで生きていくんです!」

そう。死ぬまでは・・生きていく。この「ぜったい」の確信が体中に等身大に満ちている動物の姿は、なんて誇らしいのだろうと彼らを見ていて思います。その確信は、人のように、身体から化け物のように溢れだしてしまったり、身体のどこかに、干からびて見えなくなってしまったりしない。若くても老いても、健康でも病気でも、その確信はきっちり身体の先にまで満ちていてブレがない。何も揺るがない。動物と一緒に暮らすことは、命と向き合うことでもあります。彼らの命に向き合う時のまっとうさは、ほんとに尊敬に値するといつも思うのです。生き物の理そのままで生きていく動物は、生きとし生けるものの祝福を身体中に漲らせて穏やかです。リロも、リンデに抱かれて眠ったとき、その祝福を体中で感じることが出来たんじゃないか・・そう思ったら、泣けて仕方ありませんでした。

「生まれて3年までは若犬
3年たったら良犬
それから3年で老犬になり
そのさきは……天からの贈り物」

これは、バーニーズ・マウンテンドッグに対するスイスの言い伝えらしいです。ほんとに、ほんとにそうですね。犬がいればそこは楽園・・というミラン・クンデラの人に教えてもらった詩を思い出しました。リロとリンデをめぐる人たちの存在も、脈打つように生き生きと描かれて、それぞれの体温を伝えてきます。読んでよかったなあと満ち足りて頁を閉じることが出来ました。



そうそう、前回「小公女」の項で書いた、猫のくうちゃんは、すっかりうちの子になりました。相変わらずの食欲ですが、一時のような病的な感じがなくなって、ただの食いしん坊レベルになってきたので、もうしばらくしたら見かけ通りの可愛いお嬢さんになってくれるんじゃないかと(笑)(ほんまか!)感情表現が豊かな子で、機嫌のよい時は猫キス連発、おもちゃを与えると、嬉しくて嬉しくてくわえて放さず、誰も取らないのに「これ、あたしのなんだからね!」と必死(笑)ねずみのおもちゃを買ってきて2つ与えたら、何とか一度に2つともくわえようとして、目を白黒させてました。その顔が、なんとも可愛くて笑えます。先住猫のぴっちゃんは、人間っぽくてナイーブで、おもちゃも好き嫌いがあって、ご飯も気が向いた時しか食べず、すっかりお育ちの良いおぼっちゃま猫ですが、くうちゃんは今のところ、たくましくて何でも食べて、実にストレートな子。優しいぴっちゃんが何事においても譲歩してやっているせいで、少しずつ猫同士も打ち解けてきました。やっぱりね、猫はワガママで思い切り甘やかされて生きるのが似合います。ご飯をたらふく食べて、ヒーターの前であっちあちになって笑顔で寝てるぴいとくうを見ると、幸せな気持ちになる・・これが、やっぱり猫と暮らす楽しみですね。物言わぬ生き物といると、とても心癒されます。



2011年12月刊行
講談社

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
この本を学校の読書感想文として感想をかきたいとおもいます!ww
ぁゎゎ
2012/08/24 16:38
>あゎゎさん
お返事遅くなりましたm(_ _)m感想文は、書けましたか?よかったら、あゎゎさんの感想も聞かせてくださいね♪
ERI
2012/08/31 01:02

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